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邪魔をする勢力

店の主人の予想は当たった。砦から出てきた馬車を付けるとデマンド伯爵の屋敷に消えていった。うん、寄り道をしないとは感心だ。奥方が怖い人なのかな。


王宮に戻ると皇太子からお呼びが掛かっていた。偵察に行くことは言っておいたので早く結果が知りたいのだろう。もう、せっかちさんなんだから。そんな事では奥方が満足されないぞ!あれ?皇太子って種がないだけで起っきはするのよね?なんか微妙なことだから聞き辛いな。いや、そもそも聞くような事じゃないか。


「で、どうであった?」

主語が抜けているよ、皇太子。ちゃんと前儀はしなさい!

「悪くないわ、あれなら忍びこめる。でも日時は言えない。護衛たちにも変に通達しないでね。気取られるかもしれないから。」

「うむっ、分かった。では何か用意するものはあるか?」

「そうねぇ、まずは匂いを消す為に香油のたっぷり入ったお風呂に入る必要があるわ。後は準備運動のためイケメンのかわいい子を数人用意して頂戴。」

「・・・。」

あら、黙っちゃった。やぁ~ねぇ。冗談なのに。このくらいスパっと返せないと芸人グランプリじゃ予選すら通れないわよ。


しょうがないので私は話題を変える。

「王子の肖像画は用意できましたか?」

「あそこにある。2年前に描かせたものだ。良く描けている。」

私は皇太子が目で示した壁に掛けてある肖像画を見た。あらやだ!王子ってかっこいいじゃない!ちょっと今何歳?奥さんとかいるの?

「ふぅ~ん、王子ってお后似なの?まぁ、十歩譲ればあなた似とも言えなくもないか。」

私の冷やかしに皇太子は渋い顔をする。

ちょっと皇太子!あなた息子の事になるとメンタル豆腐過ぎない?もっと併せなさいよ!そんなんじゃコンビを組んでグランプリを・・。このネタはもういいか。


「ところで砦に貴族の馬車が入って行ったんだけど心当たりはあります?」

私の問い掛けに皇太子は少し考えた振りをする。こいつ絶対分かっているよ。演技下手だねぇ。

「ふむっ、多分内務大臣であろう。あの砦はあやつの持ち物でもあるからな。」

「ふぅ~ん、その内務大臣とやらは王子魔王のことは知っているのかしら。」

「知っておる。故にあそこを王子の軟禁場所に押したのもあやつだ。」

げーっ、また怪しいやつが出てきたよ。面倒くさいなぁ、だから暗殺って嫌いなのよね。裏の事情が絡まりすぎなんだもん。

「その内務大臣の名前はなんてゆうんです?」

「デミドリアン・デマンド伯爵。王子の叔父。わしの弟だ。」

「デマンド?家名が違いますけど。」

「あやつは王の側室の子でな。その側室がデマント伯爵家の娘だったのだ。」

「お里帰りをさせられたんですか?」

「伯爵家は当主と跡取りが立て続けに死んでな。急遽デミドリアンを戻すよう王に願い出て認められたのだ。」

「あ~っ、ということは王位継承権は・・。」

「一旦は剥奪された。だが兄たちが亡くなった為、特例として戻された。現在は王子の次、第3位だな。」

「もしかして、私が王子を狙っていることも?」

「知っている。事が済んだ後のことを考えると教えておかぬ訳にはいかぬ。」

「はぁ~っ、そうですか。」

暗殺ってあんまり絡む人が多くなると失敗しやすいのよねぇ。

「弟さんの事を勘ぐりたくはないですけどかなり怪しくないですか?」

「何故だ?息子が死ねばやつの順位は上がるのだぞ。邪魔はすまい。」

まぁ、普通に考えたらそうなんだけどさ。でも私の第69感が騒ぐのよ。一発やれば収まるかしら?最近ごぶさただからな。よし!今夜は狩に行こう。


「確かにあやつは悪い噂が絶えない。しかし、出目と現状を考えれば致し方あるまい。やつの立場は云わば蝙蝠だ。王家と伯爵家の板ばさみになっている。わしだったらとうの昔に投げ出しているな。」

ふう~ん、庇うんだ。腹違いと言えど弟だからな。当然か。でも多分駄目だな。皇太子、あんたって悲運の星の元に生まれたのねぇ。でも、それも運命か。大体あんたが勇者ごっこなんかするからこんな事になるのよ。自業自得だ。うん、私は悪くない。

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