第5護衛隊群 プロローグ
随分久しぶり。
改めて見直すと、昔の自分の表現の稚拙恥じ入るばかりと共に自分の成長をも実感。完全に趣味でやっているので、ものすごく亀。それでも良ければどうぞ。
高知県宿毛湾港には、夜の帳が下り、埠頭では第5護衛隊群の各艦が月明かりに照らされ、まるで揺り籠で眠る赤子のように穏やかに波に揺られていた。
しかし、その不気味なほどの平穏さが逆にこれから訪れる波乱の前触れのようでもあった。
CVN-2『ずいかく』の艦橋にはいくつかの計器のランプが明滅し、月明かりが差し込むのみであった。
薄暗い艦橋では、第5護衛隊群司令、川西海将補とずいかく艦長、中西一等海佐が話し込んでいた。
「司令、先の自衛艦隊司令部からの指令は、やはり中国への牽制が目的として間違いないでしょうか?」
昨今の中国経済は、経済成長時に活発となった投資先がゴーストタウンになるなど、更に悪化の一途を辿っている。
莫大な軍事費を貪る人民解放軍は、「予算を食うばかりで働かない」と共産党内での立場が悪くなっている。
近々領海や接続水域、領空等で何らかの形でパフォーマンスを仕掛けてくる可能性があった。
「ああ中西君、最近中国の海警やフリゲート等の尖閣諸島周辺の接続水域などでの活動も活発になっていて、我々も黙って見ているわけにはいかなくなった。しかし、過度な牽制は中国軍の現場単独での党本部の意向を無視した軍事的暴走につながる恐れもある。」
「そうですね。ただ、これほど軍が活発に動いているのに共産党本部は放置している……。これは非常に不自然に思います。不気味ですね。」
「ああ……。中国共産党の上層部も過度な緊張は避けたいはずだ。近年経済が落ち込んでいる今、海底のレアメタルによる好景気に沸く我が国と関係を悪化させてもメリットは少ないが……。」
「それなのに党本部は軍に好き勝手させています。制御しようと思えばいくらでもやり方はある筈ですが……。」
「……もしかすると、何か我々の見えないところで良からぬ企みが蠢き始めているのやもしれん。」
「情報本部や内調、公安調査庁などによると、中国海軍の動きが更に活発になっているようですし……我々は十分に注意して任務に当たらねばなりませんね。」
「そこは我々の腕の見せ所であるな。」
「はい。そこで指令を受けた南西諸島周辺海域での演習に備え、数日中に各艦長や副長並びに護衛隊群の司令部によるミーティング、図上演習を行いたいと考えています。」
「そうだな……各々に事前準備を怠らぬよう通達しておいてくれ。」
「了解しました。曹士や下級士官には休養を怠らず、英気を養うよう言っておきます。」
「ああ、ここから長丁場になるかも知れんからな。」
果たして第5護衛隊群及び自衛隊は
この平和な日本を守れるのか?
言いようのない不安が二人の胸中を駆け巡っていた。
次は大学生になってからかなぁ……。