5/11
囚われの少女③
彼女の名前はリンネ・ルードビッヒと言い、“パンドラ”と呼ばれた者だった。
リンネは六歳の頃からここに閉じこめられていた。
この部屋には許可された者以外入ることは許されなかった。
彼女の世話をする侍女または小間使い、部屋の中から彼女が出ないようにする為、三重にも四重にも鳥かごのような結界を張る魔法士、そして王が許可した者のみ入ることが許された。
彼女はそういう者達と会うことがあっても会話をすることはなく、唯一会話をするのは侍女の二人だけだった。
それ以外の者は彼女と目を合わせることもせず、少しでも目が合えば汚らわしいものを見るような目で見たり、恐れるような目で見たりと全く感情を隠すことなく嫌悪の目で見た。
彼女はここに入れられてからずっとそんな目に晒されながら生きてきた。