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黒のサクラ猫

月夜の街、屋根を軽やかに一人の亜人と一匹の猫が、

かけていく。

ぶちねこの方が口を開いて、流暢な言葉を発した。

ぶちねこ「この仕事が成功すれば、お前は晴れて7代目の黒のサクラ猫だ。」

前髪をオールバックにした黒猫の亜人は緊張しているのか返事がない。

ぶちねこ「おい、フラロウス、聞いてるのか?!」

フラロウス「わかってるわよ、オセ。」

ぶちねこのオセはため息をついた。やれやれ、マイペースな女だ。

オセ「今のうちに装備を確認しとけ。不可視マントが使えんかったら目も当てられんぞ。」

フラロウス「そんなのに頼ってないわよ。」

オセ「強気だねぇ。」

フラロウス「まぁ、そんな時間無いんじゃない?」

目の前に豪邸が見えてきた。

オセ「まぁ、そうなんだけどさ?オレは慎重なんだよ。」

フラロウス「怖がりさんの間違いでしょ?」

言ってくれるぜ。オセは苦虫を噛んだような顔をした。


黒猫の亜人の女性は右手で細剣を抜くと切っ先で五芒星を空に描いた。

オセ「いきなり、力技かよ?!」

左手で黄色地に赤字の札を取り出すと、ソレを剣で刺す。そして剣で札を掲げて左右にゆらゆらと振る。

豪邸の外を警備していた人間達が次々と混迷して、その場に倒れる。

アチャー。オセは前脚で顔を押さえた。

フラロウス「行くわ。」

フラロウスは屋根からフワリと地面に降りると豪邸の壁をジャンプで乗り越え中に侵入していった。

オセ「サンジュのヤローめ、変なこと教えんなよ。」


フラロウス「中は手薄じゃない。楽勝。」

黒猫の亜人はぺろりとしたなめずり。まっすぐオタカラのある部屋に音もなく走る。

すると、フラロウスの動きが止まる。頭の中でチリーンと音が鳴る。ゾワワッ!フラロウスのボブテイルが逆立った。

そこの曲がり角から巡回が出てくる。

とっさに不可視マントで身を隠す。

巡回「なんだ?今、視界の端で何か動いたような?」

フラロウスの心臓はバクバクであった。

はやくどっかいけ!心のなかで叫んでいた。

壁に寄りかかって、小さくなって巡回が通り過ぎるのを待った。生きた心地がしないとはこのことだろう。

フラロウスはさっきのオセとのやり取りを思い出した。

フラロウス「私がやるのよ、フラロウス。」

フラロウスはマントをはぐとまたすぐに駆け出した。

今度はヒゲがなにかに反応してピクピク動く。

魔導監視装置。光を遮ったら警報が鳴る。ソレが近くにある。

フラロウス『おおかた、オタカラのある部屋ね。』

お目当ての部屋に侵入する。部屋の真ん中の台に高そうな金の像が置かれている。

ソレを取り囲むようにレーザーの光が網のごとく覆っている。

フラロウス『コレがそんなに大事なのかしら?』

人間の趣味はわからない。フラロウスはひらりと身を捻って、レーザーをすり抜けた。猫型亜人の運動能力にはこんな厳重な警報装置は役に立たない。

フラロウス「いただきね?」

ワイシャツのボタンを開くと、金の像を胸の谷間にしまう。


暗いレンガ造りの部屋、ゴチャゴチャ物が置かれている中で机に置かれたデスクライトで猿型の亜人が新聞に目を通していた。

外から騒がしいのが部屋に入ってくる。

オセ「おい!サンジュ!こいつをどうにかしろ!」

フラロウス「成功なんだからいいじゃない。ねぇ?!」

猿は少し眉を動かして騒がしい猫達を一瞥した。

サンジュ「……おつかれさん、どうだった?初仕事の雰囲気は?」

猿は問いかけた。

フラロウス「ゾクゾクしちゃった。」

黒猫はニヤリと笑う。

サンジュ「いい返事だ。これから頼むよ。7代目。」

不意に、フラロウスの左の耳に魔法で切れ込みが入る。

