特対判例:能力者と誤認した場合の制圧行為
〔判例名〕
20××年×月×日 最高裁判所第一小法廷判決
特異感情能力対策庁職員による制圧手続に関する違法性の成否
〔事件番号〕
20××年 (あ)第XXXX号
逮捕、特異感情能力対策法違反被告事件
〔裁判所名〕
最高裁判所第一小法廷
〔判示事項〕
1.無能力者に対し、特異能力者であるとの通報および現場状況に基づき、緊急制圧手続を行った特対庁職員の行為の適法性
2.特対法に基づく緊急執行における手続準拠の要否
3.制圧に伴う物理的被害の法的許容限度
〔事案の概要〕
被告人Aは、私怨を目的として日本刀2振を携行し、深夜に抗争相手のBを襲撃。
現場でこれを目撃した住民は、被告人Aの異様な挙動および装備から
「両腕から刃物を発出させる特異能力者である」
と誤認して110番通報。
通報内容は特異感情能力による殺傷行為の可能性を含むとして特対庁に即時共有され、特対庁部隊が出動。現場では被告人が薬物の影響で錯乱し、日本刀を振り回しており、制止に応じない状態であった。
特対庁職員2名は、特対法第11条2項に基づく緊急制圧手続を行い、特異感情能力(それぞれ爆発、身体硬化)を用いて被告人を制圧。
その後、制圧令状の請求・発付が完了し、被告人に提示された。
被告人は無能力者であったことから、特対庁職員による違法制圧、違法逮捕であるとして訴えた。
〔主な争点〕
1.被告人が実際には特異感情能力を有しない者(非能力者)であったにもかかわらず、誤認に基づく特対庁の介入が違法とならないか
2.特対庁による緊急制圧手続が、特対法所定の手続(階級指揮・投与記録・6時間以内の令状請求)を充足していたか
3.制圧における「爆風による転倒」「鉄拳による打撃」などの実力行使が、過剰・不相当であったか
〔判旨〕(要約)
1.特異能力の有無は、制圧前には完全には確認できず、目撃情報・錯乱状態・凶器の所持状況・拒絶的言動等に照らし、特異感情能力発現の可能性を疑うに足る相当な理由が存在していた。
2.制圧時には、特対法第11条2項に基づく緊急制圧手続が発動されており、当時現場において最上位の執行士長の指揮で執行され、かつ制圧から約4時間30分で裁判所により正式な制圧許可状が発付されていることから、手続的には適法と評価される。
3.小規模爆発により転倒させた行為、および鉄化拳による制圧行為は、殺傷を意図せず、当該人物が凶器を両手に持ち錯乱していた状況下における最小限の制圧措置と認められ、職権の逸脱または濫用とはいえない。
4.結果的に被告に対し右手首および肋骨を骨折させたことは不幸ではあるが、特対庁職員における正当な職務行為の過程でのものであり、違法な私的暴力とは言えない。
〔結論〕
特対庁職員の制圧行為は特対法に基づく適法な緊急措置であり、被告人の主張する違法性は認められない。
刑事責任については、覚醒剤使用下における錯乱と暴行行為により有罪判決が維持される。ただし、国家賠償上の議論については行政訴訟に委ねる余地を残す。
〔判決主文〕
原判決を破棄し、被告人の上告を棄却する。
なお、本判決は、特異感情能力対策庁職員による制圧行為のすべてを無限定に是認する趣旨ではなく、個別具体的状況において相当性を欠く場合には、別途違法性が問題となり得ることを付言する。




