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サクラ(犬)にキレられた件についての考察

作者: 大楠晴子

 


 本当はもっと、ずっと前からこんなことになるってわかってた。

 でも、わたしは何もしなかった、わたしは何もできないから。

 わたしの言葉は誰にも届かないし、響かない。

 心の底から訴えても、誰もわかってくれない。


 ジュンタさんも、ぜんぜんわかってくれない。

 もちろん、ケイカもわかってない、ケイカはバカだし、自分のことしか考えてないから仕方が無いのかもしれないけど。


 どうしてわたしの言葉は、届かないのだろう。

 わたしの言葉が届けば、何かがかわるのかな。

 わたしに、変えられるのかな。



 わたしがジュンタさんと初めて会ったのは、もう10年もまえ、ジュンタさんの髪はもっと長くて真っ黒でサラサラだった。目を細めて笑っても目じりのしわなんてなくて、こげ茶の瞳はキラキラしてた。わたしを見て微笑んでいる姿をみて、一緒にいたいなって思ったから、ずっと一緒にいられるって聞いたときは、嬉しかった。


 でも夜になるとわたしは寒くて寂しくて心細くて、涙がこぼれてしまうこともあった。もしかしたら、ちょっと声ももれていたかもしれない。

 そんな時にはいつだって、わたしのところにやってきて、ぎゅっと抱きしめて優しく頭をなでてくれた。そうして、わたしを抱きしまたまま、ベッドで一緒に眠るの。体はもちろん、心までほっかほかになった。

 お腹が空けば、ご飯を食べさせてくれるし、お出かけしたなぁって思えば、散歩に連れ出してくれる。いたずらしても、仕方が無いやつだなって笑ってくれる。

 そんな、ジュンタさんを好きにならないわけ無いじゃない。

 今は出会った頃とは違って少し白髪の混じった短い髪、目じりのしわはわたしを見て、たくさん微笑んだから。そのこげ茶の瞳を細められて、優しい声で、甘くわたしの名を呼ぶの。『サクラ、おいで』って。

 もう、何をしていても行ってしまうよね。


 大好きで大切で、ずっとずっと笑ってほしいジュンタさんが、表情を曇らせて、ため息をつくようになった。その回数も頻度もどんどん増えていった。

 わたしには原因がわかっていたけれど、そんなこと取るに足らないことだと思っていたし、何より、ジュンタさんにはわたしがいるから、大丈夫って思ってた。


 でも、ぜんぜん大丈夫じゃなかったんだよね。


 ジュンタさんにとって、ケイカは何だったの?




 ケイカはバカだ。大バカだ。

 いつも、眠い眠いって言うし。

 いつも、仕事、仕事って言うし。

 忙しい忙しいって言うし、疲れたとかしんどいとか、何にもしたくないとか、そんなことばっかり。

 ジュンタさんが一緒にいこうってせっかく言ってるのに、『サクラとふたりで楽しんできなよ』ってソファでごろごろしてる。

 テレビをつけっぱなしで、すぐに眠ってしまうくせに消すと『今、見てた』って言う。


 それにっ!わたしのご飯を忘れてしまうし、わたしのお水も忘れてしまうし、わたしのふわふわの尻尾も踏んでしまう!!


 わたしにはジュンタさんが付けてくれた美しい名前があるのに、変なあだ名をつけて呼んでくる。

 わたしよりもばかなくせに、わたしのことばかにしたみたいに呼んでくる。

 もう、腹が立つじゃない!?

 だから、わたしはケイカが呼んでも絶対に行かない。

 例え、退屈で少し遊んでほしくても、いいにおいがしても、絶対に行かないっ!

 ケイカなんてだいっ嫌いだ。


 ジュンタさんと話ができるのに、話そうとしない。

 ジュンタさんのことをわかろうとしない。

 ジュンタさんと何でもできるのに何もしようとしない。


 ケイカはわたしと違って、ふたりでどこにでも行けるのに。


 どうして、わたしじゃダメなんだろう。


 わたしは鳴いちゃいけないところでは鳴かないし、トイレだって失敗しない。

 ところかまわず、毛が抜けてしまうから?

 それなら、窮屈で大嫌いだけど、服を着てあげても良いわ。

 リードをつけて無くても、ジュンタさんのそばを離れないし、ジュンタさんの足元にいられる。

 ふらふらして、すぐにジュンタさんとはぐれてしまうケイカとは違うんだから。

 ケイカにこそ、リードが必要よ。

 それに、ケイカの長い髪は結構、抜けるのよ。とくに秋になるとね。


 わたしはどうして、ジュンタさんとは違うんだろう。

 ねぇ、どうしてわたしは体中を毛に覆われているの?

 どうしてわたしは四本足で歩くの?