フラロウス「いった!ちょっと、オセ!やるならやるって言ってよ!」

オセ「へ!お灸をすえてやったんだ、不可視マントで助かってんじゃねぇや。今度から気を抜くな。」

んもう!と、フラロウスは顔を赤くした。

サンジュ「ソレはそうと、早く、物を換金してきな。そこの扉だ。」

フラロウスは部屋の奥の縁を赤く塗った、扉を開けた。その中は真っ暗だ。

オセ「フラロウスは開けるの初めてか?」

サンジュ「まっすぐ行けば着く。あいさつしてこい。」

フラロウスはツバを飲み込むと中に消えていった。


どれだけ進んだのだろう?

部屋の中なのに外を歩いているような開放感を感じる。

真っ暗だ、電灯どころか、月明かりもない。

すると前にぽつんと明かりに照らされた扉が見えてくる。

フラロウス「ここ?」

意を決して扉を開ける。そこは薬品臭い雑貨屋だった。

フラロウス「ポーション屋?」

暇そうに鼻歌を歌っていたレジカウンターの女性がフラロウスに気がつく。

リサ「おやおや、君が7代目?私はリサ。ここで道具屋をやってるよ。」

綺麗な黒髪の美魔女。フラロウスは緊張して声が出ない。魔女の魅了、チャームのせいだろうか?

リサ「なんだ?意外と可愛いじゃないか。お察しの通り魔女さ。換金に来たんだろ?見せてみな。」

フラロウス「コレです。」

フラロウスは胸から金の像を取り出して魔女に渡した。

リサ「金か、アイツに売れば……ふーん。」

リサはレジを開ける、そこに入っていた袋をカウンターに置いた。ドジャ!中にはかなりの金貨が入っている。

リサ「いい仕事じゃないか?今後もよろしく頼むよ。」


サンジュ「どうだった?魔女は?」

オセ「少しは髪に白いのが混じってたか?」

フラロウスが帰ってきて、分前を受け取った猿達は言う。

フラロウス「黒髪の綺麗な人だったわよ?」

オセ「アイツまだ、若作りしてやがるのか。」

オセはあの美魔女の知り合い?聞いてもオセは言葉を濁すだけだった。

サンジュ「ま、今日はコレくらいにしとこう。また、連絡する。おつかれさん。」

オセ「おい、待てよサンジュ。」

ぶちねこを伴って猿は部屋を出ていった。

フラロウスは一人部屋でため息をついた。

フラロウス「長い一日だわ。」


アジトを出たフラロウスは街の繁華街を抜けて貧民街に向かった。ねぐらがそこにある。

コレを機に引っ越そうかな?フラロウスは腰の金貨の入った袋を見て考えた。

???「お姉さん、いいの持ってるね?」

フラロウスに声をかけたのは汚い人間の男の子だった。髪はボサボサ、穴の開いた靴を履き、真っ黒に汚れた上下の服は袖口が擦り切れている。据えた匂いがその子がいるだけで辺りに充満する。

フラロウス「あげないわよ。」

フラロウスは金貨の入った袋を胸にしまった。

男の子「それで僕を買ってよ!」

フラロウス「はぁ?」

聞けば、そのなりで男の相手をさせられているらしい、

世の中広いわねぇ。フラロウスは思った。

フラロウス「…………いいわ。これ全部でアナタを引き取りましょう。アナタの飼い主のやりてババァはどこ?」

男の子「いいの?!」

フラロウス「ただし、この金額に見合った男になりなさい。これからは私がアナタの飼い主よ。」

世間では、自分と同じ猫型亜人が妊娠しないからという理由で拉致され、人間の情婦に落とされ、惨めな生活をさせられていると聞く。コレはそのアンチテーゼだ。フラロウスは思いこんだ。


フラロウス「ところでアナタ名前は?」

男の子の見受けを済まして、2人でフラロウスのねぐらに帰る。その道すがら、男の子の名前をまだ知らないことにフラロウスは気がついた。

ルーサー「ルーサーっていうんだ。」

フラロウス「ふーん。よろしくねルーサー。」

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