パペットマスター
この国は内閣制に移行しても国王は変わらず、城に住んでいて、変わらず近衛兵がいる。
そんな場所にテロの予告状が届いた。シエル達警察官も警備の補充に駆り出された。
ローラ「差し出し人はパペットマスター。何者でしょう?」
シエル「名前を聞いたことのない、犯罪者だな。」
シエルは犯人の人物像をプロファイリングした。
パペットマスター=人形つかい⇒何かを操る
国王⇒権威 権威に反旗
シエル「テロリストには違いないのだろうが……。」
予告状を出すということは警備が厳になったとしても自信があるということだ。
うーん。シエルは唸った。本当にそうか?
異変は地下から始まった。巡回のものと連絡が途絶した。
警備•地下班の『助けて!』
その無線を最後に。
シエルにはドコドコと低い太鼓の音が聞こえていた。
シエル『なんだこれは?』
深夜、アジトに緊急招集されルーサー探しに疲れていたフラロウスは不機嫌だった。
フラロウス「もー、なんなの?ねかせてよ。」
サンジュ「探してた、禍津神がでたぞ。」
フラロウスはその言葉で眠気が吹き飛んだ。
オセ「けど、なんたって王宮なんだ?」
フラロウス「王宮?!なぜ?!」
サンジュ「さあな。とりあえず、奴を封印するものは作った。フラロウス託していいか?」
フラロウスは猿から桐で出来た箱をもらった。
サンジュ「魔法剣の封印の呪、覚えてるだろ?あれだ。」
フラロウス「あれに使い道があったなんてね。」
サンジュの東洋仕込の魔法剣の修行の最後に受けた封印の呪。こんなもの盗みの仕事に何の役に立つんだろうと思っていたが。
深夜2:00頃
地下から一階に上がるバリケードが突破された。
警備班『相手は撃っても止まりません!』
無線の後ろで激しい銃声が響いている。
警備班『食われる!仲間がっ!』また無線が途絶する。
シエルは不安になった一体何が起きているのだ。
ローラ「斥候を出しましょう。警部。」
シエル「……そうだな。」
2階の国王がいる謁見の間の警護に回っていたシエル達は早速、巡査2名を無線を持たせて一階へと派遣した。
しばらく、して無線連絡が入る。
無線『敵は一階をうろついてます。なんてこった、犯人グループに警官が加わってます!』
無線を聞いていた一同は驚愕する。何故?どうして?
その答えは国王の口からもたらされた。
国王「人形つかいの魔女だ。奴が帰ってきたのだ。」
魔女。
かつての帝国主義の時代、戦略魔法という国家間のパワーバランスを左右した魔女。ある日を境にそれが使えなくなり、魔女狩りが世界的に起こり、そしてどこかへ忽然と姿を消した魔女。
シエル「おとぎ話じゃないのか?あんなもの」
近衛兵に守られた中心の国王は続ける。
国王「奴の使い魔は箱に封印されたはず。魔女もいなくなり、使い手が居なくなったということで国立博物館から譲渡されてたはず。」
シエルはハッとした。道の駅の歴史資料館から盗まれたものに古の箱と言うものが含まれていた事に。
では、これはケースリーが一枚噛んでいる?奴は正義感が強いやつだと思っていた。
シエル『こんなこともするのか。』シエルは心になにか黒い球体が作られていくような感じがした。
今日は赤い月が昇っている。不気味な景色だ、心なしか空も紫に見える。
一人の猫型亜人と一匹の猫が王宮目指して屋根伝いに、夜の空を駆けていた。
オセ「コレが終わったら、足を洗うって?!どうしてだ!フラロウス!」
フラロウス「もう決めたのよ。」
おいおい、なんでこの娘はそんな思考に陥ってるんだ?
オセは考え直せと言うがフラロウスは答えなかった。
フラロウス「見えてきたわ。」
話が通じない、奴の世話が一番苦手なオセは一人でブツブツ何かを小言で言うだけになっていた。
フラロウスのお面を通して通信が入る。サンジュからだ。
サンジュ「オセから話は聞いた。その場合、お前の記憶は消させてもらうぞ。」
フラロウスは一瞬答えに詰まった。
フラロウス「好きにすれば?」
サンジュ「悪く思うなよ、7代目。」
フラロウス「行くわ。」
フラロウスは王宮の広い庭にジャンプで入っていった。
クローサー「やあやあ、皆さんお揃いで。」
謁見の間に忽然と姿を現した魔女に一同、困惑した。
シエル「クローサー、さん。やっぱり、貴女か、今回の黒幕は。」
クローサー「シエル。君にもあとで、使われてもらうからなぁ。」
魔女はニタっと笑う。
その横には少年が立っていた。その子が抜き身で手にしていたレイピアの切っ先で空に五芒星を描くと、
もう片方に持っていた札を剣に刺す。
それをゆらゆら左右にふると、その場に居た警備員、警官、近衛兵は昏迷した。
シエル「ぐぁ!頭が!」
みなが倒れ、シエルは遠のいていく意識の中、自分に近づいてくる魔女が見えた。
一階に侵入したフラロウスを待っていたのは
体中、穴だらけの囚人服の男、口からよだれや血を流している警官だった。どれも白目だ。まるでこの前見た街灯の下から出てきた黒い顔の魔を思い出す。
サンジュ「禍津神によるものだ。見つかるんじゃないぞ。コントロール下にないやつを見つけると襲ってくるシステムだ。」
フラロウス「サンジュ、禍津神はどこ?」
サンジュ「謁見の間だ。そこから反応がある。」
フラロウス『コイツラに見つからずに2階に上がるの?』
その数は不明だが、フラロウスが侵入して物陰から見える通路にも10人くらいいる。
フラロウス「まぁ、不可視マントがあるからいけなくはないか。」
楽勝。フラロウスは高をくくっていた。
一階から2階に上る階段で不可視マントが壊れてフラロウスの擬態が解けてしまった。
瞬く間に、周りの敵に見つかる。
サンジュ「五行剣!」
固まって動けなかったフラロウスはその言葉で階段を上がりながらレイピアを抜いた。
フラロウス「五行剣!火!」斬りつけた相手は炎で巻かれ消し炭になる。
しかし数が多い。捕まるのは時間の問題だった。
オセ「伏せてろ!」
どこからともなく、オセの声がする。フラロウスはその場にしゃがんだ。
オセ「フレアバースト!」炎の散弾がばら撒かれフラロウスの周りの敵を一掃する。
オセ「今だ!早く2階へ!」
目の前に突然現れた猫にフラロウスは感謝した。
フラロウス「オセは?!」
オセ「俺は残りを引きつける!」
一人と一匹はそこで別れた。