第4話 バラエティ番組で大暴走!生放送中にまさかのハプニング!
1
都内某テレビ局。
今日の番組は視聴率が高いお昼の生放送バラエティ――
その目玉ゲストが、真田烈馬だ。
控室では、あやめがすでに泣きそうな顔で烈馬に土下座していた。
「お願いですから……今日は……! 普通の人っぽくしてください……!」
烈馬はキョトンとした顔で、代わりに自作の「戦国マナー心得帳」を広げる。
「心得その一、刀を抜かない。心得その二、兜は途中で被らない……心得その三、スタジオ内では馬に乗らない……うむ、完璧じゃ!」
「あやめ殿、安じるな! もはや拙者、現世の武士ゆえ!」
「……不安しかない……」
2
本番直前――
ディレクターが厳しい顔で注意する。
「真田さん、番組内ではあくまで『面白いキャラ』としてお願いします。生放送なので変なこと言わないでくださいね!」
烈馬は胸を叩いて答えた。
「任せておけ! 武士に二言はない!」
(……その武士の二言が一番信用ならんのに……)
あやめは放送席の裏で胃薬を握りしめた。
3
いよいよ生放送開始。
司会のベテランタレントがにこやかに烈馬を迎える。
「さあ今日は! 今もっとも話題のジョッキー、戦国武将騎手・真田烈馬さんです!」
烈馬はスタジオ中央に立ち、カメラに向かって堂々と一礼。
「拙者、真田烈馬! 我が武勇、見届けられよ!」
観客席「おおおおーー!!」
画面のテロップ:
『#烈馬語録』『#暴走注意』『#戦国ジョッキー』
4
最初は順調だった。
好きな食べ物:「うどん!」
趣味:「馬の世話!」
苦手なもの:「現代の鉄馬(自動車)!」
スタジオは大ウケ。
あやめもホッと一息。
しかし――
司会「ではここで、烈馬さんの再現コーナーです! 騎馬武将としての“戦場でのかけ声”を実演してもらいましょう!」
スタッフが用意した木馬に烈馬がまたがる。
烈馬、キラリと目が光った。
「よいか――全視聴者! 我が突撃、刮目せよ!!」
5
烈馬、木馬にまたがった瞬間――
「うおおおおおおおおっ!!」
室内とは思えぬ轟音。
勢い余って木馬が前方にずり落ち、セットのパーテーションを破壊。
ドカーン!
カメラマンの悲鳴と観客席の爆笑が入り混じる。
司会「カットカットカット! 生放送だぞおおおお!!」
スタッフ「マイク外れてますー!!」
あやめ「れ、烈馬さん、止まって止まってええええ!!」
烈馬は破壊された木馬を引きずりながら、仁王立ち。
「これぞ我が突撃――痛快なる勝利の証よ!! はっはっはっはっは!!」
6
スタジオは完全にカオス。
スタッフが走り回り、ディレクターは放送禁止用語が飛び出さないかと冷や汗ダラダラ。
しかし――視聴率速報が入る。
スタッフ「ディレクター! 視聴率……瞬間最大、30%超えです!!」
ディレクター「……もう、好きにさせろ!!」
7
番組の最後――
壊れたセットの前で、烈馬が堂々とカメラに向かって言った。
「視聴者よ! 次は競馬場にて、我が戦を目に焼き付けるがよい! いざ、出陣じゃあああ!!」
司会「えー……本日のゲストは……真田烈馬さんでした……(疲労)」
エンディングテーマが流れる中、あやめは泣き笑いで叫んだ。
「胃薬追加ァァァァァァ!!!」
こうして、
真田烈馬のバラエティ番組大暴走は
伝説として昼の生放送史に刻まれるのであった――。