表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/14

チ●イス

博物館の天窓から中をのぞく、巡回してる見回りのライトが下を通り過ぎる。

フラロウス『ルーサー早く!』心で言った言葉はお面を通してルーサーに伝わる。コレなら。声で気づかれることはない。

ルーサー『ちょっと、待ってて。』ルーサーは天窓から素早くロープを垂らして、それを伝って中に侵入する。

サンジュ「その調子だ。うまくやれ。」

お目当てのブローチは壁にあった。フラロウスはそれを素早くルーサーの袋に詰める。

ルーサー『やったね。』

すると、ブローチのかかっていたところから警報が鳴る。

サンジュ「しまった!重圧感知型だ!」

オセ「まずい!窓はだめだ!玄関は!」

フラロウスは焦った。自分ひとりなら切り抜けられるが今はルーサーがいる。とりあえず、玄関に走る。

運良く、内側から開けられて外に飛び出した。

博物館の窓に次々に明かりがつく、後からは、警備の集まる足音が迫る。

オセ「閃光弾!」

フラロウスは持っていた閃光弾を博物館に投げ込んだ。

カッ!

警備員「ぐわぁ!?」

その隙に、フラロウス達は逃げた。


サンジュ「見られたか?」

フラロウス「お面つけてるから大丈夫じゃない?」

2人は物陰に隠れながら、息を整えた。追っ手はない。巻いたようだ。

オセ「初回からこれかよ!」

ルーサー『ごめんよ、僕のせいだ。』

落ち込む新人に猿は言葉をかけた。

サンジュ「不可抗力だ。君のせいじゃない。」

オセが後でサンジュに何やら嫌味を言っている。小さくて聞き取れない。

サンジュ「……とりあえず、Cルートでアジトに帰ってこい。後に気をつけろよ。」


シエルが現着したのは明け方だった。

シエル「ローラ、状況は?」

ローラ「盗まれたのは沼の魔女のブローチです。」

シエルは釘だけの壁を見た。ブローチの日焼け跡だけが残っている。相当古くからここにあったようだ。

シエル「侵入経路は?」

ローラ「コチラです。」

天窓から伸びるロープ。

シエル「犯人は人間か?」

魔女関連の事件だからケースリーの犯行かと思ったが……

シエル「うーん、アソコからか……」

天窓をあらかじめ開けておくにも、どうやって?

はしご?現場にハシゴはなかった。鈎のついたコレを再利用?それもあり得る。

シエル「魔法で空を飛ぶのがないか魔導資料館で調べといてくれ。ろ」ローラはシエルの長い尻尾を見ていた。

自分でも、気づかなかったが、考え事をしてる時はシッポを左右にゆっくり振っていたらしい。長いフサフサのシッポが揺れる。それを見ているローラも心なしか左右に揺れている。

シエル『……自分でやろう。』


今日はレストランでランチ。

シエルの昼時間に合わせて、警察署の近くの店で待ち合わせ。

フラウ「モー、ヤになっちゃう!」

フラウは仕事の失敗を上司に怒られ憤慨してるらしい。

スパゲッティソースがほおについたまんまだ。チャトラの毛皮でもかなり目立つ。

シエル「ソレはさすがに理不尽だね。」

彼女の知らぬところで起きたミスを彼女のせいにされているのだ、怒るのも当然だ。

シエルは黙ってフラウの頰を拭った。

フラウ「あ、ありがと。」フラウは恥ずかしかったのか、赤くなった。


アジトに集まった四人。

その中でもオセは興奮した様子だった。

フラロウス「オセ、まだ怒ってるの?サンジュが不可抗力って言ってるじゃない。」

オセ「ソレはもういいんだ。俺が言ってるのは天窓の件だ。やっぱりロープはダメだぜ?!」

サンジュは低い唸り声を上げた。

ルーサーは縮こまって周りの大人達の様子をうかがっている。

隣でソレを見ていたフラロウスがそっとルーサーの手を握った。

サンジュ「俺のせいだ。焦っていたのかもな。今度から、ルーサー君には浮遊魔法を習得してもらう。」

オセ「何にしても、痕跡が残るぜ。サンジュ、やっぱり、フラロウスだけにしとこう?」

ルーサーの目に光るものを見つけてフラロウスが声を上げた。

フラロウス「この子は連れて行く。私の仕事には必要だもの。」

オセも寄り添う二人に何か感じるものがあったのだろう。ため息交じりに後ろ足で首のノミを掻きハラッた。

オセ「……分かった、わかったよ。浮遊の専門家の魔女の紹介をしてやるよ。」

遥か昔、魔女は幽世に身を隠した。現し世から魔女達にアクセスできる方法は限られている。

オセ「現行の魔法使い共は、ほとんど首輪付きだからな。足がついちまう。」


後日、オセに連れられてフラロウスとルーサーがやってきたのは郊外の静かな池とほとりだった。

そこに魔女が倒れた木に腰掛けて待っていた。

木漏れ日の中、コチラに気づいて笑いかける。

魔女「こんにちわ。ミリシャ(猫型亜人の古い俗称)。こんにちわ、小さい子。」

フラロウス「私が7代目、黒のサクラ猫でこっちは助手のルーサー。」

ルーサー「こんにちわ。」

魔女「まあ、そしたらあなた達が依頼を引き受けてくれたのですね!?」

魔女はルーサーの手を取った。

魔女「お師匠様のブローチを取り返せました。ホントに、ありがとう。胸の凝りが取れました。」

浮遊魔法を教えに来た魔女はリサに仕事を依頼した本人だった。その胸にはあのブローチが光っている。

魔女「あなたたちのおかげです、感謝しかありません。あら?」

ルーサーはその場に泣き崩れた。生まれてこの方、人に感謝されたことがあっただろうか?

自分の存在が初めて肯定された。

自分の働きが誰かのためになった。

フラロウスもしんみりする。貧民街でシエルと出会った時のことを思い出した。

オセ「まだまだ、これから働いてもらわにゃなんねぇ。ルーサー、しっかり勉強しな。」

ルーサー「はい。」

ルーサーは握りこぶしを作って立ち上がった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