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雨。

作者: 夢都

天を見上げ、さしている傘をくるくると回す。飛び散る水飛沫。雨の日は、世界に1人だけ取り残されたような、淋しい気分になるけれど、その淋しさが愛しい。下手なのに歌いたくなる。

ルンルンルン。

適当に口ずさむメロディー。作曲家は、こんな風に曲を作るのだろうか。


淋しさが漂うこの空間に、雨の音が鳴る。何処かでピシャリ、何処かでパシャパシャ、何処かではトン、トン。サァー、ザァー。色々な雨の音。私は、サァーが好き。部屋の中で窓から聞こてくるサァーサァー。微かに屋根に落ちる雨の音。部屋の中は無音にして、雨の音をBGMに本を読む。

昔、アニメで雨の降る夜に編み物をするお婆ちゃんを見て、少し憧れていたのを思い出す。それで、編み物を始めてみたけど、全然ダメ。編んでいる途中で飽きてしまう。私には向いていない。


立ち止まっていた足を前に進める。傘は顔を隠してくれるから、いつもより堂々と胸張って歩く。いつもは地面ばかり見ている景色も、今日は傘の中からこっそりと周りの景色を楽しむ。通りすがりの人を観察してみたり、植物から滴る水の流れを観察したり。普段だったら変人扱いされそうな行動をこっそりとできる。こっそりできるのがいい。少し不可解に思ってる人もいるかも知れないが、それも傘で顔を隠しているから、私だとわからないと一瞬で不安は消える。視線だって、傘が遮ってくれる。声も雨の音が掻き消してくれる。周りを気にせずに自分のやりたいように、気の赴くまま歩く。


あー。


白い靴が雨で汚れてしまった。雨の唯一つの欠点はこれだと思う。濡れるのは別にいい。気持ちいいし、浄化されたような気分になる。風邪をひきさえしなければ問題はない。ただ、汚れるのだ。物理的に。気分は爽快だが、服や靴、バックなど汚れるのは良くない。これさえなければ、雨は完璧だ。毎日だって降っていい。あ、でも、そうなると雨の有難さがなくなってしまう。やっぱりこのままが1番いい。後、災害が起きるほどの大雨でなければなお良い。少し、図々しいだろうか。まあ、でも人間なんて結局は欲の塊なんだから、私のこの欲なんて可愛いもんだ。

満たされているようで、満たされてないくらいがちょうど良い。飢えもしないし、欲がどんどん大きくなることもない。適度に食べさせ、適度に飢えさせる。日常のサイクルだ。大きい夢を抱かなければ、幸せなのかは人によるかもしれないが、私には充分だ。それ以上を知らなければ傷つくこともない。小さな幸せが多ければ、大きな夢にも勝てる。幸せとか夢とか曖昧だが、人によって形が違うのだから曖昧でいい。はっきりさせなくていい事もあるしね。


あ、虹だ!!


いつのまにか雨が上がっていたらしい。少し残念だけれど、雨上がりのこの神聖さは、やっぱり雨降りと同じくらい好きだ。虹も綺麗だし。虹を見るとなぜ特別なものを見た気になるんだろう。今までも見たことが何回もあるのに。それに、やっぱり何だかスッキリした気分だ。淀んでいた空気が清廉な空気に変わる。名いっぱい空気を吸いたくなる。


みんなは雨が好きですか?君の周りには小さな幸せがいくつあるのか。もう一度、目を凝らしてよく見て、よく考えて。今、君の目に映っている、頭に浮かんだものは何ですか?


また、新しい1日が始まる。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 雨の楽しみですね。ささやかでほんのりとした感じが好きです。 [気になる点] 文字が詰まった感じがします。 改行を入れると読みやすくなると思います。
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