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第5話 幻想跋扈の古都《洛陽》 Act1 出立


《日本帝国軍記録データより抜粋……》


101年前。魔核隕石の飛来により、中国の三大河川は、長江、黄河、瀾滄江らんそうこうは一瞬で干上がり。水無川みずなしがわと成り果て、都市機能は機能を停止し、農耕地は土壌劣化し農作物は枯れた。


 その後、河川近辺に居住を置いていた10億~12億人もの人々が餓死したと記録として残されている。


 それに対して旧日本国、韓国、インド、シンガポール、オーストラリア等のアジア先進国が中心となり、中国全土に対して大規模な救助部隊を結成し、救助活動を決行したが、各国の救助部隊は突入したその日のうちに全て全滅した。


 旧日本国が保有する宇宙衛星により撮影された中国全土は無人と化した状態になり果て。未確認生物をあまたに確認され、旧国連の通達により旧中国領を魔核領域テリトリーとし、全土を隔離した。


 そして、その後96年にも渡り旧中国領には人が立ち入ら事が出来ない場所とされていたが弱い10歳の軍人によって旧中国領の魔核の力は弱まる事になる。たった1人の少女の手によって。


 ────日本帝国軍所属 《千機 慧》当時10歳が、旧中国領の中心に存在する魔核本体の弱体化に成功させたと記録された。



〖千機 慧囚人の日本帝国大将への一時的復権の許可が天理元帥より正式に受理されました。元千機部隊は速やかに千機大将の元へ。それにともない千機大将の専用機 《彗晶・六結》の解凍。粒子転移装置へと───〗


 軍部の放送が日本帝国本部内に鳴り響く。そんな中で私は旧中国領の魔核被害報告書に目を通していた。


「5年前以来の旧中国領。あの時は日本に近い上海シャンハイだったからどうにか生き残って帰還出来ただけなのに、今回は中央部に当たる古都・洛陽……軍上層部は魔核領域テリトリーを甘く見すぎじゃない?」


「仕方ないだろう。天理新元帥を始め、軍上層部は魔核領域テリトリーに入った事がないんだからな」


「近衛さん。どうしてここに? 天理元帥の所に居なくていいの?」


「千機 慧の監視させてほしいと私が天理新元帥に頼んだんだ。秘書官の仕事は叢雲むらくも達に任せてきたよ」


「監視ぃ?……本当は私が心配で心配でたまらないからじゃないの? ねぇねぇ」


「つっ……おい。今、この場に私達2人しか居ないかといってじゃれ合うなど。言語道断だ」


「良いじゃん。久しぶりのみずいらずの会話なんだからさ」


 私は同期・・の近衛さんの脇腹を指先でつついた後、くすぐった。ついつい昔から、癖で近衛さんをいじりたくなるなるのは何でだろう?


「や、止めろ! 脇腹を擽るな。そこは私の弱点なんだぞ。あひぃアッ!」


「変な声を出して可愛い」


「慧。お前は…」


「あの~、仲良くイチャイチャしてるところ申し訳ないんですけど~」

「……この本部内に居る前千機特殊隊100名集結しました」


「「「「「………」」」」」


 私と近衛さんのやり取りを九条ちゃんとと皇さん……召集された皆がジーッと静かに見ている。


「仲良くイチャイチャしてるところ見られちゃったね。近衛さん。これで近衛さんとの事は皆と公認の中だ。キャアア?! 何で私のほほをいきなり引っ張り始めるの?」


「貴様……これが狙いだったな。皆に貴様と私は犬猿の中ではなく、親友同士だとバラす為にわざと監視カメラがある。こんな場所で珍しくふざけおって!」


「痛たた! それよりも。ほら。行くんでしょう? 幻想跋扈の地・古都 《洛陽》に転移だ。ほら作戦表にもそう書いてあるじゃない…痛たい!」


「たくっ! これでまた天理新元帥の支持者が減り、国内で不満を持つ者も現れるというのに……コホンッ……今回、麒麟討伐作戦の副官を務める。近衛 夢愛ゆめだ。よろしく。そして、補佐官として……」


九条くじょう 寧音ねね大佐で~す。よろしくですです!」

「……綾瀬 すめらぎ中佐。皆。久しぶり」


「この2名がこの部隊の補佐官として実務にあたる事になり、本部隊の長官となるのが…」


「千機 慧です。皆、久しぶりだね……元気そうで何よりだ。今回、特別な措置により総隊長として皆を指揮するだね。魔核領域テリトリーは危ない場所だけど安心してほしい。皆は私が守るから……」


「慧。お前それ……綾○の台詞せりふか?」

「ハァァ!! 慧様。素敵です!」

「……カッコいい」


「「「「「………ハッ! 千機総大将殿」」」」」


 一瞬だけ変な間があったけど。私の演説なかなか上手く行ったみたい。



《旧中国領 長安跡》


「旧中国領の赤魔核は日本帝国側に、奪われたんじゃなかったのかよ? シン。旧ロシア領の青魔核みたいによう」


「違う。日本帝国が所有しているのは旧アメリカ領の黄魔核だ。リリア、ちゃんと覚えておけ。赤魔核も青魔核も現在、行方不明だ。だからそれを探しに我々、《黄金旅団》は…」


「危険度Sの洛陽に向かいますって? シバさんもムチャを言ってくれるねぇ。あんな可笑しな幻獣がいる場所に可愛い部下達を向かわせるなんてさ」


「それが任務なら仕方ないだろう……急ぐぞ。ドイツやカナダが今回の異変に気づく前に真相を確かめ、魔核があるのならば回収しなければならん」


「はいはい。分かりましたよ。相棒さん……」

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