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巨龍討伐隊 アルデバラン推参!!

久しぶりにこの場所に返ってきました。記念すべき再出発一発目はこの作品です!

誤字脱字などは自主的に直していきますが、何か意見がある場合でもドシドシ応募しております!!

 広大で黒い宇宙に、一粒の雫の如き、蒼い輝きを放つ惑星がある。その星の名は『アビス』。この星に住む住人『蒼海の民』は、この惑星が創世された時期より存在する。だが、『蒼海の民』と同時に惑星創世の時期より、この惑星に息づいている生態系の頂点が存在した。


――――彼等はそれを『巨龍 リヴァイアサン』と呼んだ。


 この生物の特徴として、まず『水を食べて成長する』という点が、この生物の大きな特徴だ。大型の魚を食べる肉食性でもあるが、水を喰らい、自らを成長させる生態は、惑星アビスの環境に直結する。

 惑星アビス創世の頃、現在と何ら変わらない量の水を湛えていながらも、少しだけだが陸地があった。だが突如として、アビスの各地で水柱が上がり、瞬く間に少なかった陸地も水に沈んでしまった。この時を境に、それほど目立た無かったリヴァイアサンが、巨大化の兆候を見せる。水中は重力がかかりにくく、水棲の生物は、陸棲の生物よりも数倍大きくなるのと同じ理屈だろう。

 この惑星の環境変動が起こった時には、『蒼海の民』は生活の場を空中に移してしまっていた。陸棲動物の、九割方が死滅したのにも関わらず、『蒼海の民』には空を自由に飛ぶ事ができる事が、彼等が生き残る要因となった。彼等は空中に浮遊コロニーを造り、そこで生活を始め、今に至るという訳だ。


「……海の上でなければ、自由に空は飛べないんだがな」


 蒼い髪の青年は、その本に書いていた事について、小さくポツリと呟いた。だが隣に座っていた男に、その事が聞こえてしまっていたようだ。その男は青年の顔を覗き込み、驚いた表情を見せる。青年にとって見れば、このような事は迷惑この上ないのだが。


「きょ、巨龍討伐隊長……!? な、なぜ貴方がこのような所に……」


「……そんなの人の勝手だろ。……質問は以上か? それならさっさと失せてくれ」


 そう言って本を閉じ、いきなり話しかけてきた男を、冷たく一瞥して前を向くと、先程の短いやり取りを聞きつけた人達が、性別や年齢を問わず、大量に集まってきていた。青年は額に手を当て、溜息を吐き、群衆の前で一瞬で姿を消して見せる。いきなり姿を消した、若き巨龍討伐隊長を称える、謎の歓声が沸いていた。


「……なんだってんだ。そんなに『蒼海の民始まって以来の逸材』に、心酔しすぎなんだよ」


 歓声を物陰から聞きながら、青年はさも他人事であるかのように、自身の陰口を言った。その時、自分の背後でガツッと何かが、固い物にぶつかる音が聞こえてきた。青年がチラッと後ろを向くと、そこには青年の肩ほどしかない小柄な少女が、頭を抑えてうずくまっていた。


「……大丈夫か?」


「いっつつつ……タンコブできてるんじゃないかしら!?」


 頭を抑えつつ、ノソリと立ち上がった少女は、声をかけてきた青年を目の前にした瞬間、思考と動作を停止させた。対する青年も、目の前の少女が何者かを知った瞬間、少女と同じように思考と動作が停止した。

 数十秒もの間、お互いに身動きもせず、無言でお互いの顔をまじまじと見つめ合う二人。そして思い出したかのように、二人が同時にお互いの顔を指さして口を開いた。


「あ~~っ! 貴方は巨龍討伐隊の総括隊長。『メテオ=ブルメテウス』ですよね!?」


「そう言うお前は……最近、巷で噂になっている……えーっと、『マジック・グリース』とか言うアイドルグループの『スピカ=グリムアーク』じゃないか。……俺はアイドルに興味はないがな」


