分裂して竜と戦ったら…
本日は炎帝との決着です。
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後書きにも触れますが、本日2話更新です。
アクマとアグナギウスの戦いはまだ続いていた。
分裂で作った爆弾と言う名の分身をアグナギウスの周囲に整列させ、起爆する。アグナギウスの攻撃を受け、分身する。
2人の戦いは1時間以上にも及んだ。アクマの精神はかなり消費している。そしてついにアグナギウスのHPバーがイエローゾーンに突入した。
「ここまでやるとはな!貴公を強者と認めようじゃないか」
アグナギウスはそう言い放つ。
「ふう。やっと終わった…」
アクマは仰向けに倒れこむ。夜空が輝いて見える。本来なら地形ダメージを受けるのだが、アクマには秘湯めぐりの効果がある。このまま眠ってしまいたい。
無理もない。歩き疲れて温泉で眠ったとはいえ、1時間以上も戦闘に心身を費やしたのだ。時刻もすでに21時を回っている。ダイブしてから11時間は経過しているのだ。
「だいぶお疲れのご様子ですね」
「ったり前だろ。いきなり襲いかかってくるしさ」
「合図は致しましたよ?」
「合意はしてないよ」
アクマとアグナギウスの会話が続く…。
そして…
「さて。休憩はそろそろ終わりにしましょうか」
…
……
………。
おい。嘘だろ?
誰か嘘って言ってくれーー!
「今後は我も本気で行かせてもらうぞ!」
そう言うと、アグナギウスが飛び立つ。やはり合意なんて必要ないのか!というアクマの突っ込みは虚しく…
[神威解放]
アグナギウスの身体からまばゆい光が放たれる。今までの経験からいうとイエローゾーンは強化スキルだろう。しかも数字がないという事はエクストラスキルだ。
アグナギウスの赤黒い鱗が赤く輝きを放っていた。そして…
[火竜炎弾]
アグナギウスの口から炎の弾が撃ち出される。これもヤバそうだ。念のため避けようとする。しかし、着弾と共に炎弾が爆発し、アクマのHPバーを赤く染めた。
「ぐっ!」
アクマはすぐさまヒールで回復し、アグナギウスを睨む。アグナギウスは翼を広げ、叫ぶ。
[炎弾流星群]
「はっ!?」
さっきまでのターン制はどうした!と思ったアクマだが、炎の弾が降ってくるので逃げる。直撃すると直撃ダメージと爆発ダメージを受け、やられてしまうだろう。なんとかギリギリでかわしたが、爆発ダメージを受けて吹き飛ぶ。すぐに次の炎弾が迫ってくる。ヒールで回復するが、これは避けられない!
アクマはとっさに分身を爆発させ、爆風で炎弾から逃げ出した。秘湯めぐりでHPが回復した直後、炎弾の爆風を浴びる。だが、これでは終わらない。次々と炎弾が降ってくる。
「もうやめてくれー!」
アクマの叫びは虚しくも爆発音にかきけされた。
…
……
………。
15発の炎弾をすべて耐えきったアクマはぐったりしていた。結果的に炎弾はすべて避けた。走る余裕がなくなってからは分身に投げさせたり、爆発させて爆風で飛んだりした。
アグナギウスは大地に降り立ち、アクマの攻撃を待っている。
なので、アクマは休憩中という訳だ。しかし、夜も更けてきており、いつまでも休む訳にはいかない。少しずつ分身を作り、回復し、また分身を作るを繰り返す。
30分かけて休憩と分身作成を行った。
「さぁ。今度はこっちの番だな」
600体の分身がアグナギウスを取り囲み…
[パワーライズⅡ][分裂爆破Ⅱ]
分身が爆発してダメージを与える。攻撃を受けたアグナギウスは空高く舞い上がる。
高く…
高く…
高く!?
えっ!?高過ぎない?
もう米粒ぐらいにしか見えない。
[飛来神]
その米粒が光り、輝きが増した。と思うと何かがアクマごと大地を貫いた。大地は砕け、足場を失ったアクマはHPバーを赤くして落下していく。
火山が噴火したと思うと、新たな大地が隆起する。立っているだけで、足が焼けるように熱い。
溶岩の中からアグナギウスが姿を現す。来るかっ!?と身構えるが、攻撃は来なかった。つまり、アクマのターンだ。アクマは分身を作り、アグナギウスの前に整列させる。新たな大地は半分が大地、半分が溶岩になっており、溶岩側にアグナギウスがいる。溶岩手前に分身を並べていくのだが…。
10分を過ぎた頃から突然、分身が次々と消えていく。
なぜだ?アクマは疑問に思うが分身は消えるばかりである。とりあえず起爆してアグナギウスにダメージを与える。
そしてアグナギウスが飛び立つ。翼を広げ…
「またこれかぁぁーー!」
アクマは走り出す。アグナギウスは叫ぶ。
[炎弾流星群]
またしても15発の炎弾がアクマを襲うのであった。アクマ走っては吹き飛ばされ、分身に投げさせては吹き飛ばされ、ひたすら炎弾から逃げ回る。正直、当たって楽になりたいとも思った。が、せっかくここまで戦ってきたのだ。負けたくない!とも思っていた。
そのために分身戦法を続ける。しかし、10分を過ぎると分身が消えていく。
なぜだろう?んっ?あれっ?
一瞬だが、自分HPバーが減ったような?
