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第29回

朝練に来たのが西山一人。

橘には、実は好都合ではあった。

ガツンと喝を入れるちょうどいい口実になった。

ここで、一度締めた方がいいと考えていた。

と、そこへ西山が入ってきた。続いて鈴木。

その後、5分ほど経ってから残りの部員が入ってきた。


「昨日は、ほんとによくやった。」

まずは、ほめないとな。

「長谷川、ケガは残念だったがエースとしてよくがんばった。

 他の皆も、持ってる力を全部出そうっていう気合がよく

 伝わってきたよ。」

西山以外は、ニコニコしている。鼻がふくらんでいる。ここだ。

「しかし。」

橘は腹に力を入れた。

「まさか、満足してるわけじゃあないだろうな?」

来たよ、説教か?という表情に変わる。

「俺は、もっと上を目指してる。こんなもんで満足してないぞ。

 いいか、これで他からのマークは厳しくなる。今のまんまじゃ

 つぶされるぞ。」

教室から笑顔が消えた。

「なぜ、今日、朝練に来ない?そんな緩んだ気持ちでどうする?

 なぜ、もっと上を目指そうという気にならない?」

そこで長谷川が口を開いた・

「昨日の今日ですよ?いいじゃないすか。」

「今日も、修学は練習してるぞ?お前らに勝った学校が練習してるんだぞ。

 そんなのほほんとした気分でどうする。ただ、楽しくやれたらいい、てやつは

 やめろ。もっともっと練習して、上を目指そうって気になれないやつは、やめろ。」

全員の表情がこわばった。

「いいか、練習量の多寡じゃない。短い時間でどれだけ集中してやれるかなんだ。

 いい加減な気持ちでは勝てないぞ。」

よし、どうだ。引き締まっただろう。橘は思った。しかし・・・

「やめます。」

長谷川が言った。

「な、なに?」

「俺は、そこまでしてやる気ないです。学院に入ったのはテニスするためじゃないですから。

 俺は、楽しくやれたらいいですから。」

エースの発言は重い。

「長谷川いないんじゃ、団体戦勝てないよな・・・

 それに、先生の言い方、なんか納得できないです。」

今度は内山が言った。

予想外の展開に、橘は言葉が出なかった。

長谷川が立ち上がり、続いて内山が立ち上がり、教室から出ていった。

続いて・・・坂本、佐々木まで。

残ったのは、西山と鈴木だけだった。

な、なぜだ?そんな程度なのか?

確かに、うちの学校は進学に有利だからと入学してくる。

しかし、部活動はそんな程度なのか?

残ったのは、奇跡のような勝ち方をした西山と、

ダブルスでしか使えない鈴木だけ。

しまった、と思ったが後の祭りだった。


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