結末
「やったか!」
「いや、まだのようだ」
ベルのいう通り壁はまだ残っていた。
「なんじゃと! わらわの魔法を防いだのか!!」
「その魔法はすさまじいけど、次々作れる私の壁は崩せないわよ」
召喚師がそういうと、また青い光の柱がたちそこからモンスターがわらわら現れた。
「あり得んな。
あれほどの魔力一人で持てるわけがない」
ベルは剣を構えオレにいった。
「多分さっき話してた魔封玉とかいうので魔力を補充してるんだ」
「きっと世界樹から魔力を奪っているのね」
「それでモンスターを量産しておったのか」
メリエールがオレに飛び付き背からいう。
「だがどうするか、この数倒しきれんぞ」
「ベル様わらわも魔力がもうない。
もう一度あれを放つのは無理じゃ」
「メルア、ベル、メリエール試してみたいことがある。
少しだけモンスターを防いでくれ」
「しょうがないわ!
もし失敗したら化けてでるからね!」
「メルアその必要ねーよ!
そのときはオレも死んでるから!」
モンスターに向かってメルアとベルがむかいメリエールは魔法を放って戦う。
オレは残りの魔力をほとんどの使い魔力弾をつくる。
「またこの隙間から攻撃、そう何度も同じ手は食わないわよ」
そういうと壁が閉じられた。
オレは魔力弾を全て撃ち出す。
「いっけーーー!」
その瞬間魔力弾は消えた。
「きゃああ!!」
そして壁の内側から激しい音と叫び声がした。
「うむ、よし。 青い光が消えモンスターの出現が止まった。
モンスターを倒すぞ!」
モンスターたちを何とか倒し厚い木の壁を壊すと、そこにローブの者たちと召喚師が倒れていた。
「バ、バカな壁の中にあの数の魔力弾を撃ち込むなんて......
隙間さえなかったはずなのに......」
「最初の攻撃で壁の中にマーキングしてたんだよ。
そこに転移魔法で魔力弾を飛ばしたんだ」
「......くっ、そんな魔法聞いたことがない......」
そういうと召喚師は気絶した。
「最初の魔力弾にマーキングを付与したのか、なるほどお主の操作なら可能か」
「ああ、オレの魔力じゃ体は無理でも小さな魔力弾なら飛ばせるからな」
「無駄にやるじゃないシンジ」
「無駄いる?」
「これじゃ、こやつらが使ってた玉」
メリエールが赤く光る手に乗るくらいの玉を拾ってきた。
「これが魔封玉か......
持って帰ってリーゼルにみてもらうか」
オレたちは召喚師を背負い妖精の国に戻った。
「ありがとうございました。
どうやら世界樹の異変がおさまったようですね。
世界樹に残したものたちはギルドに届けておきましょう」
女王より礼を受ける。
「ではオレたちはこれで」
オレたちが帰ろうとすると、女王が呼び止めた。
「帰ってこないのですか、メルア」
「......当たり前でしょ、わたしはこの生き方が好きなの。
自分を偽らず生きられるから......」
そういうと、振り返らず外にでていく。
「皆様、どうかわが娘をよろしくお願いします」
女王はそういって頭を下げた。
「えっ!?」
オレは驚く。
「ふむ、なるほど」
「へー、あの娘そうなのか」
「まさかあいつ妖精のひめーーー!」
オレは叫んだ。
妖精の森からの帰り道。
「まさか、メルアが妖精の姫なんて思わなかった。
なんで言わなかったんだ」
「別にわたしは姫なんてなるつもりなかったからよ。
姉さん...... メイゼリナもいるからね。
あんな退屈なところ帰るきもないわ。
わたし自由が好きなの。
人に生き方なんて決められたくないわ」
オレの問いにメルアは答えた。
「まあ、それもメルアの意志だ。
好きにするがよかろう」
「そうじゃな。
わらわも姫なんて堅苦しいのはお断りじゃもの」
「まあ、メルアがいいならいいか!
それより報酬での木で家たてようぜ!
残った木を売ってナイプー三昧だ」
「なに家!?それにないぷーってなんか楽しそうじゃな!
わらわにも教えるがよい!」
「......まあ、あまりはしゃいでもね......」
「なんだよ。 ノリ悪いぞメルア」
オレたちは得られる報酬を夢見てワクワク話ながら帰路についた。
「えーーー!! 報酬そんだけ!!
レスパー嘘だろ!」
「本当です。
ルベルナの木1本です」
「確か報酬ほ100本のはずではなかったか」
「そうなんですが...... これを」
そういってレスパーは手紙を差し出した。
「なになに?」
『今回の報酬ルベルナの木100本でしたが、人間との賭けの借金を逃げたメルアに代わり私どもが返済したため、その立て替えた借金分を差し引いた差額、ルベルナの木を1本を差し上げます。
母より』
「な、なに!?
おい、メルアどういうことだ!」
「......えーーと、そういうこと」
「何が人に生き方を決められたくない、とかかっこいいこといっといて
単に借金踏み倒して逃げただけじゃねーか!
それでお前テンション低かったのか!」
「うっさいわね!
だから借金とりに生き方決められたくなかったのよ!」
「もうむく!」
「やーめーてーー!」
「なるほど、確かにメルアの母ではあるな」
結局オレたちはルベルナ1本しかもらえなかった。