VRテストに応募しようとしたら…
初投稿作品なので、表現の不自由や、描写不足などあるかと思います。
ゲームシステムについても独自の計算式を使用し、できるだけリアルに書こうと思ってます。
内部のゲームバランス等は主人公補正が入るかもしれません。御容赦下さい。
また、今作は戦闘を含む描写がございますので、R15とさせて頂いております。
そういった描写が苦手な方は閲覧をご遠慮いただくようお願い申し上げます。
ご意見やご要望がありましたら、できる限り答えていきたいと思います。
区切りで1話としているので、短編となる事も多いかもしれませんが、気にせず読んで頂ければ幸いです。
高校3年の秋、テレビではある事が話題になっていた。
「ついに我が社では、VRマシンの開発に成功しました。ご覧下さい。こちらがそのマシンです」
様々な機械をつけた人がテレビに映し出される。頭部にはゴーグルに似た形で目や耳を覆う機械、手袋や靴、膝や肘にはサポーターに似たセンサーが取り付けられており、それぞれが奥のモニターに繋がっている。
「これらの複数のセンサーや機械により、4Dに似た感覚でVR世界を体験できるようになりました。現在、開発チームではVRマシンを利用したゲームの開発と調整を行っており、今回はモニターという形で、テスターを募集しようと考えています。正式に決まり次第、当社のホームページで募集致しますので、是非ご参加下さい」
放送が終わり、赤瀬琢磨はため息をつく。
「今年は受験で忙しいし、親父は絶対許してくれないよな」
そう、テスターの募集はすでに始まっており、応募締切まで1ヶ月を切っていた。子供の頃からゲームが好きで、小学生の頃からテレビゲームにはまり、中学に上がってからはパソコンでオンラインゲームをしていた。無論、そんな子供を親が放置するわけもなく、成績に応じたプレイ時間を設けられてる。そのため、高校でも成績は上位でプレイ時間は平日3時間、休日6時間の制限だった。
「たっくん。今のうちにお風呂入っといで。どうせ夜はゲームなんでしょ」
「はーい」
母親に言われて風呂を済ませる。
午後8時、いつものようにパソコンに向かい、オンラインゲームを始める。
ギルドホームに入ると、数人が集まって話していた。
「例の応募してみたけど、何人ぐらい取るんかね」
「さぁな。俺には家庭があるから無理な話だからよ。採用はともかく、応募数はうん万人とか居そうだぜ」
テーブルの右側にごつい鎧を来たタンク役のカナデ、左側に弓を担いだ火力のラッシュが座って、それぞれ話している。
「あら、アクマくんいらっしゃい。メンバーが集まったらダンジョンに行くからそれまで自由にしてて」
声をかけてきたのはギルドマスターでヒーラーのルカさん。そして、このゲームでアクマという名前でプレイしている魔法使いが僕だった。
「ルカさん。ありがとうございます。やることないんで、待ってますね」
軽く返事をして、2人のいるテーブルに腰かける。
「よう、アクマ。お前はまだ高校生だったな。VRやりたいって言ってたが、応募したのか?」
「いえ、親が許してくれなくて」
カナデが聞いてアクマが答える。そもそも親には相談すらしていないのだが、3年に上がった時に大学受験すると言った手前、どうしても言い出せずにいた。
「未成年は親の承認がいるもんな。うちのガキもそんな事言ってたが、お前にはまだ早いって言ってやったしな」
「ラッシュんとこのガキって言えばまだ中学生だろ。募集は18歳以上だろうが」
ラッシュの話にカナデが笑って話す。
「それよりも今日のダンジョンはどこに行くんですか?」
アクマは気まずそうに話題を反らすのであった。
その後、メンバーも集まり、ダンジョン攻略を終える。
「相変わらずアクマの火力はすげぇな。俺まで吹き飛ばされそうだぜ」
カナデが話す。アクマの装備は魔法攻撃を高める効果で固めている。ギルド内での火力は1、2を争う。
「俺の火力も忘れんなよ」
同じく火力を争う魔法使いのアカハネが話す。こちらは範囲攻撃の強化や専用魔法が使える装備を使っている。
「このギルドは脳筋火力ばっかですか。MP回復も大変なんだからね」
2人目のヒーラーである白羽が話す。白羽は赤羽と一緒に行動している。ギルドではルカがHP回復、白羽がMP回復と役割を決めている。会話の中で、カナデが思い出したように話す。
「そうだルカ。例のテスターだけど、選ばれたらしばらく来れなくなると思うから、新しいタンク探さないとだぜ。仕込みも必要だし、そろそろな。」
「分かった。他にもリアル事情があるやつはいないか?」
ルカはメンバーを見渡しながら問う。
「そう言えば、アクマくんも受験があるのでは?」
口を開いたのは白羽だった。それにアクマが返す。
「えっと。それが…」
気まずそうにしている所へカナデが助け船を出す形で話す。
「アクマもテスターしたいんだってよ。でも親が反対してるみたいで悩んでるってわけよ」
「そっか。受験にせよテスターにせよ来れなくなるのは確定…かな?タンクと火力探してみるね。他にないならこれでおしまいっと。」
ルカがまとめたため、他に意見はなかった。時刻は23時を迎えようとしており、あくまがログアウトし、他のメンバーもそれぞれがログアウトしていく。パソコンの電源を切った琢磨は横になり、そのまま眠りについた。
翌日、20時になってもアクマはログインしなかった。父親から話があると呼ばれていたからだ。琢磨が父親の部屋に入り、2人の会話が始まる。
「琢磨。行きたい大学は決まったか?」
「いや…。それはまだ…」
「じゃあ将来の夢とか、なりたいものはあるか?」
「それは…。一応、ゲームを作る側になりたいと思ってるけど。」
「そうか…」
しばらくの沈黙の後、父親が口を開いた。
「実はな…。お前が進路の事で悩んでると聞いてな。お母さんとも話をしたんだが。一度きりの人生だ。琢磨の好きにするといい」
そう言って父親は1通の封筒を琢磨に差し出す。その封筒には「VRテスター募集要項」と書かれていた。驚いた顔をして父親を見上げると扉が開き、母親が入って来る。
「たっくんには黙ってたけど、たっくんのやってるゲームね。オンラインゲームって物騒じゃない?知らない人に会って事件になったってニュースもあったし。それで、お父さんや友達と一緒にプレイしてたの。それで……。私達が赤羽と、白羽なの。」
突然、母親からの電撃告白である。そしてゲーム内でも、ギルドのメンバーは全員父親、母親の知り合いという事実が暴露され、晴れてテスターに応募する事が決まったのである。
翌日、琢磨は必要事項を記入し、親の同意書付きで書類を提出した。
そして後日、書類審査通過の通知が来る事になる。
第1話では、高校生の琢磨がVRテスターに応募するまでの流れでした。序章になるので、細かい部分はかなり省いたつもりです。
次回からはいよいよゲーム世界にログインして参りますので、ご期待下さい。
それでは
第2話「キャラクター作成しようとしたら…」
でまたお会いしましょう。
次回投稿は1月31日0時を予定しております。
また、あとがきではゲーム内設定などを少しづつ公開していきたいと思っております。