5話 ゴーレムと戦ったら…
ガイアの後ろから現れたゴーレムはゴーレムは全部で12体。その内の1体が鈍い金色に似た光を放っていた。金?いや、真鍮か?
ガイアにヒールをするためにHPを見ると、レッドゾーンになっていた。
あのゴーレムの攻撃力はそれほど高いのか!?
数的にも、ガイアが全攻撃を受けると耐えきれない。
レベル10のダンジョンじゃなかったのかよ!アクマはそう思った。実は階段を下った時に中級エリアに侵入していたため、レベルは20相当になっていたのだ。
アクマは前に出ようと足を踏み出す。
しかし、足は前に進まなかった。
「おい!」
アークがアクマを止めたのだ。
「前に出て死んだらそれで全滅なんだぞ!お前は大人しく回復に徹しろ!」
「あの数じゃガイアは耐えられない。特にあのゴーレムだ!」
「だからってお前が行ったら回復は誰がするんだ?」
アークとアクマが言い合う。
大男は黙って…
って!?すでにいなかった。
アクマはアークの制止を振りほどき、ガイアの前に出る。
「なっ!?」
何か言いたそうなガイアを無視し、アクマが言い放つ。
「死にたくないなら逃げてもいい。ここは引き受ける。その代わり、スライムの件はこれでチャラな!」
「わ、分かった。行くぞガイア」
アークがそう答え、ガイアと共に逃げ出す。アクマ1人を残して…。
ゴーレムの移動速度は早くない。あの2人なら逃げられるだろう。
アクマはゴーレムの攻撃を受け入れる…
HPバーが
…
……
………
あれ?
アクマのHPバーは2割も減っていなかった。アクマのステータスは裸の王様の効果でレベルの倍以上になっている。
恐らく、中級ダンジョンではアクマを倒す事はできないだろう。束になったとしても…
「なんか…焦って損した」
アーク達が見えなくなって、アクマはそう呟いた。ストーンゴーレム相手に魔法を詠唱する。
【ホーリーライトⅣ】
魔法が発動し、ストーンゴーレムは一撃で倒れた。
「あ…。うん」
耐久性についても、アークが5発の魔法で倒していたのだ。もっと硬いのかと思っていた。拍子抜けだ。
アクマは残ったストーンゴーレムをホーリーライトで殲滅する。そして、ブレスゴーレムだけ残った。アクマはそのままブレスゴーレムにも魔法を唱える。
【ホーリーライトⅣ】
聖なる光がブレスゴーレムを襲う。しかし、光は反射し、アクマを襲った。
「なっ!?」
光を受けて、アクマのHPが減少する。ダメージは1割程度であった。
「魔法を反射する?いや…」
よく見ると、ブレスゴーレムもダメージを受けて、HPがイエローゾーンになっていた。
【硬化Ⅳ】
ブレスゴーレムが自らの防御力を高める。
(一定以上は反射できずにダメージを受けるのか?)
アクマはもう一度ホーリーライトを放ってみる。
【ホーリーライトⅣ】
やはり、光は反射し、アクマを襲う
…
が。ダメージは受けなかった。
反射ダメージがアクマのRESを貫けなかったのだ。
ブレスゴーレムはダメージを受け、HPはレッドゾーンだ。
アクマはヒールを使い、攻撃に備える。
【ゴーレムハンマーⅢ】
アクマはそれを耐え、ホーリーライトを放つ。
今度は光の反射は起こらず、ゴーレムが倒れた。アクマのレベルが22に上がる。そして、
『スキルを習得しました』
ふう。アイテムを拾うと、一息ついてスキルを確認する。
【ホーリージャッジメントⅠ】消費MP320 詠唱5秒
聖なる光が、範囲内の敵に裁きを下す。
(指定した敵を中心に半径3歩以内の敵にMAG1.0倍の聖属性ダメージ)
習得条件:10体以上のモンスターにターゲットされ、ホーリーライトを使用して、すべて倒す。
強力な範囲魔法を手に入れたのだった。
「これからどうするかなー」
アクマは少し考えて、奥に進んでみる事にした。ゴーレムはホーリーライトで処理しながら進む。
遺跡はあちらこちらで通路同士が繋がっており、一番奥の部屋が空になっていた。
「あのゴーレムは多分ここにいた奴だな」
中級ダンジョンのボスは取り巻きを連れていた。おそらく、ストーンゴーレムのいくつかはボスごとここから連れて行ったのだろう。
「ん?」
ダンジョンの中なのに、どこからか風が吹いている?
どこだ?
アクマは部屋を探す。
そして、見つけた。地面の岩と岩の境目からかすかに風が吹いていた。
ここだ。真下から風が吹いている。
何か仕掛けはっと?何か仕掛けがあるはずだと部屋の中を探して回る。
「あれ?」
壁の一部に模様が違うブロックがあった。恐らくこれだろう。
「分かりやすいなぁ」
とアクマはそのブロックを押した。
ガチャガチャと何かの仕掛けが動く音がする。扉が開いて階段が現れるみたいなベタな仕掛けだろうと思い、どこかの扉が開くのを待つ。
しかし、いつになっても扉は出てこなかった。代わりに…
『ガコン!』
「えっ!?」
突然床が抜けた。広間全体の…だ。アクマは対応できず、広間から落下していく。
「う、うわぁぁぁ~」
その叫び声は洞窟をこだまし、逃走したアーク達にアクマが倒されたと錯覚させた。
アクマを呑み込んだ広間の床はゆっくりと閉じていくのであった。
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サービス開始編 第6話『落ちた先に進んだら…』は2月14日12時更新予定です。