 どうして耳が、どうして鼻が、どうして尻尾が……。


 どうして、わたしは『犬』なんだろ。






 ※※※※※






 私はきっと、疲れていたんだと思うんです。


 市民病院の看護師として働いてもう10年。

 あぁ、10年なんてもんじゃない、ちゃんと数えたら13年です。

 どうりで、夜勤の体のだるさが半端ないわけですね。


 病棟のスタッフが次々に結婚して、おめでとうって喜んでいたらね。次に来るのは、またやっぱりおめでとうってなります。

 結婚ときましたら、その多くは、お子様を望まれるわけですよ。

 はい、みなさん、順調に妊娠されました。とてもおめでたいことです。もちろん。

 子供は国の宝ですから、大切にせねばなりません。


 なので、つわりなどで体調がすぐれないときには、夜勤を急遽、変わります。

 私には、子供がいないので大丈夫です。

 夫は自分のことは自分でできる人なので大丈夫です。

 けっこう長いこと勤めていますので、経験の浅いスタッフとの夜勤でも大丈夫です。

 とにかく、使い勝手のいい駒ということなんです。


 だからって、夜勤を詰め込みすぎだよね、師長さん。

 体内時計はとうに狂ってしまいましたし、満腹中枢もおかしいので、いつでもお腹が空くというおかしなことになって、私は常にモグモグと何かを食べているわけです。


 食べて寝て、働いて。

 食べて寝て、働いて。

 食べて寝て、働いて。


 どのくらいたったのでしょうか。

 季節の移り変わりがわからないのです。なんだか、病院を出たとき、周りの人がみんな長袖を着ているのに、私だけ、ノースリーブだったんです。それに気づいてしまってとても恥ずかしくて、駐車場まで走りました(でも途中でしんどくて、諦めて歩きました)



 分譲マンションの5階、エレベーターを降りて左手の角部屋。

 まだ、住宅ローンは残っています。何十年もね。


 ガチャリと鍵をまわして、そっと部屋に入る。

 暗い静かな廊下、暗くても勝手知ったる我が家ですから、廊下の突き当たりのリビングに入り、パチリと灯りをつければ、ソファのうえでドサリと横たわり、ちらっと私をみつめるボーダーコリーのサクラ。


 サクラは夫が衝動買いしてきたのです。

 まだ、結婚して間もない頃、夜勤明けにヘトヘトで帰ってきた私は、玄関入った途端に跳びかかってきた白黒の弾丸を避けきれず、すねを強打しました。


『サクラっ!大丈夫か?!』


 開口一番、弾丸の心配をした夫は、すねを強打してうずくまる私には目もくれず、ふわふわの白黒を抱きあげて、


『あぁ、怪我はないみたいだな』といいました。


 これは張り合っても仕方がありません。完全に完敗です。

 ふわふわの全身タイツのパピーボーダーに敵う嫁など、存在しないのです。


 夫はそれはそれは、サクラを大切に大切に育てました。

 いつも膝にのせ、腕に抱き、足元にはべらせて、しかし、夫の偉いところは、甘やかすだけでなく、教えるべきことは教えていたことです。

 サクラはどこに連れて行っても、何も困ることのない立派な家庭犬に成長しました。


 ボーダーコリーという犬種は、ドッグスポーツとやらが得意だそうですが、サクラは全くその才能を持っていませんでした。どちらかというと、少々ドン臭いようで、どぶに落ちて、泥まみれになったり、フローリングで滑って、こけて鼻を強打したり(次の日には家中にコルクマットが敷き詰めてありました)するようなタイプだったのです。

 夫は、サクラがサクラであれば、どんなサクラでもいいのです。

 どぶに落ちても、自分のう○こを踏んでも、慈しみ、育み、旅行にも行きません。


『俺はサクラを誰かに預けて出かけても、楽しくない』だそうです。


 長距離の移動はサクラの負担になるということ、またサクラは自宅にいるときが一番リラックスしている(あたりまえです)ということから、サクラをつれて旅行にもあまり行きません。


 まぁ、私の仕事も忙しく、夫と休みが合わないということも理由です。

 休みの希望を取って、出かける約束をしていても、急な勤務変更でキャンセルになることも多かったのも事実です。 


 夫と私がすれ違っている。

 それは、もうずいぶんと前からわかっていたことで、

 私にとっては、本当にいまさらなことだったんです。


 だから、言い訳をするつもりではありませんが、夜勤が続いて昼か夜かわかっていなかったのです。

 日時と夫の生活を照らし合わせて考えてはいなかったのです。

 本当に言われるまで気づかなかったんです。


 誰に何を言われたのか……。

 やっぱり私は疲れているんだと思うのです。






 ※※※※※※







『ちょっと!!あんた、いい加減にしなさいよ!!!!』

 すちゃっとソファから降りたサクラは私を睨みつけていました。


「え……」

 声のした方向は間違いなくソファでした。

 しかし、その声は聞いたことのないもので、また、日本語を発するはずのないサクラ(犬)からでした。とうてい信じられることではなく、私は大きく息を吐いて、とうとう幻聴が聞こえるようになったことに、少し働きすぎたなと思いました。

