第14話 南野、ついにダイビングに行く
こっちに来るときは、荷物の大半がダイビング関係という、仕事に行くんだか、遊びに行くんだかわからない「浜ちゃん」状態でしたが、なかなかダイビングに行けずにいました。
その理由は……、
だって、どうしたらいいのか、わかんないんだもん!
日本の旅行会社にパック旅行を申し込むのとはわけが違います。
今と違い、ネットで簡単に検索、申し込みができる時代じゃなかった。
会社にはダイビングを趣味にしている人は他にいないし。
近場のダイビングリゾート行くにしても、日曜日、会社の車を独占できません(なんかゴルフに使うのはオッケーぽいのにね)。
しかし私はあきらめてはいなかった。
そしてついに日本人が経営しているダイビングリゾートの窓口になっている旅行代理店がマカティにあることを突き止めました。
ええ、そこに行きましたとも。どうやって、昼間仕事を抜け出して、そこに行けたかはまったく覚えていませんが。
残念ながらそこに日本人スタッフはいませんでしたが、そんなことは関係ねえ!
フィリピンに来てから、まだそんなに日にちがたっていないとはいえ、こちとら毎日ローカルスタッフとコミュニケーションをとろうと四苦八苦している身です。
ダイビングの段取りくらい、楽勝だぁ!
こうして決まったフィリピンでの初ダイビングは、近場でも何でもありませんでした。 セブ島の最南端。リロアン。
セブ(マクタン)空港から車で3時間くらいかかる秘境。
しかしネグロス島、ドゥマゲティ空港から水路を使えばもっと早いとか。
二日休みが取れればなんとか行けそうです。
行くしかねえだろ、こりゃ!
この話を最初、M籐さんにしたときの反応。
「やめとけ、やめとけ、おまえにはまだ無理だ」
心配だったようです。
たしかにまだフィリピンになれてないし、言葉だってろくに話せない。そんなやつが一人でそんなところへ行くと聞けば、反対のひとつもしたくなるってもの。
しかし私は断言する。
「でも、行きます!」
「あ、……そう」
こうして私はドゥマゲティ行きの飛行機に乗った。