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自滅の6:ドS温泉フジワランドOPEN!

前回、温泉を掘り当てたフジワラ。

土地を買収し、温泉施設を作ることにした!

「借金がさらに増えたけど、きっとすぐ回収できるから、実質ゼロ♪」

フジワラ家の未来は明るい。多分。

こうしてS温泉「フジワランド」、本日OPEN!!

…S温泉?


「S温泉って、スーパー温泉って意味?」

質問を投げかけるヒナ。

スーパー銭湯の一種だろうと予想してみる。

しかしフジワラは首を横に振った。

「そうじゃなくて…


『ドS温泉』!」


よく見れば、施設の入り口もMの字になっているではないか。

ドMホイホイということか!

そう…ここはフジワラが色んなドS行為を施してくれる、ドMにとっては天国のような施設なのだ!!


※ちなみに来館者は施設内では無料貸し出しの館内着に着替える。

男女ともに下着に近い格好だ。

これもこれからフジワラにいたぶられるという、ドM心を絶妙にくすぐってくる。


これからどんなドS行為が繰り広げられるのだろう。

来館者は胸を躍らせるのだ。


ヽ(゜ー゜*ヽ)ヽ(*゜ー゜*)ノ(ノ*゜ー゜)ノ└(∵┌)└( ∵ )┘(┐∵)┘ヽ(゜ー゜*ヽ)ヽ(*゜ー゜*)ノ(ノ*゜ー゜)ノ ◝( ⁰▿⁰ )◜ 


「まずはこちらです」

更衣室を出ると、フジワラが出迎えてくれる。

和服にエプロンというなんとも愛らしい姿だ。


「フジワランドひとつめの部屋は、定番中の定番…

釜茹で地獄でございます!」

そういうと、ドMな来館者たちはぐつぐつと煮立つ風呂に突き落とされた!


「熱いィ!!」

「痛ェ!!」

「焼け死ぬ!!」


そこかしこから悲鳴が上がる。

皆顔を真っ赤にして叫んでいる。

しかし、不思議なことに、上がろうとする者は一人もいない。

熱い…痛い…でも…


最ッ高♡♡♡


その様子を確認しながら、フジワラは笑顔で湯をかき混ぜる。

これが、ドS温泉フジワランドなのだ。


ヽ(゜ー゜*ヽ)ヽ(*゜ー゜*)ノ(ノ*゜ー゜)ノ└(∵┌)└( ∵ )┘(┐∵)┘ヽ(゜ー゜*ヽ)ヽ(*゜ー゜*)ノ(ノ*゜ー゜)ノ ◝( ⁰▿⁰ )◜ 


「お次はこちらです」

ヒナたちドMは、次の部屋に案内された。

床には岩が敷き詰められている。

どうやらここは岩盤浴の部屋らしい。


寝転がるヒナ。

こちらは先ほどとは違い、熱くも痛くもない。

体を癒すには良いかもしれないが、ドM達にとっては少々物足りない…

と思いかけた、そのとき。


ドザザザザザザ!!


ヒナたちの頭上から大量の岩が降ってきた。

あれよあれよという間に周囲を埋め尽くし、すぐにヒナたちの姿は見えなくなる。

かろうじて手だけを岩の海から出し、空を掴もうともがく。

その手は震え、皆息も絶え絶えだ。


「言ったでしょ?岩盤『浴』だって」

ショベルカーらしきものに乗り込んだフジワラが、にんまり笑う。

「岩盤『浴』と言うからには、泳げなくちゃね…♪」


そう、岩の海に溺れさせる…いや、泳がせる、

それがここ、フジワランドの『岩盤浴』なのだ!

「お休みなさい ごゆっくり…」

フジワラ、目を細め、ほっぺがまんまるになっていく。

とても楽しいらしい。

フジワラのドSは、順調に開花し始めていた。


挿絵(By みてみん)


ヽ(゜ー゜*ヽ)ヽ(*゜ー゜*)ノ(ノ*゜ー゜)ノ└(∵┌)└( ∵ )┘(┐∵)┘ヽ(゜ー゜*ヽ)ヽ(*゜ー゜*)ノ(ノ*゜ー゜)ノ ◝( ⁰▿⁰ )◜ 


ようやく岩の海から脱出できたヒナ。

「なんとか生還できた…」

次の部屋に案内されるが、この部屋も前回同様、岩が敷き詰められている。

「今度は普通の岩盤浴だろうな!?」

さすがに二度目の生き埋めには耐えられそうにない。

らしくもなく弱気になりかけるが…。


「お待たせしました」

フジワラの姿を見た途端、疲れもふっとんでしまった。


なんとフジワラはピンクのひらひらの和服に着替え、頭にはうさぎのカチューシャまでつけているではないか!

