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第10回

坂本は考えていた。

西山のサーブについて。

なぜ、平田ともあろう者が受け損ねたか?

それもボディに受けるなんて、ありえない。

坂本自身、西山のサーブがそれほどのもんだとは思っていなかった。

俺のときは、手加減してやがったのか?

いや、そんな器用なことできるやつじゃない。

だいいち、そんな余裕かましてられる立場じゃないよな、あいつ。

レギュラー七人枠に入れるかどうかギリギリだもんなあ。

平田に聞いても、生返事しかしない。佐久本美紀もうるさいし。

だいたい、なんで吉川がいないんだよ。もっと話ししたかったんだけどなあ。


「坂本?」

「おお、平田、なに?」

「送ってもらってサンキュウ。おばさん、ありがとうございました。」

「あ、もう着いたんだ。じゃ、またやろうぜ。直ったら。」

「ああ、じゃまたな。佐久本さん、また。シップありがとう。」

「ううん。じゃ、メールするね。」

こいつ、平田のメアド、ゲットかよ。

平田一人が降りて、車はまた動き出した。

「お前の学校、携帯禁止じゃないのか?」

「そんなの誰も守ってないよ。学校では一応電源切ってるし。東光は?」

「もち、禁止。別にいらないし。」

「へぇ〜。持ってないんだ。残念ね、あゆのメアド教えてあげようと思ったのに」

!!

「吉川の?吉川も携帯持ってるのか?」

「わかりやすいね、あんた。」

「な、なにを言うか。別にそんなつもりじゃない。」

突然、運転席のおふくろがケタケタと笑いだした。

「みつる、(俺の名前は満)あんたね、いい加減あきらめたら?」

「え、おばさん、どういうこと?」

こら、お前ら、会話するなあ!

「この子ね、ずっとあゆちゃんが好きなのよ。幼稚園から一緒でしょ。その頃から」

「んで、告白したの?」

今度は佐久本が俺に向かって訊いた。

「んなもの、するわけないだろうが。なんでもないんだよ。母さん、余計なこと言うなよ!」

「はいはい。バカ息子さん。」


そうだ、俺は吉川亜由美が好きなんだ。でも、あいつ真面目だからなあ、変なこと言ったら、

瞬殺じゃないかと思うと、怖くて告白なんかできるかよ・・・


いつの間にか、西山のサーブのことなど頭から消えていた坂本だった。


その頃、坂本など、まったく眼中にない亜由美は・・・

いや、坂本だけではない、男子のことなど眼中にない亜由美は、

やはり母親の運転する車で家に向かっていた。

「お父さんは?」

「迎えにいくこと、すっかり忘れてビール飲んでんのよ、まったく。」

「ふうん、お母さん、とばっちりね。」

「ふん、お父さんたぶん寝てるし、ケーキでも食べて帰ろうか?」

「いいね、お母さん、私、ローズに行きたい」

「はいはい、お客様、ローズですね。」

ローズというのは、自家製ケーキの販売もしている喫茶店だ。

運良く、駐車場にも空きがあった。


母娘はいそいそと店に入った。

すると、そこに、西山がいた。


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