 しかし、

『あぁ、もうやだ。わたし、ほんっとにあんたのこと嫌い。大嫌い』


「うん、知ってる」

 少し幻聴に身を任せることにしようと思ったのは、正常な判断ができる状態ではなかったということなのでしょう。


『あんたのすぐ、開き直るところも大嫌い。ちょっとのどがカラカラなの。お水を入れて』


「あぁ、うん」

 リビングの隅においてあるサクラの水入れは、からっぽになっていて、私は器をもってキッチンへ行き、水を満たしてもとの場所におきました。


 ピチピチ、ピチピチ

 サクラは一気に器の水を半分ほど飲み干しました、けっこうな勢いで。


『はぁ、あんたさ、責任とか義務とか、わかってる?わたしはね、水道の蛇口をひねってコップでお水を飲めないの。わかってる?あんたがこの器にね、お水を入れないと私はお水が飲めないわけ。ついでに言うと、ごはんもね。』


 そんなことは、百も承知です。でも、今までそんなことは一度だってありません。

 だって、サクラの世話は、夫がいつだって抜かりなくしていましたから。


「ジュンタさんがちゃんとやってくれてるでしょ?」



『ばーか、ばーか、ばーーーーーーーーか!だから、あんたのことなんて大嫌いなのよ!』


 だから、それはずいぶん前から知っています。


 私が呼んでも、サクラは来ないこと(夫が呼べば飛んでくる)、私が出かけるとき、サクラはソファで寝てること(夫が出かけるときは玄関で走り回る)、私が帰ってきても、ソファで寝てること(夫が帰ってくると、玄関が開く前に走っていく)サクラが私のことをこれっぽっちも好きじゃないことはずいぶん前から知っていたんです。

 でも、こんなにはっきりと『大嫌い』といわれるとさすがに傷つきます。


 今にも涙を流しそうに瞳を潤ませて、じっと私を見つめるサクラ。

 サクラの水入れが空だったこと、リビングの隅に置かれたトイレシートがとても汚れていること、お腹が空いていること……。


 私は、最後に夫に会ったのはいつだったのでしょう。

 夜勤の前は、眠っていると思っていました。夜勤のあとは、まだ仕事に行っていると思っていました。その前となると、私はくたびれて一日眠っていました。起きたのは深夜で夫は眠っていると思っていました。

 それ以前は記憶はあいまいで、定かではありません。

 きっと、たぶん、一週間は顔を見ていません。



『……ジュンタさん、出て行ったのよ』


「え?それはないでしょう、ジュンタがサクラを置いていくなんて考えられない」


『……』

 耳を伏せ、尻尾をダラリと下げて、うなだれているその姿がうそではないことを物語っています。


「うそ……、サクラより大事な女ができたとか?」


『あぁ、もう最低。あんたのそういう発想が、わたしほんとうに嫌だ。そういう下世話な発想しかできないところがほんとにやだ。あんたはジュンタさんの何を見てたの?何を知ってる?何をどう判断したら、女ができて出て行ったっていうことになるの?』


「……」


『そう、あんたは何にも、何にも知らないの!ジュンタさんのことを。知ろうともしなかったの。あんたは何?ジュンタさんの何?それで、妻って言える?妻って一緒に住んでたらそれでいいわけ?生活費を折半すればそれでいいわけ?あんたはジュンタさんと結婚したんでしょ?!結婚って何よ?どういう役割をするの?そもそも、結婚しようって言ったのあんたでしょ!!』


「よく、ご存知で……」

 そうだ、11年前の夏、私はジュンタさんに言ったのです。

 私と結婚するか、別れるかどっちかにしない?とすると彼は頬を染めて、結婚に同意したのです。確かに強引ではありましたし、勢いだったでしょう。私はその頃、結婚願望は特に強くありませんでしたが、仕事に対する不満が強く、退職したかったのです。

 病院を退職する理由として、結婚はとても円満だったのです。

 もちろん、ジュンタさんと結婚してもいいと思ったんですよ、ちゃんとね。それに、結局仕事は辞めませんでした。 



『あんたなんて、だいっきらいよ。どぶに落ちちゃえ!こけて鼻をぶつければいいのよ!』

 サクラの言うことは、何一つ間違ってはいないのです。私はジュンタさんのことを何もわかっていない、何も知らないのです。彼が出て行ったことさえも気付かず、もちろん、なぜ出て行ったのかわかりません。


