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いつもと同じ

作者: かみお

いつもと同じ朝が始まる。


同じ時間に起きて同じ時間掛けて支度をする。

同じ時間に家を出て同じ電車に乗る。

同じ顔ぶれに挨拶をして同じ仕事をする。

このまま家に帰れば同じ夜を迎える。


仕事が終わって帰宅するまでの短い時間で、

唯一同じじゃない一日を作ることが出来る。


変えようと思えば変えられる一日を変えないのは、疲れによって無意識に選んでいるのか、疲れているから意識的に選んでいるか分からない。


同じ毎日を積み重ね、客観的にただ眺めていた。

いつもと同じなんて退屈なだけだった。刺激が欲しかった。


嫌気がさして、いつもと違う道で帰ることにした。

違う景色、違う電車、違う街灯。

ほんの少し変わるだけで自分も変われた気になる。


家について、違う一日になったな、と満足して眠る。

また同じ時間に起きて、違う道を通って出勤した。

違う道、違う電車、違う空気。

同じ顔ぶれ、同じ仕事。

違う道、違う景色、違う街灯。


いつもと違う「それ」は続けるうちに日常に溶け、「同じ」になった。



道が変わっただけで、自分は何も変わっていないと悟る。そしてゆっくりと、確実に一日を無駄にする。


これも1つの贅沢だと捉えて、染み込んだ日常を振り払うように、馴染ませるように扱っていく。


こんなことを考えるいつもと違う夜は、酷く居心地が悪かった。

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