自滅の4:フジワラ、カンニングを行う…!?
少年の名はヒナ。
いつもフジワラからひどい(?)いじめを受けている。
今日は階段から降ってきたフジワラに、トルネードキックをくらった。
(何もないところでも転ぶのがフジワラである)
吹き出す鮮血(鼻血)。
しかし、それがヒナの新たな扉を開くことになり…。
こうしてヒナは今日、足蹴にされる悦びを知ったのだった。
「うーん、いたた…ヒ、、ヒナ!?」
自分がヒナを蹴り飛ばしてしまったことに気づいたフジワラ。
「そ、そんなとこにいるのが悪い…
…って
ぎゃあああ!?」
ヒナはおもむろにフジワラの足を掴むと、自分の顔にげしげしと押し当て始めた。
先ほどの快感をもう一度味わおうとばかりに。
「はあはあはあ。もっともっと。」
げしげしげし
「いやああああ!!」
しかし、そのときだった。
キラッ
フジワラの靴裏で、何かが光った。
思わず手を止めるヒナ。
「変態!」
そう叫ぶと、フジワラはどこかへ行ってしまった。
(あれは何だったんだろう…?)
なんとなく気になり、その光がヒナの頭から離れなくなった。
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ヒナの直感は当たっていたのかもしれない。
教室に戻ると、クラスメイト達がざわついていた。
なんと、集団カンニング事件が発生したらしい。
このあいだのテストで、誰かが答えを回し、カンニングが行なわれていたのがわかったのだ。
そして…。
その犯人が、フジワラではないかという噂が立っているのだ…。
「変なこと言うなよ!」
思わずヒナは叫んだ。
「あいつがそんな悪いことするわけ…
……」
ヒナの脳裏を、フジワラとの思い出が駆け巡る。
パシリに失敗したと言ってはデコピンされたこと。
無茶難題に応えられなかったという理由でデコピンされかけたこと。
雨の日に傘を奪われ、家にまで押しかけられたこと。
チビだとバカにされたこと。
…ろくな思い出がない。
そうだ、フジワラはいじめっこだった。
自滅してばかりで忘れてたけど…。
「…ないとも言い切れないな…」
「だろ?」
同情したように、クラスメイトは言った。
「それに、他にも気になることがあるの。
フジワラさん、最近何故かクラスの皆に、スマートウォッチを売りつけてるのよ。
何が目的なんだろ?
もしかして、カンニングに関係してたり…」
スマートウォッチ?初耳だ。
しかし、そんなものでカンニングできるとは…
…待てよ?
ヒナの頭の中を、超絶推理が駆け巡った。
すぐさま思い浮かんだのは、先ほどの光。
フジワラの上履きの裏の何かが、きらっと光ったのだが。
もしもあの光が、カメラのレンズによるものだったら…?
スマートウォッチの機能と組み合わせて、あれをああして、ああすれば…。
……
なんということだ。
カンニング可能ではないか…!
まさかそんな…しかし…。
…フジワラ、おまえってやつは…!
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「どうしたの?こんなところに呼び出して」
悩み抜いたのち、とうとうヒナはフジワラを校舎裏に呼び出した。
信じたくはなかった。
しかし、ヒナのわずかに残った正義感が、真実を暴かなければとささやくのだ。
「わかっちまったんだよ…。カンニング事件の犯人が、おまえだってな…」
「!?」
驚いて目を見開くフジワラ。
そんな彼女を横目で見ながら、ヒナは重い口を開く。
そして、独自の超絶推理を披露し始めた。
(※注:長いので適宜読み飛ばすように)
「事件の全容はこうだ。
フジワラ…お前はあらかじめクラスメイト数人にスマートウォッチを売りつけた。
その時計で、テスト中に答えを受信できると教えてな…。
動機は…月並みだが、金欲しさといったところか。
良い成績が取れるとわかれば、大金を払ってでも時計を欲しがる奴はいるからな。
そしてそのスマートウォッチに向けて、テスト中、解答を送信した。
おそらく外部に協力者がいたんだ。
そいつに問題を教えて解かせていたんだろう。
…で、どうやってそいつに問題を送信したかだが…。
…そうだ。カメラだ。
おまえの靴の裏のカメラだよ…。
あれが動かぬ証拠になるはずだ。
そいつで、誰にもばれないようにうまく問題を撮影して、送信していたんだ…!
(推理終了)
そう、つらつらつらつら、述べていった。
「フジワラ…どうしてこんな悪いことを…」
信じたくなかった。けれど…。
ヒナは肩を震わし言葉を紡ぎ出すと、フジワラの方を見た。
そんなヒナに対して、フジワラは…。
「?????????????????????????」
まるっきり、何もわかっていない様子だった。
フジワラは目をまんまるにし、眉をねじまげ、首をかしげるばかりだ。
…あれ?
「まってむずかしい…図に描いて?」
あれれ~?
おっかしいぞ~??
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そして説明を繰り返すこと10回。
…フジワラ、未だに理解できず。
図に描いて理解しようとした形跡だけが、丸めた紙となって地面に転がっている。
頭を抱え、うんうんうなり、苦しそうだ。
「…なんだか犯人、フジワラじゃない気がしてきたぞ…」
ミステリーなら大抵こういう場合、フジワラが犯人なのだが…。
ヒナも頭を悩ますが、おそらくこの話は、ミステリーではないのだろう。
「じゃあ聞くけど、フジワラは何で時計なんて売ってたんだよ?」
「ああ、それは…」
そう言うと、フジワラは涙なしには語れない、悲しい身の上話を始めた。
これはフジワラのパパの話である。
上司「この時計、イベント用に1000個発注しておいて!」
フジワラパパ「了解っス!」
パパは意気揚々と発注書に書き込んだ。
「個数 1000」
ただし、見落としていた。
その発注書の単位が「千個」であることに。
パパが発注したのは「1000個」ではなく「1000千個」。
つまり…。
「間違えてひゃくまんこ買っちゃって…」
百万個!!??
「売らないと会社潰れるの。ぐすん。だから協力しなさいよ。」
色々とやらかしているのは、どうやら娘だけではないらしい。
フジワラ家ェ…。
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フジワラが時計を売っていたのは、パパのミスをカバーするため。
どうやらカンニング事件とは無関係だったようだ。
でも、それならば…。
「じゃあ靴の裏のカメラは何なんだよ!?」
「カメラ?」
「これだよ!」
「きゃっ!?」
ヒナはフジワラの足を持ち上げると、上履きの裏を覗き込んだ。
「ああっ!」
思わず声を上げるヒナ。
「カメラじゃねぇ!
これは…画鋲だ!」
そう、フジワラの足裏で光っていたのは、ただの画鋲だった。
フジワラ、知らないうちに画鋲を踏み抜いていたのだ。
危ねぇな!
「何だよー、名推理かと思ったのに…。やっぱり、探偵漫画の読みすぎか?」
落胆するものの、どこか安堵した表情を浮かべるヒナ。
これで一件落着…
でもなかった。
フジワラはそこそこピンチな状況を迎えていた。
ヒナに無理矢理片足を持ち上げられたまま、離してくれない。
わたわたと両手をばたつかせ、必死にバランスを取っているが、もう限界だ。
げしっっ
抱えられた足はヒナの顔を蹴り飛ばし、ようやく自由を手に入れた。
「あんっ♡」
奇声を上げて吹き飛ばされるヒナ。
しかしその顔は歓びに満ちていた。
踏まれるって素晴らしい!
こうして結局、ふたりは今日も通常運転だった。
ちなみに、カンニングの犯人は別の奴だった。