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洞窟を探しに出かけたら…

今日も読みに来て頂きありがとうございます!

翌朝、アクマは酒場に居た。プリースト系の装備の入手ルートについて、何か情報がないか調べに来たのだ。西のフィールドや洞窟に魔法に弱いモンスターが多く、魔法系の装備を落とす事があると書いてあった。


「試しに行ってみるか!」


アクマは酒場を出ると、西側の大通りを進んだ。こちら側は大きな学校がある以外は建物がいくつか並んでいるだけだった。その学校こそ、アクマの憧れたウィザード誕生の地、つまりプリンス魔法学校である。ここはウィザード同伴でなければ入る事ができない。


アクマは魔法学校の前を通りすぎ、西門からフィールドに出る。プリンス王国から西に位置するフィールドは木々が生い茂った森になっており、動物型のモンスターが多い。このフィールドのどこかに洞窟の入口があるようだ。アクマは聖属性の魔法攻撃[ホーリーライト]を手に入れたため、試し撃ちを兼ねて洞窟に挑戦するつもりだった。


例のうわさの事とフレンドが誰もダイブしていないという状況から、今回はソロでやってきた。試しにフィールドにいた猫型のモンスターにターゲットを合わせ、魔法を詠唱する。


[ホーリーライトⅠ]


モンスターを聖なる光が包み、そのまま弾けて粒子となった。


「おお!」


初めて使う攻撃魔法の感触にアクマは嬉しくなる。動物型のモンスターを次々と光に変えながらフィールドを歩いていく。アイテムもドロップしていく。


《キャットハンドUC》DEF25 DEX-3


《豚さんバッジC》DEX+3 INT+3 MP+20


そして、開けた湖に出た所に"それ"は居た。

黒い毛並みに特徴的な二足歩行の【ワイルドキャット】だ。


こちらに気づいたのか、ワイルドキャットが向かってくる。


[ホーリーライトⅠ]


聖なる光がワイルドキャットを攻撃すると、HPバーはイエローゾーンになる。


[アクセルブーストⅡ]


ワイルドキャットが前傾姿勢になり、突っ込んでくる。アクマはそれをかわし、詠唱に入る。


[ホーリーライトⅠ]


2発目のホーリーライトが決まり、HPバーがレッドゾーンになった。


[パワークロウⅡ]


反転して射程に入ったワイルドキャットの爪がアクマの身体を引き裂く。ダメージエフェクトを散らしながら、アクマのHPバーはイエローゾーンまで減少した。だか、次の攻撃で倒せる!アクマは次の詠唱に入る…が


[ホーリーっぐへっ!]


詠唱が終わる前にワイルドキャットの攻撃を受け、詠唱がキャンセルされる。通常の攻撃程度ならHPバー1割程度のダメージで耐えられた。体勢を整え、再度詠唱に入る。


[ホーリーぶへっ!?]


詠唱が出来ない!


今までの戦闘で使った攻撃スキルは詠唱0秒のヒール、詠唱妨害不可のエクソシズムの2つだ。攻撃を受けると詠唱が中断の事を忘れていたアクマは、とりあえずヒールで自身のHPを回復する。


考え、そして殴る!HPバーは微動だにしなかった。


「それなら!」


攻撃力を上げて殴るだけだ。アクマは攻撃力上昇のスキルを"詠唱"する。


[パワーらいぶっ!?]


そう、パワーライズの詠唱も2秒だ。当然詠唱妨害を受ける。ヒールは不死以外のモンスターに使うと回復してしまうし、エクソシズムは不死、悪魔モンスター限定の攻撃だ。


これ…。前にも同じような…。


「つまり、避ければいける!」


アクマはワイルドキャットの攻撃を避け、詠唱に入る。


[ホーリーあがっ!いとっ!?]


