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やり直しの大魔王の弟子  作者: 曇天
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魔法の才能

 オレたちはユリアーノから言われた森を歩いていた。


「ああ、そうだ。

 シンジお主、あの魔王との戦いで両手の魔力をぶつけてなかったか」


「ん? ああ、とっさにぶつけて衝撃で目くらましをしてみたんだ。

 全然意味なかったけどな......

 それがなんだよベル」


「やはりそうか......

 うむ、使えるな」


「あんな目くらましが?」


「違う。

 別々に魔力を扱えることがだ」


「両手......みんなできないの」


「まあ、やればできるけどね」


 そういってメルアは両手に魔力を集める。

 が集めた魔力はどっかにとんでいった。


「ね」


「ね。 じゃねーよ!

 全然できてねーじゃねーか!」


「必要ないのよ!

 魔法を使えばいいんだから!」


「そう、普通は魔法を使い、魔力そのものを操る者は少ない。

 まして複数、同時に使うなど、なかなかできるものではない」


「しゅごい?」


「うむ」


「おれしゅごい?」


「うむ」


「オレ天才てんしゃい?」


「うむ」


「オレ......」


「うっさいのよーーー!」


「ぶはっー!」


 メルアにぶったたかれた。


「何回言わせんのよ! 腹立つわ!

 ベルもあんまり褒めないでよ! ウザいんだから!」


「いいじゃん! 

 生まれてこのかた褒められたことないんだからちょっとぐらい!」


「しかしなメルア、確かにシンジは魔力操作に天賦てんぷの才があるのだ」


「マジでか!」


 シンプルに褒められて嬉しい。


「えーバカの才能ならあると思うけど」


 シンプルにけなされて悲しい。


「それでなシンジ、その魔力に性質を加えるのだ。

 さすればもっと有用に使えよう」


「性質? 火とか水とか風とか?」


「うむ、そういう属性もそうだが。

 固さや伸び縮み、粘り、それら様々な効果の付与、つまり与えればより有用となろう」


「まさか、物を透けてみえるとかもできるの......」


「変態ーー!」


「ぐはっ!!」


「あんた! わたしの服を透かそうとしてるのね!

 けだもの! どスケベ! 無駄寿命!」


「ちがうわ! 角とか壁とかで見えない敵に気づくためだわ!」


「ふむ、透過か可能だ」


「本当に!?」


「ただ映像というわけではなく、魔力を感じて脳内で補正する感じだな。

 だからシルエットだけになる。

 魔法は万能ではないからな。

 たとえば......」


 ベルは両手をまえに出すと魔力を集中すると、両手の上にパンが現れた。


「パンが!」


「食べてみよ」


 オレとメルアは食べてみた。


「うめー! 昼飯まだだったから得したな!


「朝食べたのと同じね!

 なんでこの魔法今までつかわなかったのよ!」


 ぐるるるるる。


 食べている間にオレの腹がなる。


「ん? 腹がなった」


「そうだ、このパンは見た目と味だけのただの魔力の塊だ。

 厳密には味ではなく魔力がそう感じさせているだけ、栄養もなく腹も満たされん」


「偽物なのか。

 分身もつくれるのか」


「作れはするが生物は複雑すぎて難しいな。

 我の全盛期でも全く同じ自分はつくれなかった。

 まあ、自分の魔力を分けるわけだからな」


「これを覚えてレストランを開店すれば......」


 パンを見ながらメルアが悪い顔をしている。


「なるほどいろいろできそうだな」


「今回の迷宮ダンジョンでためしながらいこう」


「ほーい!」


 森の中をかなり歩いた。

 少し薄暗くなりメルアが明かりの魔法をつかった。

 

「では、シンジよ。

 魔力に与えるイメージはできたか」


「うーん、なかなかいい案がでないな」


「無理よベル。

 シンジばかなんだから、やっぱり元々ある魔法を教えたら」


 メルアがオレをみてあきれながら言う。


「シンジばかなの? やっぱりそうなの?」


「それでは、他の者と変わらん。

 相手が同じ魔法をもっておったら、力が上のものと戦えまい」


「じゃあ、オレ戦わない。

 どうせこれ終わったら引きこもるし」


「うむ、それが一番ではあるが、この先どんなことが起こるかはわからん。

 人生とはそういうものであろう。

 それ故に何かを学んで困ることもあるまい」


「うー。

 まあ、やっといて損はないってことか」



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