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嫁入りと婿入りの違い

アメリアとウィルは、ルバート邸に着くと応接室に通された。

「アメリア様、ウィリアム君、ようこそ、ルバートへ。」

アレックスは、にこやかな笑顔を浮かべて2人を歓迎する。


「王都からは長旅で疲れたでしょう? 5日ほどここに滞在した後、馬で城へと移動しようと思いますが、よろしいでしょうか?」

アレックスの質問に、ウィルは不安そうにアメリアを見た。


「アメリアは馬に乗れません。馬車に変えていただけませんか?」」

「城までの道は整備されていないので、馬車はひどく揺れます。それよりも馬の方が体に負担がかからない。アメリア様は、ウィリアム君か私と2人乗りをすればいいでしょう。」


アレックスは従者を呼んだ。

「ウィリアム君は彼と厩舎へ行って、馬を選んでください。」


アレックスの言葉に頷いて、ウィルは立ち上がった。アメリアもウィルに着いていこうと腰を浮かすと、アレックスから止められた。

「アメリア様は、養子に関する書類の確認をおねがいできますか?」


ウィルが部屋を出ると、応接室にはアメリアとアレックスの2人だ。

「叔父様、書類の確認って、、、?」

養子や婚姻の手続きはお父様に任せていたから、私に聞かれてわかるかしら?


「ウィリアム君を私の養子にした後、アメリア様が嫁入りされる。これでよろしいのですか? 血筋を考えたら、アメリア様を養子にした後にウィリアム君を婿入りさせた方がいいかと思いますが。」


アメリアは笑顔で頷いた。「もちろん合っているわ。」

アレックスの言いたいことは、アメリアにはよくわかった。しかし、それではダメなのだ。


ウィルを婿入りさせた場合、もし子供が産まれる前にアメリアが亡くなったら、ウィルがルバート家にいることが出来なくなるだろう。子供がいたとしても家督を継ぐのはその子であって、ウィルではない。ウィルは城主の親という身分の居候だ。


しかし、逆なら話が異なる。アメリアは領主の娘だ。例えウィルに先立たれても、アレックスの血縁と再婚してルバートに残ることも、ブランドン家に戻ることも可能だ。


アメリアは、自分のために王都での出世の道を捨てたウィルに、ルバートでの居場所を作ってあげたかった。だから、アレックスの問いに力強く頷いたのだ。

「ウィルをルバート家の継子にしてください。」







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