が、そんなうまくはいかない。詠唱中に次のワイルドキャットの攻撃がアクマを襲う。敵のASPDは不明だが、ほとんどの敵は1回/秒のペースで攻撃してくる。2秒の詠唱時間が必要として、必ず1回は詠唱中に攻撃を受ける。詠唱中は行動制限がかかるため、避けられないのだ。


そして、2人の戦いは均衡状態を続け、悩んだアクマは…


「詰んだ…」


討伐を諦め、後退する。湖畔エリアから離脱する。湖畔から離れるとワイルドキャットのターゲットが外れ、HPバーが消滅する。範囲外からの攻略を防ぐため、ターゲットが切れると戦闘前の状態に戻るのだ。


「詠唱をどうにかしないとソロは無理だな…」


とりあえず、洞窟の位置だけでも把握して帰ろうと探索を続けるのだった。


湖畔を避けて回り道をして西を目指していく。いや、目指しているはずだった。右も木、左も木、前も木、後ろも木…。マップは…あれ?マップには現在地の表示しかなかった。


「バグかなぁ?」


アクマは首をかしげる。一度ログアウトして報告しようと思い、メニューを開く。


【ログアウト不可】このMAPではログアウト機能が制限されています


と表示されていた。うん?と首をかしげながら考える。


「このバグはヤバい?それとも仕様なのか?」


アクマはサポートセンターに連絡し、今の状況を説明する。


「現在、お客様がいらっしゃいますのは"迷いの森"というフィールドです。こちらのフィールドは特殊なフィールドになりますので、ログアウトが出来ない仕様になってます。別のフィールドに移動すればログアウトは可能です」


という返答だった。仕様なら仕方ない。アクマはそのまま森を探索するのであった。


それからどれだけ歩いただろう…?


出口はどっちだ…?


進んでも進んでも…


辺りは木ばかり…


MAPは相変わらず…


役に立たない…


それでも進んだ。


それしか出来ないのだ。


ひたすら歩き…



……


………。


スキルを習得しました。

[ムーヴⅠ]消費MP20 詠唱2sec

対象の移動速度を10%向上する。

習得条件:移動距離が10,000歩を超える


アクマは自身にムーヴを付与し、再び歩く。


気付けば辺りに霧が立ち込めていた。


さらに進むと、少し開けた場所に出た。温泉…?


温泉から湯けむりが上がり、辺りの霧を発生させているようだ。温泉の周囲には猿型のモンスターが何体かいる。


モンスターって事はやるしかないでしょ?


[ホーリーライトⅠ]


アクマはその中の1体をターゲットし、魔法を放つ。光は猿型モンスターのHPを削る。一撃でイエローゾーンまで削った。猿型モンスターがこちらに向かってくる。が、距離があったため、難なく2発目を撃ち込んで消滅させた。それを見た猿型のモンスター達は温泉エリアから逃げていく。


悪い事したかな?と思いつつも、温泉エリアに近づいて行った。温泉に手を付ける。


「これは!いい湯加減だ!」


そうなるとやる事は1つ!アクマは装備を外し、温泉にダイブしていった。気持ちいい。正直、歩き疲れていた所だったのだ。しばらく休んでいこう。そう思い、目を閉じた。


スキルを習得しました。


少し眠ってしまったようだ。目を覚ますと、温泉には猿型のモンスターが現れていた。モンスターもこの温泉が目当てのようで、襲っては来なかった。スキルを習得していたので確認する。


[秘湯めぐり:紫水晶EX]パッシブ

1秒毎にHP5%、MP5%を回復する。

習得条件:秘湯につかる。※エクストラスキルは1名のみ習得可能


[精神統一]パッシブ

待機中、1秒毎にMPを5%回復する。

※待機中はいかなる行動も行っていない時を指す。

習得条件:周囲5歩以内にモンスターがいる状態で30分以上待機する。


[裸の王様EX]パッシブ

Main、Sub以外の装備未装備時、全基本ステータスが100%上昇する。

習得条件:装備未装備の状態でモンスターと1歩以内の距離になる回数が10回を超える。※エクストラスキルは1名のみ習得可能


「なんじゃこりゃーー!?」


アクマの声は紫水晶の山に木霊するが、聞いた人は誰もいなかった。


今日は温泉でまったりした最後でした。冬の温泉…いいですよね!

思いもよらず、変なスキルまで手にいれちゃいました(笑)

当初は秘湯スキルだけのつもりだったのですが、調子に乗ってつい(笑)

新スキルを生かしていけるように今後の話も書いていけたらと思います。

という事で次回「洞窟に入ってみたら…」は2月9日0時更新予定です。


【登場モンスター設定】

ワイルドキャット 動物

HP600 ATK300 DEF80 RES20

黄→アクセルブーストⅡ 60秒間、MOV+50%、AGI+20

赤→パワークロウⅡ ATK200%で攻撃


ヒザル

HP800 ATK420 DEF120 RES80

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