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第4話 勝者と敗者の談合


 ロンドン戦地での任務終了後、私は後続で待機していた日本帝国軍に合流した。


「お疲れ様です。慧様! 今日の配信も素敵でした」

「千機先輩。任務終了にともない拘束具を付けさせてもらいます……心配したんですよ」


 黒色の軍服を着た2人の女の子が、私の元へとやって来てた。


「九条ちゃんにすめらぎさん。ええ、分かった。従うから……抱き付かないてくれる? 2人共。苦しいんだけど」


「駄目ですー! 離しません」

「はい………無理です」


 九条大佐に皇中佐。この2人は私がまだ日本帝国軍の軍人だった時の部下だった娘達。今は私の監視役として任務についている。


「いいから早く。ここから離れましょう。ここは魔核領域テリトリー、幻想生物達の住みかなんだから」


「「ハッ! 千機大将殿」」


「……うん。元だけどね」



『罪人、千機せんき けいの、旧イギリス領から日本帝国への粒子転移を確認。日本帝国・東京への収容を確認。拘束後、旧国会議事堂。天理元帥の元へ──』


《旧国会議事堂 元帥》


「慧様。拘束具の鎖です。本当は付けたくなんですけど」

「……あの腹黒新元帥の命令です。すみません」


「2人共何で怒ってるの? 私、早く、天理…元帥に今回のロンドン戦地での報告をして、拘置所に戻って休みたいんだけど」


「駄目ですよ。そんな負け将みたいな事を言っちゃあ! こうなったら。謀反です。謀反! 西の千機家に手紙を送りましょう」

「……そうです。クーデターです。千機先輩。あの腹黒女を追放しましょう!」


「イヤだよ。そんな事したら日本が二分化するでしょう。それよりも…」


「千機さんを天理元帥の元へと早く連れていきなさい。九条大佐、皇中佐」


「「近衛特等」」


「近衛さん。久し振りだね。元気だった?」


「お久しぶりです。慧さん。貴女が軍から居なくなって疲れる事ばかりですよ。貴女の部下に戻りたいといつも……コホンッ! お互い。ここで会話は聞き流す事にしましょう。天理元帥の元へお連れします」


 近衛さんは疲れきった顔で私達を元帥室へと案内してくれた。因みに近衛さんも、私の元部下で共に旧ロシア領での戦いを生き抜いた戦友の1人が彼女。



《元帥室》


「天理新元帥。千機 慧殿をお連れしました」


「大罪人が抜けているわ。コノエ。そして、久し振りね。敗者の千機 慧」


「天理…新元帥。ロンドン戦地での任務終了しました。こちらがその報告書です」


「コノエ。目を通しておきなさい」


「はい……後でご確認します」


 私は近衛さんに配信データが入ったメモリーチップを渡した。


「じゃあ。これで私は留置所に戻り……」


「ええ。そこの千機 慧の元部下2人。千機 慧の服を脱がせなさい。これは元帥命令よ」


「天理…元帥。貴女、何を言ってるの?」


「はい? 貴女、馬鹿なんですか?」

「……嫌です」


 ───九条ちゃんと皇さんのその言葉でその場が凍り付いた。


「……コノエ、この娘達。今、何て言ったのかしら?」


「はい。了解しました。天理元帥と言ったみたいです……(アホ2人! 早くやれ。天理元帥に逆らう気か? 殺されるぞ)」


「うんうん!!」

「是非にっ!」


「……(何を嬉しそうにしてるんだ。お前等)」


「……九条大佐、皇中佐。天理元帥の言う事を直ぐに実行しなさい。これは上官命令ですよ」


「はい! 分かりました。慧様」

「……了解」


 2人は私の拘束具と服を一瞬で脱がせた。下着だけを残して……私が頼んだのだけど凄く恥ずかしい。


「ふん。それで良いのよ……へー、やっぱり綺麗な身体をしているわね。それに見合った艶やかな黒髪と中性的な可愛らしいお顔。これで性格も良いんだから。皆から慕われて、人気配信者にもなっていくわよね。こんな美少女が下着姿でいきなり男共の前に現れたらどうなるのかしらね?」


 天理元帥は私の顔を右手で撫で、左手は腹部のへそを擦りながら、うっすらと笑った。


「……そう。貴女にそう言ってもらえるなんて嬉しいわ。ありがとう」


「……嫌みで言ったつもりなんだけど。全然、効いていないわね。流石、私の元ライバルだこと。ムカつくわ。つまんない」


「そうなの。ならもう拘置所へ戻るわね。私は今、次の配信の為の準備を…」


「駄目よ。千機 慧には、このまま旧中国領の北京戦地で幻獣生物 《麒麟》の討伐配信に行ってもらうんだから!」


「……幻獣生物の討伐配信?」


 天理元帥のその発言で私の次の配信前線の予定が決まった。

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