表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/22

自滅の11:謎解きはスリーサイズと共に

衣替えの季節がやってきた。

皆が待ちに待ったイベントである。

理由はもちろん、「女子が薄着になるから」だ。


挿絵(By みてみん)


ここにも例にもれず、物陰から女子の登校姿を見守るオスの姿がふたつ。

ヒナと、先日の件で仲良くなった昭和男である(自滅の9参照)。

ふたりの視線が追うのは、もちろんフジワラの姿である。


「夏服って透けそうで大好き♡」

心の声をダダ洩れにしているヒナ。

「おまえのような奴から女子を守るのが、僕の使命だ!」

そんなヒナに対し、あくまでも「女子のため」という体を崩さないのが昭和男だ。

「女は男が守るべき」、そんな古式ゆかしい価値観を抱いているのがこの男だ。

しかし、実際はどうだろう。


「女子には保守的な服装を強制すべきだ!

古き良き時代のように!」

なんとも時代錯誤な意見。


「スカートはひざ丈!」

これにはヒナも少々辟易している様子。

「下着は白!」

ヒナとは別の方向で、この男も大いにズレているよな…

「体操着はブルマ!」



事 情 が 変 わ っ た 。



急にしゃきっとなるヒナ。


「動きやすいから、おまえのような奴からすぐ逃げられる。

だから女子はブルマを着用すべきだ。」

「うんうん。わかるわかる。

おまえとは良いジュースが飲めそうだ。」

すっかり意気投合した二人は、仲良く肩を組んで去って行くのだった。

女子の制服について、熱く語らうために。



ヽ(゜ー゜*ヽ)ヽ(*゜ー゜*)ノ(ノ*゜ー゜)ノ└(∵┌)└( ∵ )┘(┐∵)┘ヽ(゜ー゜*ヽ)ヽ(*゜ー゜*)ノ(ノ*゜ー゜)ノ ◝( ⁰▿⁰ )◜  



「やっぱ生地が薄いのがいいよな!」

これには昭和男も同じ意見だった。

「だって…」


ヒナが理由を述べる間もなく、最高の事例が転がり込んできた。

ふたりの後ろで(いつものように何もないところで)、フジワラがぺしょっと転んだのだ。

特に怪我もなく、早々に立ち去るフジワラ。

しかしヒナは、フジワラが転んだその痕跡をじっとみつめていた。


「フジワラ、ここ触れたよな?」

そう言って地面をさすり始めるヒナ。

そして、おもむろに土を掴むと…


じゃりっ


「フジワラの味がする…♡」

「う…うわあああああ!!!」


なんと、土を口の中へ…。

これには昭和男も真っ青、完全にドン引きである。



「土なんか食うな!腹壊すぞ!?」

いくら変態といえど、人間としての最低限度の威厳がある。

ヒナを地面からひきはがしにかかる昭和男。


しかしヒナは聞く耳を持たない。

彼の辞書に、常識という文字はない。


「離せ!人として壊れてるのに、腹ぐらいなんだ!!」

謎の説得力で、昭和男を説き伏せてしまった。

(ダメだ…もはや僕の手に負えるレベルの変態じゃない…)

昭和男はただ震えながら、土をむさぼり食うヒナの姿をみつめるしかなかった。

意中の少女が転んで触れた、ただそれだけの土を…。



ヽ(゜ー゜*ヽ)ヽ(*゜ー゜*)ノ(ノ*゜ー゜)ノ└(∵┌)└( ∵ )┘(┐∵)┘ヽ(゜ー゜*ヽ)ヽ(*゜ー゜*)ノ(ノ*゜ー゜)ノ ◝( ⁰▿⁰ )◜  



ところで、夏服が薄くて嬉しい理由は、何も味覚だけではない。

視覚的にももちろん楽しませてくれるのだ。


「夏服だと、服の上からスリーサイズ当てられるんだよね♪」

ヒナは自分の特技を自慢する。

しかし、かのいじめっこは、それを聞き逃さなかった。


「調子にのって、そんな嘘ついて!できるわけないのに!」

ここぞとばかりにバカにしてくる。

ヒナのくせに、と、いつものように、微妙に低い位置から見下ろして。

嘘じゃないとヒナは抗議するが、フジワラは笑って相手にしない。


「じゃあ私のサイズ当てて見なさいよ!もし不正解だったら…」

そのときはきっと、激しいイジメが待ち受けているのだろう。

しかしヒナはひるまない。


「いいぜ。奴隷にでもなんでもなってやるよ。

ただし…

これが解けたらな!!」

「!!?」


何かと思えば…。

ヒナは、フジワラに問題を出題してきた。

これは…さ、算数…!?


――――――――――――――――――――

問:

フジワラさんの3サイズは、BWH合わせて217cmです。

HはWより23cm大きく、BはHより3cm大きいとき、

それぞれのサイズを求めなさい。

――――――――――――――――――――


うぐ、とフジワラがかたまる。

自分のスリーサイズの値は、当然知っている。

しかしこの問が解けなければ、ヒナの透視が合っているのか、判断できない。

ヒナを試すつもりが、試されているのはフジワラの方だった。


「おまえに当てられるかな?」

「そっちこそ、当てられてるのかしら?」


こうしてふたりの真剣勝負が始まったのだった。



ヽ(゜ー゜*ヽ)ヽ(*゜ー゜*)ノ(ノ*゜ー゜)ノ└(∵┌)└( ∵ )┘(┐∵)┘ヽ(゜ー゜*ヽ)ヽ(*゜ー゜*)ノ(ノ*゜ー゜)ノ ◝( ⁰▿⁰ )◜  



そして数分後…。

ついにその瞬間は訪れた。


「解けた!!」

フジワラは目を輝かせて叫んだ。

「私のスリーサイズは、

B●●cm、W●●cm、H●●cm!!」


そう、高らかに叫んだ。


嬉しかったのだ。

ヒナの挑戦に応えることができて。

とても嬉しかったのだ。

だから勝利宣言をした。

クラス中の男子が振り返るほどの大声で…。


はたして、結果は…?


「正解だ、フジワラ!

…で、合ってる?」

「合ってる!!」


フジワラの計算も、ヒナの透視も、共に正解していたようだ。

「この勝負、引き分けだな。試したりして悪かったな」

「こちらこそ、疑ってごめんなさい。貴方の透視は本物だわ」


ふたりはかたく握手を交わし、互いの健闘をたたえ合った。

ヒナとフジワラの友情は、こうして深まったのだった。



ヽ(゜ー゜*ヽ)ヽ(*゜ー゜*)ノ(ノ*゜ー゜)ノ└(∵┌)└( ∵ )┘(┐∵)┘ヽ(゜ー゜*ヽ)ヽ(*゜ー゜*)ノ(ノ*゜ー゜)ノ ◝( ⁰▿⁰ )◜  



ところで。

フジワラ本人が大発表したスリーサイズは、瞬く間に校内に広まっていた。

今日も華麗に自滅、それがフジワラ。

自滅したことにフジワラ本人が気づくまで、あと24時間。



※算数の解答は、自滅の12冒頭で発表

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