 メテオと呼ぶ青年の最後の一言に、胸を弾丸で貫かれたが如き、衝撃に襲われるスピカ。あまりにもショッキングな発言に、彼女は胸を抑えて二、三歩後ろにヨロヨロと下がった。ショックである事を表す、スピカのリアクションを見ても、メテオは何とも思っていないようだった。

 スピカが「ぐぬぬ……」と、悔しそうな顔で唸っている前で、突然メテオが、思い出したかのような表情で、ポンと手を打った。その次の瞬間、一瞬だけメテオの容姿が、少しだけ歪んだように見えた瞬間、彼の手には色紙とサインペンが、しっかりと握られていた。――――先程スピカと対面した時、彼は何も持っていなかったのに。


「……あ、そうそう。俺の部下の一人が、お前の熱狂的なファンでな。あのグループの中でも、ダントツでお前が大好きなんだとさ。今それを思い出したから……サイン、よろしく頼むわ」


「ちょ、ちょっと……サインは別に構わないけれど、それどこから持って来たの!? さっき貴方は何も持ってなかったじゃないの!」


「あぁ、これか? ちょっと自室に戻って取って来ただけだ」


 「それがどうかしたか?」とでも言いたげな表情で、凄い事をサラッと言われたスピカは、ただ茫然としている事しか出来なかった。だが、スピカの脳内に、いきなり鋭い電流が流れ、メテオが何をしてこうなったのかを理解した。


「もしかして……貴方は『神速』が使えるんですか?」


「あぁ、アイドルの癖に随分と察しが良いな。そこだけは褒めてやらなくもない」


 神速という能力は、巨龍に立ち向かう者として見れば、喉から手が出るほど欲しい能力である。その能力さえあれば、龍の攻撃を避ける事はもちろん、討伐隊が装着する身体強化パーツと連携して、眼にも止まらない速さで、奴等の甲殻を砕く事が可能となるからだ。そして、討伐隊の隊長であるメテオは、ただでさえ数少ない神速使いの中でも、頭一つ抜きんでて『神速』の能力が色濃く表れていた。

 先程、一瞬だけ彼の姿が歪んで見えたのは、その抜きんでた『神速』の能力の所為である。彼の能力は神速を越え、残像をその場に残して、自身は別の場所に身を現われる事ができるのだ。


「……要は残像って言うよりは、影分身に近いのかもな」


「さ、流石は巨龍討伐隊の隊長……人格はアレだけど能力は超一級だわ」


「おい、人格はアレってどういう意味だ」


 巨龍討伐隊の隊長として、素直に高い評価をされていない事に対して、スピカにツッコミを入れるメテオ。何か言いたげな様子のスピカのを見て、小さくため息を吐いて、暫くの間を置いて口を開いた。


「……ハァ、悪かった。上から目線で話した事に対して、お前は怒ってるんだろう?」


「な、何で分かったのよ……」


「当たり前だ。そんな事を俺が見抜けないとでも……」


 そこまで言いかけていた時、メテオの懐から巨龍討伐隊専用の、通信機が鳴り響く。うんざりした顔で、メテオは通信機を取り出し、気怠そうな呆けた声で応答した。


「……こちらメテオ~。んだよ、俺はダルいんだよ。あぁ……ハイハイ分かったよ」


 そう言って面倒臭そうに、通信を切ったメテオは、スピカに小さく笑いかけた後、凄まじい風圧と共に一瞬にして姿を消した。風を遮る様な体勢になった為、スピカには何が起こったのか見えなかったが、王宮がある方角に蒼い光が一つだけ、飛び去って行くのが見えた。


「……あんな奴に負けてられないわ。私だってやれる事をしなくちゃ!」


 そう言ってスピカは思い出した様に、元来た道を帰り始めた。

二人が別れた数分後、途端に雲行きが怪しくなり、空を覆うばかりの大きな雲が出来た。そして二人が別れた場所に、一人の黒い影がポツリといきなり現れた。その顔立ちからして、恐らくは少年だろうか。少年は唐突に出来た黒い積乱雲を睨み付け、無言のままその場から消えてしまった。



