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26話 戦支度



 闇取引を終えてナツハ工房に戻ってきたわたしは、CLOSEの看板が立っているのを確認して、奥の作業場に閉じこもった。


 煤けた匂いのする広い部屋には、持ち主の来客を心待ちにしている装備品たちが所狭しと棚に整列していて、そこから離れたスペースに鍛冶設備と調合器具が取り揃えられており、いつでも作業に取りかかれるように整頓されている。


 そんな完全仕事モードの空間に帰ってきたわたしは、雰囲気を上げるために多目的ゴーグルを装着し、バッチリ気合いを入れてテーブルに向かった。


「アイテムボックスオープン。入手順一覧から購入してきた素材をアクティベート」


 無骨な長テーブルに先程の素材たち(ボムヤシパウダー50袋、チルドフラワー50輪、ストームシェル50個、ニードルストーン50個、エレキサンド50個)を取り出していく。これらは各属性の罠を造るための素材であり、わたしのダメージソースの要とも言えるモノ。


 イベントで持ち込めるアイテムは5種類、それぞれ10個までと記載されているが、わたしの【アイテムコレクター Lv4】は個人のスキルであるため、罠系アイテムに限りそれぞれ50個までの所持が可能となっている。そのため、計250個の罠系アイテムを用意しておく必要があるのだ。


「イベント会場は塔の中だったよね。てことは狭い通路での戦いもあるだろうし、普通にタル爆弾を置いても目立ちすぎちゃうかな」


 通路を歩いていて目の前にタル爆弾が現れたとして誰も近寄ってはくれないだろう。ある程度は目立たないように設置するにしても、モンスター用に大きく設定されたタル爆弾の存在感は半端じゃない。


 せめて大きさをどうにかできないものかな?


「よし! それなら大きさをデザインしちゃおう!」


 このゲームにはアイテムを自在に製作するユニークシステムがあるのだから、同じアイテムでも大きさを変えることなんて容易いのである。


 そこで出番になるのがハピネスストーン。


 ユニークを製作するのに不可欠なレアアイテムなのだが、出現には条件があったらしく、生産レベル3以上の者がいないといけなかったようで、噂では採掘率1パーセントなんて言われていたりもする。


 まあ、噂なんて当てにならないよねー。



「出でよハピネスストーン、250個!!」



 テーブルの上に開いたアイテムボックスから、手のひらサイズのハピネスストーンが音を立ててなだれ出る。用意しておいた箱からも零れ落ちる桃色の輝きを見れば、これが1パーセントでしか採掘できないだなんて信じられないよ。


「絵も描けたし、あとは素材と属性結晶を合わせて混ぜていくだけだね。ごりごりごりー」


 今回の罠造りは調合になるので、絵を読み込ませたあとは車輪を使ってひたすらに摺り潰していく。



 ごりごーりごりー、ごりごりごーりごりごりー



 でけた。


「まず1つ目。残り249回、がんばるぞー」


 ……がんばるぞー。




「おわった……」


 ゴーグルを外す。背伸びをする。


 手に入れた全ての素材をアイテムに生産し直せたので、一息つきながらステータス画面を開いてみる。


―――――


■名称:ナツハ Lv 21


■ステータス


 HP 250

 MP 50


 STR 5

 VIT 5 (+39)

 INT 5

 MND 5 (+37)

 AGI 5 (+23)


 DEX 115

 LUK 115

 CHA 5


■スキル


 AS ごにょごにょ

 PS 【採取 Lv3】【生産 Lv3】【アイテムコレクター Lv4】【アイテム効果倍化】


■装備スキル


 …………


■装備


 武器

  右手:なし

  左手:なし


 防具

  頭:なし

  胴:カエルの雨具(ユニーク)

  腕:万能手袋(ユニーク)

  脚:熟練職人のベルトズボン(ユニーク)

  足:一輪の長靴(ユニーク)

  アクセサリー:なし


―――――


 こうして改めて見ると、レベルは攻略組のみんなと変わらないか、少し低い程度をキープできていることに感心する。


「けど、STRとINTが『5』のままなんだよねー。でも、武器を持つと手が塞がって採取しづらいもんなー。……扱える気がしないし」


 キュリオス初のPvPイベントへ向けての準備をしているけど、攻撃と魔攻が最低値の『5』という事実には驚きを隠せない。ルピナスとフィリオの2人が100を超えているということは、他のプレイヤー達もそれに近い数値であると思われる。


 しかし武器を造ったとしても、未だにスライムすら倒せないわたしが扱えるはずもなく。


 どうしたものか……。


「まあ、わたしと同じようなステータスをしてる人もいるよね。きっと大丈夫。なんとかなるよ」


 イベントにはスミスの人たちだって参戦するはずだもん。わたしにはアイテムもあるし、だいじょうぶ、だいじょうぶ。


「でも、不意打ちには警戒しておかないと。なにか対策ができそうなー、アイテムは造れないかなー、なななー」



 ……およよ、これは。



 アイテムスクロールに表示された2つの素材。それはいつぞやのボスモンスターから手に入れたモノだった。



 これで準備は整ったね。


 次はいよいよイベントだよ!



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