1.理不尽
「んあ...?」
俺は見たことのない部屋で目が覚める。周りには本が散らかっており小さな人形のようなものが動いて本を片付けている。ということは...
「夢じゃ...ないのか」
「そうだな夢じゃないな」
俺は声が聞こえた方に顔を向ける。机に誘拐魔が座っていた、机には何か変なものがのっかっている
「あ!誘拐魔の女!ふざけんな家に帰せ!」
「私は誘拐魔じゃない!...たく...まあいい、おいこれで自分の顔を確認しろ」
そういって誘拐魔の女は俺に手鏡を渡してきた。そういえば俺は10歳くらいに若返っていたんだった
自分の姿くらい確認しとかない...
「誰だこの美少年...」
「やっぱり気が付いてなかったか...」
俺が自分の姿にビビっていると、誘拐魔の女が話しかけてきた
「とりあえず下に降りるぞ少年...燃料は今度こそ満杯にしたからさっきみたいに動かなくなることはない...安心しろ」
「燃料?何言ってるんだ?そもそも俺は一体何なんだ?」
そういうと誘拐魔の女はため息をついた後
「私は少年がゴーレムだって言っただろ...いいからさっさと行くぞ...あと私の名前はリアムって名前があるんだ...」
俺は立ち上がろうとしたとき左手に違和感を感じる...というか
「ぎゃああああああ左手がぁぁぁぁぁぁ」
「ん?ああすまんつけるの忘れていた」
そういってリアムは俺の左手を持ちながら近づいてきた
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「で、どうやって俺をこんな所でこんな姿に改造したん?」
そういった俺にリアムはため息をついてから話し始めた
「私はゴーレム制作をしているただの研究者なんだが...心を持ったゴーレムを作りたくなってな、それで素材を調べて作り始めたんだが...片言になったり途中で壊れたりと...まあ失敗しまくったわけだ」
なるほどだから俺が1300人目だったのかっというかよく1300人も作ろうと思ったな
「で、まあ色々考えた結果、死んだ人の魂を入れたら何とかなるかなーって思いまして...」
...まさか
「...魔法詠唱を間違えて、間違って俺をここに呼んだ感じじゃないよな?」
そんな俺の言葉にリアムはしばし考えてから
「えっとだなぁ...実をいうと...まあ...ガチャが外れたというか...まさか記憶がある魂が呼ばれるなんて思ってもいなく...」
つまり俺完全なとばっちりやんけ
「...まあいいや、手違いだったんなら元の世界に帰してくれよ、明日も仕事なんだ」
まあゲーム配信するだけだけど
「ん?何を言ってるんだ?記憶を持った魂といっただろう、お前はすでに死んでるぞ」
...え?
「え?」
「いやだから言っただろう?私は記憶のない魂が欲しかったんだ、記憶のある君を呼び出してしまってすまないと」
ええっとつまりあれか?俺はあの赤い魔法陣に入った瞬間に死んだってのか...?
「俺のゲーマー人生が...あの気味悪い携帯電話のせいで消えたのか...」
「中途半端に記憶が残ってるタイプだったのか...だが安心してくれ!私には記憶復元魔法がある!これで少年の記憶を直してやろう!...一応覚えている最後の記憶を教えてくれ」
ぶっちゃけ死ぬ瞬間の記憶なんて思い出したくないが何か大切なものが消えていたら困る...パソコン...ローン残ってるんだから
「えっと...まず俺がでかけようとすると、俺の世界のなんか...壊れたはずの通信機器が鳴りだしたんだよ...」
「通信機器は魔力を入れないと動かないとかはあったか?」
「いや、電気って物を入れないと動かないんだ、魔力は必要ない」
とりあえず真面目に答える。勝手な想像だが、こいつには真面目に答えないとやってくれない気がする
「まあ壊れたはずのものが動き出して気味悪いから窓から投げ捨てた」
「窓から投げ捨てたのか!?もったいない!そういうのは色々研究に使え」
こいつ話の途中で脱線するタイプのやつだ!
「うるせぇ!いいから話し戻すぞ、そしたら足元に赤い魔法陣ができて...気が付いたらここにいた...ってどうした!?俺変なこと言ったのか!」
赤い魔法陣といった瞬間にリアムの顔が少し険しくなる。
「赤い魔法陣は人間が勇者を呼ぶために作られた転生魔法だ、だが勇者は一向に現れず、勇者じゃない人たちは全員処刑されたのだ...少年はその中の一人だったと考えればつじつまが合う」
えっと...つまり俺は完全に人の身勝手で呼ばれて人の身勝手で処刑されたって事...だよな...
俺はリアムに少し感謝する。この体を与えてくれなかったら俺は記憶がないままこの世をさまよっていたことだろう
「...この世界のものが迷惑をかけたな...とりあえず記憶復元魔法をかけてやる...本当にすまなかったな」
「いやお前のせいじゃないだろ、とりあえずさっさと記憶を戻してこの体で第二の生活を楽しむよ」
そういうとリアムは詠唱のようなものを始める。...しんだ時の記憶が戻るのか...多分辛い記憶もたくさんあるんだよな...
「甦れ!メモリーズ!」
そうやって叫んだ瞬間俺の周りに光のようなものが現れ...
そして...消えた
「あの...記憶戻ってないんっすけど...」
「...あー!そうか!」
リアムは少し考えた後
「そういえば少年はほぼ無機物扱いだから...多分ほとんどの状態異常を受けないんじゃないか?」
ええっと...つまり
「俺の記憶は戻らないと...永遠に」
「まあ...そうなるな」
俺はそう聞いた瞬間に立ち上がり
リアムに殴りかかった