 メテオが王宮に付いた時には、出発口となるゲートに物々しい装備で、身を固めた屈強な男達が、隊長であるメテオを待っていた。メテオが現れたと同時に、その中の男が一人だけ前に歩み出てメテオに声をかけた。


「隊長! 総員、準備完了であります!」


「……そうか。それならさっさとゲートをくぐって、ちょっとデカいお魚をフライにしてきてくれないか? あ、それとお前。今回は絶対に死ぬなよ? 前振りじゃねぇぞ、ちょっと渡したい物を用意してやってるんだからな」


「は、はぁ……一体何の贈り物でしょうか?」


「お前が見たら卒倒しそうなお宝だよ」


 メテオはそう言いながら、サイバーチックな蒼い戦闘服に身を包み、トントンと跳ねてみたり、屈伸や肩を回してみたりと、戦闘服に不備がない事を確認した。そして、メテオは隊員たちに向かって口を開いた。


「いいか? ここから先には、待った無しの戦場がある。相手は俺の様に手加減も知らない。いかなる相手・いかなる状況に陥っても、希望と勇気だけは捨ててはいけない。この言葉を理解出来たものだけ、この俺に続いて戦場に飛び込め~」


「隊長! 面倒臭そうに言われては、せっかくのお言葉も、全然説得力がありません!」


 正論を言われたメテオは、反論する事も出来ず、頭を掻きつつ踵を返してゲートの中へと飛び込んだ。メテオを追って隊員たちが、次々とゲートを潜って行った。

 その様子の一部始終を、コソコソと覗き見ていた人物が一人。黄色い髪を、オールバックで見事にキメている貴族風の男だ。だが、その男の黄色い双眸は、怒りに燃えているようにも見える。


「リ、リヴァイアサンの討伐だとぉ……!? リヴァイアサンこそ、我ら蒼海の民の守護神だというのに……王家はなんという事をしているのだ……!!」


 痰を吐き捨てるが如き口調で、そう言った男は、大股でズカズカと荒っぽく歩いて、何処かへと去ってしまった。


『戦闘エリア投下。能力による飛行可能時間は……20分が限界です』


「十分だ。それだけの時間があれば、竜田揚げが何千人分できるかな?」


 そんな冗談を言いつつ、雲の中を急降下していくメテオ。後ろには、先程の隊員たちが続いていた。メテオが両手を広げると、隊員たちはメテオを中心にして、Vのような形をした隊列を組む。そして、メテオが発煙筒を点けて、上に投げたと同時に、隊員たちは紅い珠を口に入れて飲み込んだ。

 その時、メテオ達が急降下していた雲が無くなり、目下に惑星アビスの海が、少しの濁りも無く、美しく広がっていた。……だが、その蒼き海の中に一際大きく目立つ巨大な生物が見える。

 蒼い海と何ら謙遜ない青い甲殻。海の中を高速で動き回る為に、特化した細長くそれでいて、筋肉質を思わせる勇壮な姿。見る者全てを威圧する、鋭く光る眼光と二本の立派な角。


――――この惑星の頂点に立つ生物『巨龍 リヴァイアサン』だ。


『投影データ受信完了。このデータよりこの個体は『4500m級』と判別。キングクラスとまではいきませんが、この時期にしては大きい個体です』


「『5000m級』とまではいかないか……。あ~ぁ、報酬が三万ぐらい違うぜコレ……」


 空中で、作戦指揮を執っているのにもかかわらず、何の躊躇も無く私情を挟むメテオ。隊員たちはそんな事などお構いなしに、メテオの指示通りに事を進める。少々の冗談も通じない奴等だ……と、内心ガッカリしながら、メテオは隊の指揮に戻った。

 リヴァイアサンも、上空から襲いかかって来る天敵を認識し、威圧の咆哮を上げた。大気は震え、水面は激しく波打ち、聞く者全てを圧倒する轟音を目の当りにした隊員たちは、一瞬だけ怯んだように見える。陣形が崩れる事を懸念したメテオは、大きな声で隊員たちに呼びかける。