「ぜんぶ、サクラの言うとおりだね。私は何もわからない」



『わかったら、さっさとご飯を入れて!トイレもきれいにして!散歩に行きたいし!』





 ※※※※※※






 西の空に太陽が沈み、その光は山の峰から峰へ続く線をきらめかせており、東の空には気の早い月が出ていました。草むらで虫の鳴く声がいくつも重なって響いています。

 少し風が冷たさをまして、私はもう一枚、何か羽織ってくればよかったと後悔していました。

 右手にリードを持って、ポテポテ歩いていると

『チャッチャと歩いてくれる?遅いし!』


 幻聴は続いています。

 やはり、私は疲れているのでしょう。


 サクラについていくように、近くの公園の高台に上がると、息が切れます。

「しんどい、もう、ちょっと、ゆっくり」


 明らかにバカにしたような目をして、ツンとあごを上げて歩くスピードを上げたサクラに私はつい、声を荒げてしまいました。

「っな!ふざけんなっ」


 前を歩いていた年配の夫婦が、くすりと笑って近寄ってきました。


「あれ?サクラちゃん、今日はパパとお散歩じゃないの?」

 サクラは犬のように(犬ですが)尻尾を振って、その夫婦に擦り寄っていきます。しゃがみこんだ奥さんに目をうっとりさせて、首元を掻くようになでられている様子から、この夫婦とは顔見知りのようです。


「いつもは夫がお散歩してます。いつもお世話になっております」

 にこりと微笑んで、頭を下げておきます。


「お世話なんて、とんでもない。ちょっとこの公園で会うくらいだし、いつもサクラちゃんをなでさせてもらってるんだよ。お利口さんだし、サクラちゃんは、毛もふわふわできれいだし、ほんとに大事にされてるね」


 いやいや、その大事なサクラを置いて、ジュンタさんは出て行きましたから。私は返事に困って、あいまいに笑うしかありません。


「はぁ、そうですか」


「こんなきれいな奥さんがいたとは、驚きだな」

「ほんとね。指輪をしてみえたから、ご結婚されてるんだなとは思っていたけどお会いしたことはなかったものね。もうサクラちゃんとは長い付き合いになるけど、初めてだもの、うふふ」

奥さんは隣に立つご主人を見上げて微笑んでいます。


 そうですね、私は散歩には行きません。夫のどろどろにとろけた顔を見たいわけがないですから。ずっとずっと前は、そんな顔を私に向けてくれていたのですが、それはサクラ専用となってしまいましたね。


 思う存分、奥さんに撫で回され、満足したサクラはすっくと立ち上がります。

 それを見たご主人はすっと奥さんに手を伸ばします。

「あぁ、ありがとう」

 奥さんはそういってその手を掴み、たちあがります。

 ごく当たり前のように手が伸びて、ごく当たり前のように、その手をとり、ごく当たり前のようにありがとうといえる夫婦を私はじっと見つめます。


 あぁ、素敵だなと思いました。

 秋の夕暮れに、公園の高台を連れ立って散歩をすることを日課とされているのでしょう。


 肩や手が触れ合うような距離ではありません。けれどもその心の距離はとても近い、そんな気がしました。


 私とジュンタさんの距離。

 心も体もずいぶんと遠い気がします。


 二人の背中をじっと見ていた私にサクラは小さく言いました。


『バーカっ!』


 私の幻聴は続いています。






 ※※※※※※






 私がとる行動の選択肢はそう多くはありません。

 一つめ、何もしないで待つ。

 二つめ、連絡をする。


 出てはいかれましたが、私はジュンタさんの妻なので大きく構えて待っていることもできます。しかし、ジュンタさんがいつ出て行ったのか定かではないので、すでに一つめは実行されているのです。なので、私に残された選択肢は、連絡をすることなのです。

 今になって、気付きましたが、ジュンタさんが何かの事件に巻き込まれたとか、事故にあったとか、急病とかの可能性もあったのです。のんびり散歩になど行かずにすぐに連絡をすべきでした。


 私はスマホの画面をタップします。



 プルルルル、

 プルルルル、


 どきどきします。

 いつになくどきどきします。患者さんの急変もこんなにどきどきしません。

 スマホを持つ手がしっとりと汗ばんでいます。


 しかし、呼べども呼べども、ジュンタさんの応答はありません。

 着信拒否をされていないので、よしとせねばなりませんね。


『……あんたさ、ジュンタさんになんて言うつもりなの?』


 私の幻聴はまだ続いています。


「え、あ、……今どこ?元気?とか」


『バカね、やっぱりバカね。何かの病気や怪我なら、ジュンタさんの会社から連絡があるでしょ。だから、元気に決まってるの。どこにいるかって?それを聞いてあんたはどうするのさ?』

