「神崎 昴」は変わらない 07
ふわりと鼻腔をくすぐる花の匂いで、神崎は目を覚ます。
「おはようございます。神崎さま」
そういわれて、神崎は瞼を擦りながら赤いバンシーに挨拶を返す。
昨晩の食事で聞いたことを神崎は思い返す……
おおむね国家間のこと、魔人族の置かれている立場は聞いていた通りだった。
「税収」について補足があったくらいだ。
魔人族は種族毎に生活区域を分けているみたいだが、1つの例外がある。
魔都:マトリカリア
魔人族の上位種「魔神族」が統治し
唯一複数の魔人族と人間が暮らす都市。
そこに半年に一度、定められた供物を納め
生存を精査されるらしい。
言い換えれば、ここで人間に必要ないと判断されれば
その種族は捨てられたも当然らしい。
事実上の死刑宣告だ。
もっとも、魔神族側も切り捨てるための「税収」の精査ではなく
少しでも生き永らえるように、人間に魔人族の価値をアピールするための
機関らしく、少し安心した。
バンシーたちは「キィの実」という果実を納めているらしく
いまだに生き永らえることが出来たらしい。
もっとも、あんなに美味しい果実が「動物の調教用」だと聞いたときは、驚いた。
そんな俺の表情を見て、バンシーたちは笑っていたが
俺は間違ってないはずだ。うん。
だって美味しいのには変わりないしね。
そして一番の驚きだったのがこれだ。
《自己開示》ステータスオープン
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神崎 昴 人族 Age 16
攻撃D 防御D 魔力量A 魔防A 素早さD
魔法:
加護:
言語の加護
スキル:
固有能力:
異世界からの旅人
あ●×Er▼
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目の前に、自身のことが書かれた半透明の画面が出てきた。
この世界には「魔法」が存在するらしく
現在の自分の状態が《自己開示》と唱えると人目でわかるようになるようで
当たり前のことらしい。
目の前の文字に触れれば、そのことについての詳細が表示される。
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言語の加護
他種族との言語隔たりを少なくする
異世界からの旅人
魔法の習熟を補助する。
魔法に対する適正値、習熟値の補正。
あ●×Er▼
Error Error
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魔法の存在にはもちろん驚いたが
個人的には、自分の年齢が16歳と表示されてる事の方が驚きだった。
自分の年齢が半分になっていることに
どう反応していいのか解らず、一人唸っていた。
最後の1文は村長にもわからないらしく、追い追い調べてくれるみたいだ。
少しきな臭い感じがするが、こっちの世界に召喚された事例は
いくつかあるらしく、それに期待するしかないみたいだ。
神崎は立ち上がり、長い背伸びをし
身支度を整える。
今後の神崎自身のことを村長と話すために
赤いバンシーとともに、集会場を後にした。
PV数が順調に延びてるので
それを見てニヤニヤしてます←
些細なことでも良いので
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