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それから。
晴れて想いを通じ合わせた二人は、卒業生のためのプロム・パーティーで、初めて二人並んだ姿で人前に立った。
二人で見立てた正装を身にまとい、
セイシルの首元にはあのパールのペンダントが揺れていた。
セイシルの前で見せる無防備なノイエの笑顔に、
幾人もの老若男女が骨抜きにされていた。
「とっくに気づいてましたわよ」
ファンガールの一人が言った。
「い…いつから…」
「あのレイチェルさん事件から。
ジーン商会ってセイシルさんのご実家でしょ?」
「そ、そう」
「あの見合い相手ってのもあなたでしょう?」
「見合いじゃない…」
一緒よそんなの、と彼女は笑っていた。
「あの…嫌じゃないの?
私みたいなんがノイエ様といて」
「あの笑顔をご覧になった?
あれが見られるなら、推しの恋愛どんと来いですわ」
ファンの愛、大海より深し。
おみそれしました、とセイシルはひれ伏したのであった。
「ところで」
ノイエが踊りながらセイシルに囁く。
「何でしょう?」
顔を上げて聞き返す。
「ジーン商会に俺が入社するとしたら、
セイシルは嫌?」
「嫌な訳ありません!
あれ、ご実家は?」
ノイエはししし、と笑った。
「俺にセンスがないことは親父が認めた。
だから商会長に頼ったら、就職させてくれるってさ」
やったね、卒業しても一緒だ!
セイシルは嬉しくなり、
思わずノイエに飛びついた。
「卒業おめでとう、諸君!」
「トランジア校に栄光あれ!」
後日、
『美の暴力』と称されるイートン画伯の連作の、
最後の一枚が展示された。
モチーフは世にも美しい青年、
その背中にはこれまで描かれた天使の翼を捨て、
蝶の羽根を豊かに広げて自ら飛び立つ様が描かれていた。
付け加えて、
年を取ったノイエは彼が心配したような残念な劣化にはならず、
むしろダンディズムと若々しさが奇跡の同居をした完璧なイケオジになりましたとさ。
短いですがおーわり。
ラブコメ書けて満足しました。




