お家
「まただよ......
家建てらんないよ。
楽して暮らせないよ。
労働から逃れらんないよ」
オレはため息をつく。
「辛気臭いわね。
1本もらえたからいいじゃない。
これ売れば中古の家一軒ぐらい買えるわよ」
「えっ? マジ!!」
「ええ、このルベルナの木かなり高額ですからね。
私が買い取りましょう。
シンジさんたちが良ければ物件も紹介しますが」
「うーん、どうする」
「この間のことがあるからね。
最悪責任とってもらえるレスパーの方がいいんじゃない」
「ふむ、それがよかろうな」
オレたちは相談するとレスパーに物件の紹介を頼む。
「それと、お主に話した三魔将と混沌教団のことは調べはついておるのか」
「......そうですね。
どうやら天聖教会の上層部がこの件に関わっているらしいということまでわかりましたね」
「天聖教会?」
「シンジあんたホントに何にも知らないわね。
この世界最大の宗教組織よ。
各国の王や貴族、国民に影響を与えられる力を持ってるわ」
「わらわが封印される前からあったの」
メリエールがそういった。
「それはどこからの話だ」
「あなたたちが倒した召喚師という女性、彼女は天聖教会の元高位司祭だったそうです」
「ほんとかよ。
あのえっちな姉ちゃんがか!
どんなえっちい宗教なんだ!?」
「黙ってろ!」
「ぐへぇ!!」
オレはメルアに殴られた。
「ふむう、この時代も色々ややこしいことになっておるな」
ベルがため息を着いた。
「ホントにここなのメルア?」
「そうみたい......」
オレたちは町外れの道を歩いている。
レスパーから格安で紹介されて買った格安の屋敷がある場所にむかっていた。
ここいらは木々に囲まれてひどく薄暗くひっそりとしている。
「うむ、あそこに屋敷があるな」
「えーー、あんなボロい屋敷かのう。
わらわは好かん」
前にかなり大きな古い屋敷がある。
「ま、まあ破格の安さだから、みんなで手入れすれば何とかなるさ」
「そ、そうね。
昔から住めばなんとかっていうし、それに大きな浴室もあるから」
屋敷に入ると暗い。
「明かりはあれか、燭台に火を付けてメルア」
燭台に火をつけると部屋が照らされる。
いたるところにクモの巣がはり床はホコリが層のようになっていた。
「なんかでそうなんですけど......」
「やめなさいよ! 怖いじゃない」
「お主らスケルトンやリッチと戦っておるだろう。
あれらはアンデッドだぞ」
「そういうんじゃないの! 幽霊とかいるかもしれないだろ!」
「いるぞゴーストなら」
「ひぃぃぃ! 確定さすな! メリエール!」
「魔力を得たモンスターだ。
ほかと同じであろう」
とことこ二階にベルとメリエールが歩いていく。
オレとメルアはそう後ろをこそこそついていった。
屋敷は古くボロいが三階まであり、かなりの部屋数があった。
「手を入れればかなりよいものになりそうだな」
「まあ、少しずつやるか」
オレは少しなれて落ち着いてきた。
「いったでしょ......」
「ん? なに? メルアそういってたっけ?」
「なに? わたし何にもいってないけど」
「いったでしょ」
「......聞こえた?」
「......聞こえた」
「いったじゃないですかーー!」
「ぎゃああああ!」
「きゃああああ!」
オレとメルアはパニックになった。
オレがメルアの服の中に隠れようとして、おもいっきりぶたれた。
「きゃあああああ! 何すんのよバカーー!!」
「ぐふぅ!」
そのまま二階の窓を割って落ち気をうしなった。
「う、なんだ? なんかみたような......」
「やっと起きたかシンジ」
「ほんとバカね!」
「あれ? あの声なんだったんだ」
「ボクですよ!」
そこにリーゼルがいた。
「お前かよ!」
「いったでしょ!
妖精の森でなにか持ってきてくれるって!
なのに何にも持ってきてくれなかった!
さあ約束通り、この絶死諸刃の剣を使ってください!」
そういうと禍々しい剣を取り出した。
(こんなの装備したら死ぬ!
なんか柄についてる顔みたいのがうめいてるもん......
そうだ!)
「そうそう! お前に渡したいもんがあってさ、これこれ!!」
オレは世界樹の戦いで手に入れた魔封玉をリーゼルに見せた。
「おおーー!! これは珍しい魔力を貯める宝石ですか!
いや少し違うな! 調べたいもらっていいですか!」
「いいよ」
(ふー助かったぜ)
「やったーー!
......ではこの剣を使ってみてください」
「何でだよ!!
それ持ってきただろーが!」
「これ妖精の森のものじゃないですよね。
だから、約束とは違います。
さあ! さあ!」
「いやだーー!!」
オレは変な剣を使わさせられた。
一週間その剣は手からはなれなかった。