いや、確かに減っている。秘湯めぐりの回復で気づかなかったが、ダメージを受けていた。アイコンを確認すると
【地形ダメージ:火】10秒毎に5ダメージ
と書かれていた。分身のHPはオリジナルの半分。つまり305である。10分で300ダメージを受け、次の地形ダメージで消えるってわけだ。つまり、10分で作らないと消えてしまうのだ。今作った分はそのまま爆発させ、アグナギウスにダメージを与える。
そしてアグナギウスは飛び立ち、翼を広げる。イエローゾーンは流星群主体の攻撃のようだ。いや、かなりきついけど…。何度か死地をくぐり抜け、ようやくアグナギウスのHPバーが赤く染まった。
「人の存在で我をここまで追い詰めるとは。見事であった」
アグナギウスが攻撃をやめ、地面に降り立つ。アクマは黙々と分身を作り続いていた。絶対終わらない…。この竜は最後までやるつもりだ。そう確信して。
「貴公の勇姿を称え、望む褒美を与えようではないか」
えっ?
まじ?
望む褒美だって?
「えっと。何でも頂けるんですか?」
「無論だ。我を倒せたらな!」
そう言うとアグナギウスは飛び立とうとした。
やっぱり…。そうくると思ったよ。
[分裂爆破Ⅱ]
あらかじめ用意していたアクマの分身がアグナギウスを巻き込み爆発する。
しかし、アグナギウスのHPバーは残っていた。アグナギウスは何事もなかったかのように飛び立った。そして…
[神炎]
アグナギウスが口を開き、炎を吐き出す!?
そんな優しいもんじゃない!まるで"ビーム"だ。そう思った瞬間、避ける間もなく、アクマは炎に呑み込まれた。
…
……
終わってたまるか!
HPバーがレッドゾーンになり、スキルが発動する。爆発で炎が止まった一瞬で分身がアクマを投げ飛ばす。直後、分身は炎に消えた。炎からなんとか逃げ出せたが、アグナギウスが顔を振り、炎が追ってくる。ヒールで回復して逃げる。背中に迫ってきたそれを避ける。
アグナギウスの攻撃が終わったのか、炎が消える。アグナギウスは大地に降り立ち、アクマの攻撃を待つ。
10分かけて分身を作り…
「これが最後だ!」
[分裂爆破Ⅱ]
分身が起爆する。そして、アグナギウスのHPバーが消滅し、光となって消えていく。3時間に渡った戦いが終わった。アクマのレベルが12上がった。さらに…
【名将を討伐しました。あなたが最優秀貢献者です。】
【特別経験値を獲得しました。】
【特別褒賞を手に入れました。】
さらにレベルが3上がり、所持金が100万クレジット増える。
「あっ?ちょ!約束は!?」
消えてしまっては褒美がもらえないではないか!アクマの叫びにアグナギウスは笑みをこぼした。そのまま消えていく。
そして、光の粒子が降り注ぎ、1人の人間が現れる。
「まさか本当に倒せるとはな。我は炎帝アグナギウス。竜は仮の姿なのだ。もちろん褒美は与える」
《神紅の羽衣UR》Back ◇◇◇◇
DEF60 INT+30 DEX+30 CAPD+20%
魔法攻撃で与えるダメージ+20%
※適性レベル30
《炎帝の指輪UR》Accessory ◇◇◇◇
INT+30 DEX+30 VIT+30
詠唱が中断されなくなる
「こほん。さらに、我を負かせたのは貴公が初めてだ。それを讃えて褒美として与える。大事に使うが良い」
《神撃の手袋UR》Hands ◇◇◇◇
DEF40 AllStatus+20
すべての攻撃で与えるダメージ+20%
《神撃の足袋UR》Foots ◇◇◇◇
DEF40 AllStatus+20
すべての攻撃で受けるダメージ-20%
[炎帝の加護EX]パッシブ
ATK+50% MAG+50%
火属性攻撃で受けるダメージ-50%
習得条件:炎帝を討伐する。※エクストラスキルは1名のみ習得可能
「さあ。これで満足かな?」
アグナギウスからアイテムとスキルを受け取る。性能は壊れている…としか言えないが。強いて言うなら…
「あの…。攻撃魔法が使える武器…みたいなのがあれば…。もちろんその分何かお返ししますので…」
とアクマが答えた。
「強欲な奴よの!それに関しては持ち得てない。知り合いにでも頼んでみるとしよう」
「ありがとうございます」
意外な返事だった。少し楽しみになってしまう。
「さて。貴公が望むなら街まで送って行くがどうする?」
疲労困憊のアクマはアグナギウスの言葉に甘えて、プリンス王国まで送ってもらった。
この戦いの副産物…。多用したヒールがカンストした。
[ヒールⅢ]→[ヒールⅩ]消費MP12 詠唱0sec
対象のHPを回復させる。※回復量はMAGに依存する。
習得条件:HPが減少したプレイヤーにヒールを使用する回数が1000回に到達する。
[エリアヒールⅠ]消費MP48 詠唱1sec
対象を中心に半径3歩以内のパーティーメンバーを回復させる。
※回復量はMAGに依存する。
習得条件:ヒールⅩを習得する
ログアウトした琢磨は部屋に戻り、食事とシャワーを済ませ、眠りにつく。
時刻はすでに2時を回っていた。
長い戦いも終わりました。正直、どういう展開にするか迷いながら書きました!勝たせるのか、負かせるのか。
タイトルは無双しちゃいます!つまり、無双させて行くための準備が必要なのです。虎穴に入らずんば虎児を得ずと言う言葉があります。危険を侵して龍を倒してこそ、手に入る装備ではないでしょうか?
さて、次回は少し変わって現実世界のお話です。ゲーム内の進展はありませんので、本日中の公開にしています。
第15話「現実世界でパーティーに出席したら…」は2月10日12時更新予定です。