 サクラはソファのドカリと寝そべって、あごを軽く持ち上げて、ハンっ!大きく鼻で笑いました。


「……」


『あんたはわかったの?ジュンタさんが出て行ったわけ。ジュンタさんの想いが?』


 全くわかりません。

 ジュンタさんが三丁目のパン屋さんのカレーパンが好きなこととか、駅前のたい焼き屋さんのクリームたい焼きが好きなこととか、クリームシチューが苦手なこととか、さすがに10年一緒にいると、食べのもの好みはわかる、苦手なこともわかる(ジュンタさんは蜘蛛が苦手、蛇は平気なのに)

 だけど、ジュンタさんの想いはわからないし、出て行った理由もわからないのです。


 家事の苦手な、ものぐさの私のことが嫌いになったのかもしれません。

 洗濯物を裏返しのままたたむこと、納豆を食べたお茶碗を水に浸けなかったこと、バナナの皮をリビングのゴミ箱に捨てたこと、トイレットペーパーを最後とわかってて補充しなかったこと、数え上げれば、ジュンタさんに嫌われるようなことをたくさんしていますね。


「サクサク……、私はダメだね」


『みょうちくりんな名前で呼ばないで!!!』




 ※※※※※※





 お腹の空いた私は、迷わずコンビニに食料調達に向かいます。


 サクラの蔑むような視線を背中に感じましたが、今から食材を買って、調理するなんていう体力も気力もなければ、適当に作るなんていう技術もないのですから。


 冷蔵庫の中は、見事に空っぽでした。いつもある、作りおきのおかずも麦茶もありませんでした。

 上から下までオレンジの光が隅々まで照らされていました。

 あるのは、マーガリンとマヨネーズ、ケチャップ、チューブ生姜だけでした。


 ジュンタさんの几帳面さとか、準備のよさを改めて思い知り、勢いで出ていったわけではないことを痛感しました。



 ジュンタさんは、どこに行ってしまったのでしょう。

 もう、私のことなど……。


 いや……、ジュンタさんは私のことをどのように思っていたのでしょうか。


 今までに一度だって……、

 あ、あ、愛してくれていたことがあったのでしょうか。


 お腹が空いているからか、私の思考は後ろに向いています。きっと。


 とりあえず、何かを食べてから、また考えることにします。




 車で二分の距離、ジュンタさんはいつも歩いていってました。もちろん、私は車です。

 いつも明るく迎えてくれるコンビニ。

 私はかごを手にします。


 お弁当という気分ではないので、シャケおにぎりと野菜サンドイッチを一つづつ。

 期間限定の甘いパンをもう一つ(ついつい買ってしまう限定品)、ついでにフルーツのたっぷり入ったヨーグルト、美容によさそうな野菜ジュース。


 ……思いの外、たくさんになりましたが、明日の朝ごはんも含むことにします。



 帰宅した私に、ソファーに寝そべったまま、サクラは視線だけを寄越しました。


 でも、何も言わないのです。


「サ、サクラ……、ただいま」


 私の言葉は聞こえているはずですが、何も言わず、またゆっくりと目を閉じて、眠ろうと、大きく息を吐きました。


 静かで、窓を揺らす風の音さえも聞こえません。ただ、耳鳴りが響くばかりです。



「幻聴、終わった……?」


 私は、リビングのテーブルの前に座り込み、テレビをつけました。たいしてみたい番組もありませんでしたが、音のないことがとても辛く感じてしまいました。


 ビニール袋から買ってきたおにぎりを取りだして食べます。パリパリの海苔もちょうどいい塩加減も食べなれた味なのに、ちっとも満たされません。


 私はフルーツヨーグルトを一緒にもらったスプーンで食べます。

 まだ、おにぎりは食べかけです。

 ヨーグルト食べながら、またおにぎりを食べます。

 この食べ方をジュンタさんはとても嫌がっていました。


『ご飯を食べながらお菓子を食べるなっ!』というのですが、私にとってヨーグルトは、お菓子ではありません。

……ポテトチップスを食べながら、おにぎりを食べたりはしますから、結局は嫌がられていましたね。

 

加えて、『家で食べるなら、スプーンも割り箸もいらない』というのが、ジュンタさんの真面目なところなのです。

 一緒に捨ててしまえばいいという私の考えとはことなり、コンビニであっても(ジュンタさんはコンビニにはめったに行かないけど)マイバッグを持参するような、素晴らしくエコに対して意識が高いのです。


