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ああああああああああ  作者: あああああ
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第二話

アナザーワールドナードエンペラー 二話


言われるがままに連れてこられたのは俺の知っている映画館とは違う、木造のぼろ屋敷だった。よく見たら「エノモトシアター」とホコリ被ったネオンにがある。

現在の複合型施設にある映画館とは異なる、昔ながらの個人営業の所だ。

外にはやれ映画スターの手書きの看板がなんとも味を出している。

「ここよ。どうかしら?」

「いやぁ…なんとも、味が出ていていいお家じゃないか…」

わからん。なぜ俺は今日初めて出会った女子生徒に連れて行かれ、こんな薄気味悪いボロシアターにいるんだ?


「こっちの表口はお客様用だから。こっち。」

彼女に袖を引っ張られ、草木が生い茂った庭を通ると、ボロボロの裏門に辿り着いた。


入り口をよく見たら、表札「榎本」の隣のかまぼこ板に「異次元科学研究所」って書いてあるじゃないか!胡散臭さ満載だ!変な宗教法人の勧誘じゃああるまいな!

「ねぇ榎本さん…この異次元科学研究所って何?」

彼女の顔に目を向けて話すと、彼女は反応を示さず、「ここよ。入って。」と俺を誘導した。


なんというかその瞬間、俺は初めて恐怖感を覚えた。

今までは普通にデートだと思っていたが、本当は違う。むしろデートだと思っていたのは俺だけだ。何か拉致や生体実験でもされるのではないか!?

 「え…榎本さんっ!あのこれ!変な実験とかじゃないよね!?ただ映画を見るだけだよね!?」

 薄気味悪くなって、俺は思わず声を上げた。

「そうよ。ただ映画を見るだけ。竹林くんは心配しなくて良いわ。」


裏口の扉を開けると中は予想通りの場所だった。埃っぽく暗い階段が現れた。


「暗いなぁ。電気つけるわね。」

彼女は壁のスイッチを連打すると、あちこちに電球色の光が灯る。


「ここよ。」

彼女に案内されてきたのは映画を上映するスクリーンの裏側だった。そこには色々なビデオやカメラ、撮影器具、三脚、本などが散らかっており、大地震の直後ようになっていた。映画を見るための椅子もなく、平坦で狭いところから、ここはスクリーンの裏側だとわかった。


ふざけるな!なぜ映画を見ようと思って来たのに、こんな場所に連行されなければならないんだ!

「お、おい!本当に映画をみるのか?!なんなんだよここはぁ!?」


俺は久しぶりに大きな声を出してしまったので、少しばかり裏返ってしまった。


「これから見るの。少し待っててね。」

すると彼女は物置から大きな椅子を台にのせ、引っ張り出してきた。それはそれは不気味な代物で、米国の死刑器具である電気椅子に酷似していた。しかも全身金属張りで寒々しく座っただけでもいや見ているだけでも冷や汗が湧き出て来た。

「榎本さん、まさか…俺にこれに座れなんて言わないよね??これは…記念にもらった映画のセットとかだろ??」

一瞬沈黙が起こる。

すると榎本さんは下を向き

「チッだめか」

とつぶやいた。

「まぁさ、とにかく座ってみてよ。」

何を言っているんだこの女は!!だめかって何だよ!薄々気づいてはいたが、最初からデートをする気など、俺に対する好意など毛頭なかったんだな!?しかもとにかく座ってみてよ。ってなんだよ!?あんの上、俺を生体実験の道具にしようとしてるようだな!!


「こっ…!断る!!仮に俺が必要のない人間でも!訳のわからない実験につきあわされて死ぬのは嫌だ!!!」

榎本に掴まれた手を俺は離そうとしたが、彼女は驚くほど力が強く、俺の手は離れなかった。


「へぇ〜いいんだ。竹林くん、映画好きって言ったよね?一生をつまらない人生で終えるの?面白い人生送りたくない?いい?この椅子に座るだけで面白い人生、送れるんだよ?」


「それは来世っでってことだろ!?嫌だ死にたくない!!!助けてくれ!?楽しい地獄も天国も嫌だ!!!」

俺の悲痛の叫びは、無残にも地下室から地上には届かなかった。精神病の同級生に生体実験に使われ男子高校生死亡、というニュースが頭をよぎる。


「は?何それ!私は竹林くんが如何にもつまらなさそうな人生を送ってたから選んだの!だからこの椅子に座りなさい!座るだけでいいの!」


「座るだけで死だろ!!」


「もういい。強制的に縛り付けてやる!!絶対逃さないから!!」

もういい。は俺の期待したもういい。でなかった。デートと同様にな。同級生にこんな頭のおかしい奴がいただなんて!悪夢だ!しかも女の癖に怪力だと!?最悪だ!!気が違っている!


普段から運動をしていなかった華奢な俺は、すぐに椅子に縛り付けられてしまった。金属製のため椅子はとてもヒンヤリとしており、俺は体中に鳥肌がたち、冷や汗がスプリンクラーのように吹き出してくるのを身を持って感じた。


「電流を流してもらいたくない?死にたくないよね?」

あまりにも気違いじみた彼女の発言に、俺は

「何をしたら許してぐれまずが?」

と泣きながら尋ねる。

「そうだなぁ?私は竹林くんの好きな映画が知りたい!」

「え…映画は!!で…出てきません!ごめんなさい!殺さないで!!…お願い!!」

「じゃあアニメとかでもいいよ?」

榎本さんはと微笑みながら呟く。

「あ…あの!!異世界でッ!死ぬなら異世界転生で…!お願いします!」

体中が震え、舌を噛む。

「異世界転生…うん、竹林くんらしいね!じゃあさ、次に目的を教えてくれるかな?」

「ぼっ…ぼくでぎはっ!!異世界の人を笑顔にすることです!!」

生死の間を彷徨う中で俺は学級委員長候補が言いそうな異世界マニュフェストを公言した。


「うっそー!!顔に違うこと書いてあるよ!本当のこと言わないと!地獄に堕ちるよ?」


「ギャアアア!!!ごめんなさい!ごめんなさい!今のは嘘です!!僕は異世界で!ハーレムを作って!女の子にモテまくって!ほんで英雄扱いされたい!!」

死の直前に、俺は今まで睡眠につく前の妄想を叫んだ。

「最後に何か持っていきたいものは?」


「うぅ…スマッ」


「スマホね、わかった!」

彼女は大嘘をついていた。俺が最後の質問に答えた瞬間、彼女はスイッチのレバーを引き、俺の椅子に電流が流れた。

俺は一秒もせず意識を失い、深い眠りについた。


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