「怯むな! 確かに相手はお前達が見てきた奴よりデカい。だが、俺が行ってきた訓練は、ちょうどコイツの様な大型個体を相手する専門の戦闘だ。恐れずに俺に続けッ!」


 その言葉に奮い立ったのか、メテオの合図で次々とリヴァイアサンに向かって突撃する隊員たち。彼等は何の考えも無しに、リヴァイアサンに突撃している訳では無かった。

 よく耳を澄ますと、高速で動く隊員と、リヴァイアサンの巨躯がすれ違う度に、『ピキッ……パキッ』と何かが割れる音がする。実はこの音、隊員たちがすれ違い様に、リヴァイアサンの巨大な鱗を、一枚ずつ的確に割っているのだ。そしてスピードを殺さず、海中に潜ってメテオの下へと戻って来る算段だ。外殻を砕かれて痛みを覚えたのか、リヴァイアサンが怯み、少し弱々しい声を出した。


「隊長! 今こそ隊長の力を見せるときです!!」


 メテオの補佐が、後ろで状況を見ているであろう、メテオに声をかけた。だが、肝心のメテオは大きな欠伸一つして、鼻をほじりだす……。補佐の言葉を聞いても、一向に動こうとしない。リヴァイアサンは、隊員たちの攻撃が止んだと同時に、悲鳴を上げてメテオ達から逃げ出した。


「た、隊長! 標的が逃げ出しました! いかがいたしましょう!? 隊員はさっさと標的を追え! 絶対に逃がすな!」


「そのままでいいんじゃねぇか? 危害を加えずに逃げるなら、俺は追う必要はないと思うが? 『去る者は追わず来る者は拒まず』ってな。だから俺は手を出さねぇよ。だが……」


 そう言った時、リヴァイアサンがいきなりUターンして、隊員たちに大口を開いていきなり襲いかかった。隊員たちが飲み込まれる間一髪、いきなりリヴァイアサンが、巨大な鈍い音と共に牙や鱗を撒き散らしながら、真横に大きく吹き飛んだ。

隊員たちは、一体何が起こったのか、とリヴァイアサンが吹き飛んだ方向と逆の方に目を向けると、そこには拳を前に突き出したままの体勢で、静止したメテオの姿があった。その拳から、蒼い稲妻が迸り、メテオの体表を駆け巡っている。


「……部下や一般市民に危害を加える輩には、俺が直々に手を下してやる」


 メテオは威圧するかのような低い声音で、誰に向かって言うでもなく、一人呟いた。




「メテオ隊長、カッコ良かったッスね~!」


「あぁ! 俺達はまだ新人だが、いつかは隊長みたいに、一撃で巨龍を吹き飛ばすような男になりてぇよな!」


(止めとけ止めとけ……。部隊の総括隊長は、お前達の様な新人育成の他にも、部隊の編成やら、軍事支出の算出やら、色々とデスクワークが多いからな……)


 隊員たちの夢を壊すまいと、その言葉を胸中に収めて、聞かぬふりでその場を通り過ぎるメテオ。とその時、スピカからもらったサインを、渡す予定だった隊員が、血相を変えてメテオの所へ猛スピードで駆けてきた。


「隊長! ちょっと外出してくるって……貴方は一体何をしてきたんですか!?」


「煩いぞ……確かに俺は外出こそしたが、書物の調べ物をだな……」


「なら……何であの民族的アイドルグループ『マジック・グリーズ』のスピカちゃんが、隊長を訪ねて王宮にやって来るんですか!?」


 隊員から告げられたその事実に、メテオのあらゆる動作が、一瞬にして止まった。そのまま数秒ほど、お互いに無言のままで顔を見つめ合って……やっと状況が理解できたメテオが、王宮中に響く程の大きな声を出した。


「……はぁ!?」

 ……ゑ? これまでどこでを油売っていたのかだって? 某交流サイトで二次創作を書きつつ、腕を磨いておりました。すみません!

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