 静かな、テレビから聞こえる笑い声だけが響くリビングで、私はモグモグ、モグモグ、食べました。


 明日の朝ごはんなんて、残りませんでしたが、私は明日の朝、胃がもたれて何も食べる気分にはならないでしょう。



 空気みたいな人というのは、ありきたりというか、使い古された言葉ですが、私にとって、まさにその言葉がぴったりなのです。

 ジュンタさんがいないと、もの足りません。



 野菜ジュースを、ズズズズーっと飲みきり、パックがくしゃりとへこみます。

 ジュンタさんはパックを洗ってリサイクルに出します。言うまでもなく、私はゴミ箱に投げ入れました。


 いつの間にか、ソファーで寝てたはずのサクラは、むくりと上半身を持ち上げて、ひんやりとする視線を向けていたのです。




『……寂しいんでしょ』


 幻聴が、まだ終わってはいないことに、私は少しどころではなくほっとしたのです。



「だって、さみしいもんっ!」


『だって、なんて言葉はオバサンが使わないで、気持ち悪い』


「気持ち悪いなんていうな、あんただってオバサンでしょ?」


『あんたの、そういうところ、ほんと、嫌』


「何よ!?」


『自分のことは棚上げして、悪びれないところ。わたしはきちんとわきまえてるの。オバサンだって、わかってるの。だから、だってとか、もんとか言わない。自分のことを見てる、自分が何をして、何ができるか、何ができないか』


「……」


『あんたは、人のこととやかくいう前に、自分のことをなんとかしなさい』


「サクラは、犬じゃん……」


『はあ?!……あんたは、その犬に説教されてる現実をどう思うわけよ?』


「だって、幻聴だもん」


『あんた、まただってって言ってる。幻聴って、現実逃避してる場合じゃないでしょう?馬みたいにガブガブ食べて!バカだからしかたないの?馬鹿だけに?ブクブクに太って動けなくなれば、いいのよっ!それで、どぶに落ちて挟まっちゃえ!』


 サクラはソファーからおりると、尻尾を揺らしてリビングから出ていってしまいました。


 サクラは私に何をどうしろというのでしょう。

 私には何ができるというのでしょう。



 私は今まで、ジュンタさんのいないときに、ジュンタさんの部屋に入ったことがありません。

 必要がないからです。

 しかし、今、ジュンタさんのことを知るためには入るしかないのかもしれません。


 私は立ち上がり、ソロリと足音を忍ばせます。


 細く開いたドアをゆっくりと押すと、暗がりの中からキラリと光る瞳。

 ……サクラはジュンタさんのベッドの上に丸くなっていました。

 電気を付けると一瞬、目がくらみましたが、すぐに慣れます。

 あまり日の当たらない六畳間、ベッドとデスクがあるだけ、すっきりと片付いています。

 もともと、どんな様子だったのかは正直、定かではありません。


 けれども、はやりとても物が少ないので(私の部屋と比べて)、ジュンタさんはきちんと片付けていったということなのでしょう。


 デスクの上にファイルが立ててあります。

 罪悪感というか背徳感というか、そういったものに苛まれながら、ゆっくりと手に取り、中を確認します。


 ファイルは、レスキュー関連のものでした。

 ジュンタさんは、仕事の合間を縫って、様々な理由で飼育放棄された犬や猫を保護する活動をしています。

 えぇ、それはそれは熱心に。


 先日も、パソコンを眺めてため息をこぼしていました。

 たくさんの犬や猫が飼い主の勝手な事情で捨てられてしまう現状を切々と訴えていました。

 私は半分眠りながらテレビを見ていたので、適当に聞いていましたが、今度から(今度があるなら)もっと熱心に耳を傾けて見ようと思います。



 ファイルの最後は、サクラと同じボーダーコリーの写真がプリントされたものでした。

 ボサボサの毛並み、荒んだ瞳、人を遠ざけるような警戒を強く漂わせた佇まい。


 横のベッドにどっかりと転がったオバサンボーダーコリーとは、全く異なる様子に、声をかけずにはいられません。


「あんたとはえらい違い」


 サクラは、フンッと鼻を鳴らして、次の瞬間とても悲しそうな顔をしました。


「……あんたも捨てられ……」


『捨てられたのは、ケイカでしょ!!あんたなんて、どぶに落ちちゃえ!!』


「……」


『絶対に嫌なんだから!ケイカがもっとしっかりしてよ!ほんとにっ!わたしだけでいいのにぃ!わたしたちだけでいのにぃ!!ケイカのバカ、どうするつもりなの?!どうしてくれるのよぅ!』


「サクラ……、オバサンが泣いてもかわいくないよ?」


『うるさいのよ!デブ!』


「むかつくわっ!私は太ってないし!」


『はぁ?あんた鏡、みたことある?それともバカだから、自分のことわかんないわけ?モッチャモッチャのお腹とか、ボヨンボヨンのお尻とか、それって脂肪でしょ?贅肉でしょ?あぁ、セルライトだったわね、ゴメン』


「……あんたねぇっ!」




 あぁ、いけません。幻聴にむきになってもしかたがありません。

 きっと、私はとてもくたびれているのです。


 もう、寝ましょう。


 私はジュンタさんの部屋を後にして、自分の部屋のベッドに潜り込みました。

 すぐに眠りはやってきて、私を飲み込んでしまいました。




 ※※※※※※




 キシリと、ベッドが音を立て、掛け布団が沈みました。

 私はその気配に気づきましたが、体は動かず、瞳も開けることができません。


 ーージュンタさん?


