夜に歩けば
ネコの子いっぴきいない夜
高い足音が
寂寞たる街の一角に
いのちをそえる
街灯がまたたきをおぼえ
最期のエゴをふりしぼるとき
彼女の長く伸びた金髪は
そのひかりをすべてうばいとってしまうだろう
歯をむきだしたガーゴイルは敵か味方か
日のもとでさえ真実は氷のなかに閉じこめられたまま
嘘のない世界では
ぼくはこわくて手探りもできない
彼女の唇は残酷な血の色
それは彼女自身が流しているのか
それともそれは
ぼく自身の想像のさんぶつなのかい
わかれのダンスはいつも突然で
闇の中では死にものぐるい
だいすきな曲をまっているから
だれもが離れるきっかけを失っているんだよ
口をつぐんだガーゴイルは夢かうつつか
日のもとでさえ時間は思い出のなかに閉じこめられたまま
だからそれゆえに彼女は歩き続け
ぼくは足踏みをしつづけるのだろう