「お待ちかねのフジワランド名物、ショーの時間ですよ~♪」

ドSで高飛車のはずの彼女が、こんな献身的なサービスをしてくれるなんて…。

さすがにやりすぎたと、反省したのだろうか?

いつもと違うかわいらしい雰囲気に、ついつい皆の頬はゆるんでしまう。


「さあさあ皆、うつぶせに寝転がって!」

だから、彼女の指示に何の疑いも持たずに従ってしまう。

「可愛らしい格好じゃのう」

「踊りでも見せてくれるのか?」

フジワラバニーのサービスに期待する面々(大半は爺)。


そして皆、フジワラに言われるがまま、うつぶせの状態で一列に転がされた。

鼻の下を伸ばしたM爺達が、干物のように並んでいる。

圧巻である。

その景色を確認すると、フジワラバニーは満足そうに…


爺達の背中に飛び乗った!

そして爺から爺へ、ぴょんぴょんと飛び移っていく!


「秘儀☆因幡の白うさぎ!!」

「ぎゃああっ!!」

覚えているだろうか?床には岩が敷き詰められている。

フジワラに跳ねられた衝撃で、ヒナたちの体が岩にめり込む!


ぴょんぴょんぴょんぴょん

「ぎゃっ」

「ぎっ」

「ぎゅっ」

「ぎぇっ」

「ぎょっ」

次々に悲鳴が上がる。

しかし…その表情は、今までになく輝いていた。


(至福…!!)


顔を真っ赤にし、冷や汗を流しながら、ドM達は楽しむのだった。

痛みと、重みと、そして足の裏のぷにぷにとした感触を…。


ヽ(゜ー゜*ヽ)ヽ(*゜ー゜*)ノ(ノ*゜ー゜)ノ└(∵┌)└( ∵ )┘(┐∵)┘ヽ(゜ー゜*ヽ)ヽ(*゜ー゜*)ノ(ノ*゜ー゜)ノ ◝( ⁰▿⁰ )◜ 


楽しかった時間もそろそろ終わり。

これ以上は本当に天に召されてしまうということで、本日の体験はこれにて終了だ。

「地獄だった」

「いや天国じゃ」

爺達は口々に感想を述べながら、それぞれ帰路についた。

「命があったらまた来てね♪」

ドSとしての品格と、商売人のサービス精神を兼ね揃えた完璧な挨拶で、客を見送るフジワラ。


「さて、片付け片付け…」

明日も阿鼻叫喚の地獄を提供するため、ぬかりは許されない。

甲斐甲斐しく掃除を始めるフジワラ。

しかし…


つるっ

「ぴっ!?」

すてーん!

浴室の前で、すべって転んでしまった。

床が濡れていたのだ。

「うう…びしょびしょ…。お風呂入ってこよう…」

全身を濡らしてしまったフジワラは、一旦掃除を中断し、女湯へと入っていった。


しかしここで、ちょっとした事故が起こっていた。

転倒した際、フジワラの足が浴室入口ののれんを蹴り上げていたのだ。


それぞれ「男」「女」と書かれたのれんは、ふたつとも宙に舞い上がり…

空中で交差して…

左右入れ替わった状態で、再び入口に、カコンッと収まった。

つまり、「男」と「女」ののれんが、逆にかかってしまったのだ。


そこへ運悪く(運よく?)やってきたのは、帰ったはずのヒナ。

「最後にもうひとっ風呂あびてこ」

そして「男」と書かれたのれんをくぐっていった。

しかし、本来そこは女湯で、中には…


「ひ、ヒナ!?」

フジワラがいた。

「なんで…」

ヒナを見て、信じられないという表情をしている。


読者はここで、フジワラがヒナに裸を見られて慌てたのだと期待したであろう。

だが、そこは大人の事情というやつで。

残念でした。


「…館内着、着たままじゃない!ヒナってば、それじゃ湯船に浸かれないでしょ?」

そう、フジワラが驚いたのは、ヒナに裸を見られたわけではなく。

ヒナが服のまま風呂に入ってきてしまったことに、だった。

「そういうおまえだって」

「やだ、ほんと」

見れば、フジワラも服を着たままだった。

「ふたりともドジね!」

「疲れてるんだな!」

ふたりとも、服を着たまま風呂に入ってしまったことを笑いあう。


疲れていたのだ。

…とても、とても疲れていたのだ。

同じ浴室にいることに、疑問を抱けないほどに…。


「湯に浸かってリフレッシュしなきゃな!」

「そうね!」

そうしてふたりは…服を脱ぐのだった。

ぬぎっ


疲れていたのだ。

脱いだらどうなるか、気づけないほどに…。


フジワラがこの状況に気づくまで、あと5秒。

今日も彼らは平常運転だ。



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