世界樹
「すげえモンスターとかいたらやばいな。
早く魔法をつくらねえと」
「ふむ、何かアイデアがあるのか」
「あの転移魔法はつかえないのかな。
あればヤバいときに逃げられるじゃん」
「あの魔法は膨大な魔力を必要とする上操作も難しいわ。
あんたじゃムリムリ」
「まあ操作にはシンジの才なら可能かも知れんが、魔力量がな」
「魔力の少ないオレにはやっぱ無理か......」
オレは落ち込む。
「お主はもう魔力は少なくはない。
高レベル魔法使い並みに魔力はある」
「嘘! なんで!?」
「魔力は鍛練などで増えると言うただろう。
これまでお主が越えてきた死線でお主の魔力は増大しておるのだ」
「確かにメルアに殴られ瀕死に何度もなったしな」
「あとはだいたいほっそほそになったからだけどね。
よかったわね」
「よかねーよ!」
「転移魔法はある場所にマーキングしてその場所に飛ぶ魔法だが、魔力が足りないと全てを送れん」
「んベル? どういうこと」
「つまり体ならちぎれちゃうってこと」
「ヒィ!」
オレは奇声を発してしまう。
「うむ、そんなリスクをおってまで使う必要はないからな。
使い手も少ないのだ」
「なるほど。
でもそれなら敵にさわって送ればいいってことじゃないの」
「ただ自分の体ならすぐに飛ばせるが、他人はかなり時間がかかるらしい。
相手の全身を魔力で包む間無防備になるのだ。
そこまでして使う魔法ではないな」
「なーる、それであいつらも使ってこなかったのか......
自分や相手を飛ばすのは無理か......」
「マーキングを使えるなら転移魔法より攻撃魔法や魔力弾のが有効よ。
マーキングした場所に追尾していくから」
そうメルアはいう。
「マーキングってどうやるの?
できれば無駄弾なくやれれば効率いいけど」
「普通に魔力をマーキングしたい場所に設定するだけだ。
魔力量によってその場所に存在する時間が異なる。
多ければながく、少なければ短時間しか存在しない」
「ふむ、試してみるか」
「くかー」
「メリエール、こいつずっと寝てやがるな。
おいてくりゃよかった」
オレはモンスターと戦いながらマーキングの練習を行う。
(確かに追尾するが触れないといけないのはな。
リスクが高いし、剣で斬った方がはやい。
そもそも当てるだけなら、弾を小さく分散すればいいし、わざわざマーキングしてまで......
いや待てよ......)
そうオレが思ったとき、かなり強い魔力をこの先に感じた。
メルアとベルも感じているようだ。
オレたちはメルアの魔力隠蔽でゆっくり近づく。
「実験は上場ね。
あとはこの魔封玉をあの方の元に」
そういっているのは召喚師とローブをきた者たちだった。
「あいつ! 召喚師だ......」
「あの年増が......
あいつあのローブのやつらの紋章。
月よ。 あいつら混沌教団だわ」
「どうやら三魔将と繋がっておったな。
こやつらが世界樹に何かしておるようだ」
「この距離だとリブーストでも気づかれるな......
壁を壊せたとしても無理か......
試してみるか......
オレがリバウンドで先に攻撃する」
「わかった」
「うむ」
オレはメリエールを下ろすと、魔力弾を両手に作れるだけ小さく作り撃ちだした。
「リバウンド!!!」
「ぐわあ!!」
「なんだ!?」
オレは魔力弾でローブの者たちを撃つ。
すぐ木でできた壁がつくられ、青い光の柱からモンスターたちが無数に現れた。
「あなたは......
そうまたじゃまをする気かしら」
壁の隙間から召喚師がこちらをみてそういった。
「今度は何の悪巧みだよ」
「さあ、当ててごらんなさい」
召喚師は笑みを浮かべていった。
ベルとメルアはモンスターと戦っている。
オレは壁の隙間を狙ってリバウンドを撃ちだした。
壁の奥でうめく声が聞こえる。
何名か倒したみたいだ。
「確かに面白い魔法だけど、そんな威力じゃわたしは倒せないわよ」
そういうと青い光の柱がさらに伸び新しいモンスターが現れる。
「くっ! 多すぎよ! シンジ! その女早くやっつけなさいよ!」
「この数を防げるのはあと少しだけだ」
メルアとベルが防戦一方になっている。
「わかった! メリエール! ごはんだぞ!」
「なに!? どこじゃ、ごはんは!! ないぞ!!
まただましおったなシンジ!!」
「メリエール魔法だ!!」
「しょうがないのう! いくぞ!」
メリエールは呪文を唱えた。
オレはリブーストでベルとメルアを抱き離れる。
「カオスボルテックス!!!」
黒い渦が前方のモンスターを壁ごと飲み込んだ。