 こうして、私のベッドにジュンタさんが来てくれることは、ほとんどありません。

 ……いや、今まで一度だってありません。

 それは、私が眠くてすぐに怒ってしまうことが原因らしいのですが、私には見に覚えのないことです。


 だって、怒るわけないです。

 今だって、こんなにも嬉しいのですから。


 ハアハアハア……。


 それにしてもジュンタさんの息づかいが、いつもよりずいぶん荒いようです。


 しかも、息が少し……、


「……臭っ!」


『いつまで寝てるのよ、今すぐ起きて散歩に行かなきゃ、ここでオシッコするから』


「……サクラ……」

 私のベッドに上がり、冷たい目で見下ろしてくるサクラの姿がありました。


 ジュンタさんではありませんでした。


『はぁ、あんたと一緒に寝るの、ジュンタさんが嫌がったの、よくわかるわ。歯ぎしりにいびきに、寝言はハッキリ大きな声だし、寝相も最悪。隣にベッドを並べるのも無理だわ。部屋を別にして正解ね』


「私がっ!夜勤で不規則だから、寝室を別にしたのっ!私がっ!!」


『四六時中、遮光カーテンを引いた陽当たりのいい部屋を占領してね』


「……」


『早く準備してよね。素っぴんのままじゃ散歩にいけないんでしょ』


 ベッドから、すちゃっとおりたサクラは、チャッチャッチャッチャッと爪を鳴らして、部屋を出ていきます(私の部屋だけコルクマットがひいてありません)



 私はもう、サクラに何一つ、言い返すことができる気がしません。





 ※※※※※※





 身支度を整えて、リビングに入ると、定位置であるソファーにサクラはいません。


「サクラ?散歩に行こう?」


 いつものことですが、返事もなければ、やってもきません。


 狭いリビングのテーブルの向こうに白黒の毛並み。


「サクラ?」



 ハッハッハッハッハッハッ……


 短い呼吸、弛緩した体、だらしなく開いた口から、流れ出たらしい液が床に広がっています。

 視線はぼんやりと定まっていないようです。


「サ……サクラ!!」


 何があったというのでしょう。私はサクラに駆け寄ります。


 あぁ、どうしてここにスタッフコールがないのでしょうか。

 手元のスマホを握りましたが、119番をしてどうするというのでしょうか。



「サクラ、サクラ!!」


 サクラは変わらずに短い呼吸をしています。




 ーージュンタさん!ジュンタさん!!




 私は祈るような思いで、スマホをタップします。

 手が震えてうまくできません。


 白衣を着ていない、病棟にいない私はなんて無力なのでしょう。


 プルルルルル

 プルルルルル


 ーーお願い、ジュンタさん!



『……もしもし?』


あぁ!ジュンタさん!!

私は思わず立ち上がります。


「ジュンタさんっ!ゴメン!ちゃんとバナナの皮は三角コーナーに捨てるし、トイレットペーパーもそのままにしないし、カレーパンも毎日買ってくるし、部屋だって代わってもいいし、お願いだから、助けてっ!」


『……なんなんだよ?朝っぱらから』


「サクラがっ!サクラがぁっ!!」


『サクラがどうしたんだよ?今日も可愛いぞ?』


「サクラが大変なんだってっ!」


 目の前にぐったりとしていたサクラがいつの間にかいません。


 後ろを振り返ると、スマホを手にしたパジャマ姿のジュンタさんが白黒の毛並みをいとおしげに撫でています。パタパタと尻尾が左右に揺れています。


「……」


「サクラ、おはよう。今日も可愛いな」


「……サクラ?ジュンタさん??」


「おお、よしよし。どうした?今日は甘えん坊さんだなぁ」


「…………」

 私は体中の力が抜けて、どっかりとソファーに座りました。


「なんだよ?ケイカ?朝から大騒ぎして?バナナのこととかトイレットペーパーのこととか、いい心がけだし。ついでに食べたゴミは散らかしたままにしないで捨ててくれ、夜、帰ってきてリビングが散らかってると、さらにくたびれる」


