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手をつなごう

作者: 神姫

今日も会社。明日も会社。明後日も会社…。

月曜日になった日の朝、いつものように洗面所へ向かう。

冷たいけど、冷や水で顔を洗う。

ひんやりして気持ちいい。


歯磨きをすませ、着替えて朝食をとる。


いたって普通の会社員、青井日佳莉は、いつも通りの生活をしていた。


車に乗り、会社へ向かい、いつも通りの駐車場に車を置き、

いつも通りのデスクへ向かう。

資料を完成させて、少しは気が楽になった。


そして、仕事が終わり、家へ帰る。


…それだけではつまらない。

彼氏もいないし、なんたって刺激がない。

今日くらい、寄り道するか…。


カランカランっ


とカワイイ音を放つドアを開けて、喫茶店に入った。


「ご注文はおきまりでしょうか。」


といってきたのは、茶髪で微妙に逆立ち、眉がつり上がっていて細く目が大きくて、

鼻が高く、口元もカワイイ。それに背も高い、イケメン君のアルバイトだ。


「あ、えー。コーヒーとクッキーアイスください…。」

「かしこまりました。」



時間がたち、さっきのイケメン君が注文したものを持ってきた。


「お待たせしました。ご注文は以上でよろしいですか?」

「あ、はい。すみません…。」


えーなになに…。

私は、嫌らしいと思いながらも、彼の名札を見た。


風間悠人、25歳


「あたしよりも年上か…。」


以外に、私の方が24歳なので年下だった。


「え?」

「あ、何でもありません…。」


お互い赤面して、私は食べて、悠人君は厨房に戻る。


「さて、お勘定お勘定…。」


食べ終わり、お勘定コーナーへいくと、会計をしてくれたのも悠人君だった。


「600円になります。」

チャリン

「ありがとうございました。またいらしてください!」


車に乗って、何度も思い出した。

風間悠人君のこと…。


明日も行こう!


そして、次の日、仕事が終わりあの喫茶店に行った。


「いらっしゃいませ〜。あ。」


悠人君はあっとした顔を見せた。


席に着き、また悠人君が注文を聞いてくれる。


「昨日と同じで…。」

「えっと、コーヒーとクッキーアイス…ですかね?」

「あ、はい。」

「かしこまりました。」


そして、厨房へと向かう。


「お待たせしました。」


コーヒーを受け取るとき、悠人君の指に触れてしまい、コーヒーがこぼれてしまった。


「あ、すみません…。」

「い、いえ、こちらの不注意で…。新しいコーヒーをおもちいたします。」


「すみません。コーヒーをおもちしました。」

「ありがとうございます。」


悠人君は、さっきはすみませんでしたと言って、厨房へ戻った。


私はその様子を見ていた。

でも、なんだろう…。この胸が熱くなる思い…。



次の日も、また次の日も、私は仕事が終わったら、あの店に向かう。


喫茶店に入ると、必ず悠人君が接客してくれる。

そして、いつものでよろしいかときいてきて、お願いしますと答える。


そして、そんなのがあと5日以上続いていた。


ある日、いつものように喫茶店にいき、いつもの注文をし、

お勘定をしていた。

お勘定をすますまではいつも通りだが、

今日は悠人君じゃなかった。


今日は悠人君じゃなかっただけで、落ち込んでしまった。

なんでだろう…。この気持ち…。

そう、私は悠人君に恋しちゃってたんだ…。

しゅんとしながら車へ向かう。


しかし、鍵を開けた瞬間声がした。


「あ、あの!」


声のした方を向くと、悠人君がいた。


「あ、どうも。今日は居なかったですね…。」

「え、はい。今日は休みをもらいました…。その…。」

「あの、なにか?」

「じ、じつはその…。俺、風間悠人って言います!25歳です!

あの、じつは!好きになっちゃいました!付き合っていただけたら光栄です!」


涙が出ました。

好きで好きでたまらなかったんだ…。


「あのっ、私は青井日佳莉っていいます。じつは、私も悠人さんに

会いたくて毎日来てたんです!私こそ光栄です!」


OKしちゃった…。いいかなぁ。


「マジですか!?やっべちょーうれしい!って、すみません…。」

「うふふ、良いですよ。こっちも好きでしたから…。」


だって、すきだったから…。


「俺、今、ものすごく嬉しいです!めっちゃめっちゃ嬉しいです!ありがとうございます!

また明日も来てくれますか?」

「ええ、毎日いってますから…。」

「よっし、俺明日もがんばりますよ!」


じゃあ、といって、悠人君は帰っていった。

私も帰る。途中だったから。


家に着いた。風呂に入って、ご飯を食べて、歯磨きをして、寝る。

それが、今は楽しみに変わった。


明日もまた会えると思うと、眠れない。


夢では、悠人君と手をつないだ夢を見た。

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― 新着の感想 ―
[一言] 話を読んで、ほのぼの〜させてもらいました。 24歳では青春っていう年齢じゃないかもですけど、手をつないだ夢を見るって初々しいですね。 やっぱりほのぼのします〜
[一言] 好きな人ができて、主人公がだんだんドキドキ・わくわくしているのがわかってすごく可愛かったです。 二人の恋が素敵だと思います。 主人公の心情をていねいに描いていたのが素晴らしいと思います。
2009/04/07 20:50 退会済み
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