あ、Gは食えるようになりました
あれから1ヶ月ほど経った。最近はリナの仕事を手伝っていた。彼女は薬屋みたいなのを営んでいてそれで生活しているそうだ。どうやら俺がいても経済的には何ら問題はないらしい。なんとも羨ましい限りである。
とても平和に暮らせてとても幸福というか何と言うか。城から帰ったあと、特に何も言ってこなかったし、きっと何も起こらないだろう。そう信じているからね。起きるな本当にお願いします。
「ふー。今日も疲れた」
充実しているからか、その疲れも不快なものではない。
リアルが充実してるとかリア充か。俺ってばマジリア充。どれくらいかって言うと毎日が早く過ぎるくらい。
「いつもありがとうございます。本当に助かってますよ」
リナはそう言って微笑む。何て言うか癒されるなあ。
リナとの同棲も慣れてきた。もちろん間違いなど起こるはずもない。
俺がリナを襲うとかあり得ない。理由は、童貞だから。中には童貞でも襲うやつがいるかもしれんが「ヤバイと思ったが性欲を抑えきれなくて」やってしまった、とかそんなところになるだろう。俺はコントロールできるから。
そしてリナは完全にブラコンだった。ここ1ヶ月で全く知らないリナの兄のことに詳しくなった。
まあ、そんなことは良いとして、本当に何も起こらない、というのも退屈なもので、異世界だからってそう簡単に何か起こる訳でもなく日本と変わらず平和だ。住めば都とか言うし、異世界もそんな変わったところでもないのかもな。
Gも食えるようになり、生活に慣れてきた。まだ少しばかりの抵抗があるけれど。
「今度、城下町で建国記念のお祭りがあるんですけど、」
「行きたい」
リナが言い終わる前に、食いぎみに答えた。異世界の祭り?それは興味ある。いろんな世界の文化というか文明と言うか、そんなものが集まっていると考えると楽しみでもある。期待しすぎて落胆しないようにしないと!
けれど、何も起こらないなんてことがある筈がないのだ。なんとなくだけどそんな気がしてならない俺だった。