言葉
誰かが言っていた。
片想いの時期が一番楽しい──と。
「お前と話してる時が一番楽しいや」
その言葉が嬉しかった。
その言葉に安心した。
その言葉に胡座をかいた。
「私好きな人が出来たの!」
親友のその言葉。
自分の事の様に喜んだ。
自分の恋かの様に応援した。
でも、
自分の好きな人だと知って戸惑った。
「で、でもアイツは──」
邪魔するかの様な自分の口から出る言葉。
その言葉に嫌悪感を抱く。
その言葉に罪悪感を抱く。
そして、
その言葉で邪魔する資格が無いことを自覚する。
「応援……するね」
口から出た嘘。
目から流れる本音。
「え、どうしたの」
親友のその言葉に、貴女に好きな人が出来たのが嬉しくて──と嘘に塗りたくられた言葉を返す。
好きな人の為に頑張る親友。
好きな人の言葉で安心しきって、何もしなかった私。
結果は明白。
親友の喜ぶ姿を見て確信する。
「おめでとう」
心にも無い言葉。
「ありがとう!」
嬉しさを感じさせるその言葉。
ただただ、羨ましく感じるその言葉。
誰かが言っていた。
片想いの時期が一番楽しい──と。
きっとそれは、理想であって事実ではない。
楽しそうに歩く二人を、後ろから見ている私の心がこんなにも苦しいのだから。
最後まで読んで頂き、ありがとうございまいた!
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