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巡る季節の詩・季節の作品

桜が美しくあるために

作者: リィズ・ブランディシュカ
掲載日:2026/03/17



 クラスメイトの桜さんは美しい。

 性別を問わず人々を魅了してやまない、天使のような女性だ。


 ファンクラブなんてものがあり、私も、そんな桜さんのファンの一人だ。

 視界に入れているだけで、目の保養になる彼女は温室育ちのお嬢様。


 家の方針で一般庶民の学校に通っているから、私達のような凡人と一緒に勉強してくれているけれど、本来は手の届かない存在だ。


 だから、彼女の中の特別な存在になりたいとは思わない。


 見守っているだけで満足。


 それはアイドルを応援するファンのような心境だろう。




 しかしそんな桜さんの美しさに陰りがでた。


 最近、寝不足らしくいつもふらふらしている。


美というものはある程度遺伝子で決まると思うが、化粧や服装などの努力も関係する。


 健康管理もその一つだ。


 よく眠れていないらしい桜さんの美しさは、日々日に陰っていった。





 ファンクラブとして、そんな現状は看過できない。


 アイドルの日常に土足で踏み入るのは原因だが、困っているのが明らかなのに何もしないでいられるほど大人ではない。


 私達はまだ学生なのだから。


 例え相手が相談してくれなくても、私達は彼女の力になろうと思い、調査を始めた。





 桜さんは最近ストーカーに悩まされているようだ。


 一人の男から、交際してほしいとしつこく言い寄られているらしい。


 桜さんはうまく彼との関係を断てないでいるようだ。


 知り合いの恩人だとかで、厳しい態度を取れないとか。


 ならば、と私達は桜さんのためにひと肌脱ぐことに決めた。


 相手と積極して、迷惑な交流を断たなければ。


 その際に、話を聞いてくれなかったならある程度乱暴になってしまうのは致し方がない。


 桜さんが美しくあるために。






 桜の木の下には死体が埋まっている。


 そんなフレーズを聞いたことがある。


 桜の木はその死体のおかげで美しく咲き誇っているのだと。


 一体どこからそんな話が出始めたのだろう。


 何かの小説? 物語の言葉だっただろうか?


 世の中には妄想力逞しい人がいるんだなと、以前はそう思っていた。


 でも、今はある程度共感できる。






 だってうちのクラスの桜さんは今日も美しい。


 生気の満ちた、薄紅に色づいた頬で笑む桜さんは、死体なんて物騒なものからは遠い場所にいるようで、とても近くにいるのだから。





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