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入学したこの地方一の進学校に、僕の希望どおり金村はいた
「久しぶりだね、背のびたねえ」
僕がいることが当然というように、金村は驚きひとつ見せず再会後の第一声を放った
金村に会ったら伝えたいことが僕にはあって、さっそくそれを言ってみた
「おめでとう、次の定期テスト、キミが一番だよ」
「ちょっと、何、言ってんの」
「キミには一番でいてくれないと困るよ、一番のキミを追いかけてここまで来たんだ、一番のキミを追いかけて追い越すのが僕の目標だからさ」
「まいったなあ、この学校で学年一番なんてさあ」
「キミならできるでしょ」
「簡単に言うねえ」
「でも、ひそかに、なんじゃないの」
「へへ、さあね」
あのときより、なんだか金村との距離が縮まった気が、すこしした
いまなら追いつけるかな、追い越せるかな
わからないけど、できそうな気が、あのときよりはしている
金村に一番近い場所は、誰にもとられたくない、誰にも渡さない
春風が強く吹いて、僕のそんな覚悟を後押ししてくれているようだった




