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第13回

佐久間美紀は悩んでいた。

平田にメールを打つか否か。

あたしらしくない?

平田君はあゆに気がある。それはわかってる。

でも、あゆはまったくその気はない。

なら、友達裏切ることになならないよね?

よし。ピッ。


今日はありがとう。また教えてね。


たったこれだけのメール、なんてことはない。

ただ、返信があるかどうかだ。

えい、もう打っちゃったものはしょうがないよね。

それより、あゆだ。

わざわざ、親に電話して迎えに来てもらってた。

なんで?坂本君の車に乗ればよかったのに。

おかしいのは、

「親が来ることになってるの」と、言ったあとで

家に電話してたことだ。終わったことを知らせていたんじゃない。

「悪いけど、迎えに来てくれる?」と言ってた。

わざと、残った?なんで?

まさか、あのどんくさ君と話したいから?まさかね?

でも・・・


美紀は大変な誤解をしていた。

亜由美は父親と迎えに来てもらう約束をしていたのだ。ところが、

来れないとなったので、母親に

「悪いけど、迎えに来てくれる?」と、言ったのだ。

電話したのは、終わったことを知らせるためだったのだ。

悲しいかな、西山のことなど、その時点ではまったく頭になかったのだ。

が、この大誤解は美紀に勇気を与えていた。

これであゆに遠慮することはない!と。

時に、人には、自分で自分の背中を押す理由がいるのだ。


その大誤解の張本人、亜由美は机の前で宿題プリントを開いていた。

生物が好きだった。人間が不思議だった。感情ってなんだろう。

なんで、泣いたり、笑ったりするんだろう?

人の体を構成するものの中から、なぜ感情が生まれてくるんだろう?

感情ってめんどくさい、と思う時さえある。

でも、そう思うのも感情だ。

と、その時、携帯がなった。

「もしもし」美紀だ。

「ああ、なに?」

「あのさ、あたし平田君にメールしたんだ」

「へえ、メアド、ゲットしたんだ。やったじゃん」

「でね、返事来たんだけどさ。」

「いよいよ、やったじゃん」

「それがさあ、最悪。」

「どうしたの?」確かにへこんでる。

「また、テニス教えてね、て打ったんだけどさ、返ってきた返事がさ、

 『また吉川さんも誘っていっしょにやろうね』だってさ。」

「ふーん」

「ふーん、じゃないよ。あたし、どうしたらいい?」

ああ、めんどくさい。感情ってほんとめんどくさい。

返す言葉もなく、黙っていると

「あゆ、平田君のこと、なんとも思ってないよね?」

「うん。全然。」

「ほんとよね」

「ほんとだって。」

「じゃあ、あのどんくさ君は?」

「どんくさ君?」

実はすぐに、西山君のことだとわかった。でも、思わずとぼけた。

「今日来てた、坂本のともだち!」

「ああ、西山君?なんで?」

「だって、もしかして、なんか気になってない?」

するどいなあ。なんで、わかるんだろう?でも、そんなんじゃない、と思うんだけど・・・

「やっぱり!」

「ちょっと、早合点しないでよ。あきれて口がきけなかっただけ」

「ふーん。そおかなあ。ま、好みは人それぞれだからね。

 とにかく、あたしは平田君をあきらめないからね。今度、また

 坂本使って平田君誘うから、絶対来てよね。」

坂本君はなんなの?なんかかわいそう。でも、そしたら、西山君も来るかも。

「わかったよ。せいぜいがんばってね」

「あ、突き放し!ひどおい。ま、よろしくね、バイバイ」

なんか、めんどくさいけど、少し楽しい?





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