「出ていったんじゃないの?」


「はあ?、だれが?」


「ジュンタさんが?」


「何を言ってんの?」


「だって……、サクラがジュンタさんは私に愛想尽かせて出ていったって」


「……ケイカ、サクラはお利口さんだけど、物を言いそうな顔もするけど、喋らない」


「…………だよね?」


「大丈夫か?頭、おかしくなったんじゃないか?」


「……冷蔵庫が空っぽだった」


「あぁ、今日、買い出しに行くから」


「……部屋がすごく片付いてた」


「ケイカの部屋が汚すぎるんだ」


「……昨日、帰ってこなかった」


「はあ?普通に仕事して帰ってきてるけど?まぁ、残業したから帰りは遅くなったけど、ちゃんと帰ってきてるから、俺はいまここにいるんだろ??」


 よく考えれば、サクラの『出ていった』という言葉をただ真に受けていただけなのです。

 見に覚えがありすぎて、すんなりと信じてしまいました。

 私はサクラに、まんまと騙されていたということなのです。

 しかも、体調の悪いフリまでするとは、なんとも恐ろしいヤツです。


「……サクラめっ!」


 ジュンタさんの腕の中で、丸くなっている首をむんずと掴み、その面をまじまじと見ます。


 シラーっと澄まして、何も言いません。


「あんた、私のこと騙してっ!いったいどういうつもりっ!」


 鼻先をがっちりと掴み(サクラは鼻先を触られるのを嫌がります)詰めよります。



 キューン、キューン……


 するとサクラは弱った犬みたいに(犬ですが)辛そうに悲しげに小さく鳴くのです。



「何してんだよ、サクラが可哀想だろ?……ケイカはこんなんだし、やっぱり無理だな」


 ジュンタさんは私からサクラを引き離し、再びその腕に囲い、サクラの頭を優しく撫でます。


「何が?何が無理なの?」


「話しただろう?一匹、ウチで保護するかもしれないって。やっぱり覚えてないな?サクラは犬見知りだし、ケイカはアテにならないし」


 犬見知りってなんですか?

 ジュンタさんにすりよって、その顔は見れませんが、サクラの耳がしっかりとこちらを向いていて、話をしっかりと聞いていることは確かのようです。



「……新しい犬が来るかもしれなかったって?」


「そう」


「サクラは嫌がってたの?」


「ケイカ……、サクラは話ができる訳じゃないからわからないけど。少なくともケイカはあんまり喜ばないかもしれないなとは思ったよ。だって、サクラとも遊ばないし、あんまり犬が好きじゃないだろ?」


 これは一体、どういうことなのでしょうか。


「……」


「サクラ、お散歩に行こうか?その前に朝ごはんにしょうか?」


 ジュンタさんの腕の中で白黒の毛並みがもぞもぞしています。


「……ジュンタさん、その犬、ウチで預かろ」


 バッと勢いよく振り向いたサクラは、噛みつきそうな怒りを顕に睨み付けてきました。


 ーーわたしだけなの!!わたしだけでいいの!!


 声が聞こえてきそうでした。



「何?新しい犬が来るのが嫌で、私に嘘ついたってこと?意味、わかんない」


「ケイカ……、サクラは嘘はつかない。ってか喋らないから……、マジで大丈夫か?」


「ちょっと、ジュンタさんは黙ってて。何よサクラ、あんた、言いたいことがあるなら、言いなよ。黙ってちゃ、わかんないでしょ!」


 逃げるようにジュンタさんの腕の中にすりよって行くサクラの尻尾を掴みます。


「ケイカ、おまえ大丈夫か?」

 ジュンタさんは私の手を払いのけます。


「……」


 チラリと視線を投げてきたサクラの目は雄弁に語っていました。


 ーー自分で考えたらどうなのっ!バカっ!!




 サクラは、他の犬が来ることが嫌だったのでしょう。


 でも、それだけなのでしょうか。

 私は、大切なことをサクラに教えられたのです。

 はい、きっと。







 それから、

 私はカレーパンを買って帰るようになりました。


 そして、ジュンタさんとベッドを並べて眠るようになりました。


 気力と体力を振り絞り、一緒にサクラの散歩に行くようになりました。



 しばらくして、

 ジュンタさんが言いました。

「ケイカ……、カレーパンは毎日食べると飽きるから、やめてくれ」


 一緒だと眠れないかと聞いたところ、困ったように笑われて、夜勤があるから大丈夫と言われました。

 つまりは、私が夜勤でいない日にゆっくり眠っているということなのでしょう。



 けれど、

 サクラの散歩に一緒に行くことは、やめてくれと言われませんでした。


 サクラも何も言いません。

 残念なことに、幻聴は終わってしまったようです。


 その瞳は、

 ーー付いてくるなっ!!

 と語ってはいます。




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― 新着の感想 ―
[良い点] はじめまして。 ケイカの淡々とした口調と、すれっからしの女のようなサクラの掛け合いが、とても楽しかったです。 [一言] なろう内でのいわゆる人気ジャンルに興味が持てず、それ以外の作品を探し…
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