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ずっと好きだった

作者: さくら

はじめまして。読む専門の私が調子に乗ってまた書いてしまいました。以前書いたものに一部追加しています。よろしければお楽しみ下さい。

「ふぁ…」

眠いなぁ、早く終わらないかな。

いけない、いけない。ちゃんと聞いてなきゃ後で困るわ。


私は三浦直美 28歳、小さな会社に勤めるOLです。趣味は韓国ドラマを見ることです。どっちかというと家でゴロゴロするのが好きないわゆる干物女です。

その私がなぜここにいるかと言うと、会社のお局さまに付き合っていや付き合わされて時々休みの日にボランティアをしているのですが、そのお局さまが行くはずだった赤十字の救命講習会に都合が悪くなったからといって代わりに出席させられているのです。

せっかくの休みが潰れました。

最悪、でも怖いしな…


「では昼食の時間になりました。13時になったら実技にはいります。」指導員がお昼休みを告げました。


ヤッター!お昼ごはんだと思い、ふと視線を感じて後ろを振り向くとスーツを着た30代前半と思えるちょっとカッコイイ男性が目にとまりました。

不覚にもドキッとしてしまいました。

なぜから直美はここ何年も恋愛どころか仕事以外で男性と口を聞いたことがないのです。

口を聞くとしたら、

韓国ドラマにはまっているのでレンタルビデオショップの店員と


「返却予定日はいつにされますか?」


「1週間でお願いします」

ぐらいなものです。

20代の女性がこれでは悲しすぎます。

しかし、直美は気にもしていません。


「おーい、ごはん食べに行こうぜ。」

その男性に向かって別の男性が声をかけました。


「いま行くよ。」


ちょっと名残惜しそうにその男性は答え、二人で昼食を食べに行ったようでした。

私はまわりを見渡すと何人か妙齢の女性たちがいました。そうか、この中のどの人かに声をかけたかったんだなとがっかりしたような、納得したような気持ちでした。


私はというとお昼どうしようかなとたたずんでいたら、近くにいた年配の女性が気の毒に思ったのか、どうかわかりませんが声をかけてきました。

「ねぇ、ちょっと、もしかしてあんたも一人で来たの?私も一人で来たのよ。おばさんで悪いけど、お昼一緒に食べない?」人なつっこそうな笑みを浮かべました。


直美はえっと思いましたが、まぁ、一人で寂しく食べるよりはいいかと思い、


「ええ、一人出来たんですよ。」


「そうじゃないかと思ったんだよ。ご飯は一人で食べるより何人かで食べた方が美味しいからね。」


「えっと、じゃあ、どこで食べます?」

戸惑いがちに直美は尋ねました。


「そうだね、このへんの近くにファミレスっていうんかね、そこに行ってみるかい?」


「いいですね。そこへ行きましょう」


こうして直美はその年配の女性と食事に行きました。

そして、昼食が終わり、実技が始まりました。


指導員が

「さあ、近くにいる人とペアになって下さい。人形を使って人工呼吸の実技をしましょう。」

と呼びかけました。


直美はどうしよう、知ってる人もいないしなと思ったとき、

また、あの男性と目が合いました。


直美はなんだか恥ずかしくなってふっと目を逸らしたとき、お昼ご飯を一緒に食べた年配の女性が話しかけてきました。


「ねぇ、私とペアにならないかい?」


直美は一緒に食事をして少し親近感を感じていた人で、ペアの相手をどうしようかと思っていたので助かったと思って、


「ええ、ペアになりましょう。相手がいなくて困ってたんですよ。」


と答えて、その年配の女性とペアで実技をすることになりました。


不器用な私は苦労しながら、


人工呼吸やAEDを一生懸命にやっていました。

そして、ふと視線を感じて振り向くとなんとあのスーツの男性が私のすぐ隣にいるではありませんか。

私はドキドキして、動揺のあまり口をパクパクさせてしまいました。するとその男性は、

「ずいぶん熱心にされていますね」

と笑みを浮かべながら声をかけてきました。


免疫のない私は、

「不器用なものですから。」

とひきつった笑みで答えました。


あの男性が何か答えようとした時、指導員の実技指導が入り、会話はそこで終わりました。

そして時間になり、講習会は終わりました。


直美は、

やっと終わった~!もう夕方かぁ、ちょっとお腹すいたから家に帰る途中でケーキでも買って帰ろうと思いながら建物を出ました。


そしたら、なんとあの男性が建物の前にいたのです。


「あの…、」

と恥ずかしそうに話しかけてきました。


誰かを待っているのかなと思った直美は


「お疲れさまです。まだ何人かいらっしゃっいましたよ」

と答え、帰ろうとしたとき、その男性は


「いえ、あの、その…、お茶でも飲みませんか?」

と言うではありませんか。

免疫のない直美はその男性の視線に堪えられなくて


「はい。私でよければ…」

思わずうなづいてしまいました。


その男性は嬉しそうに、

「あ、じゃあ、近くにコーヒーショップがあるみたいだから、そこに行きましょうか?」

と直美に言い、ふたりでお茶をすることになりました。


男性は嬉しそうでしたが、直美ひそかに

成り行きとはいえ、男性とお茶なんてなぁ…。気が重いなぁとひそかにため息をつきました。



その男性の案内で、一緒にコーヒーショップに入りました。

そのコーヒーショップはビルの中にあり、なかなか落ち着いた雰囲気のお店でした。そのせいか、週末だというのにお客はちらほらといるだけでした。

しかし、ゆっくりと話しをするにはいいところのようでした。

二人は店内の奥の席に座りました。


席に座ると、男性が

「僕、営業してるから、仕事でよく使うところなんだ。」

と話しかけてきました。


直美は、

まぁ、そういう感じのとこみたいだねと思って、

「あ、そうなんですね」

と直美は興味なさげに返事をしました。


その直美の態度に男性は構わず名刺をだしてきました。

「はじめまして、鈴木智史と言います。」


その名刺を見ると、その男性は直美の勤める会社の取引先の人でした。


直美は

なんだ、取引先の人だったんだと思って、ふっと安心して、

「私は三浦直美って言います。はじめまして。私はコロンブスに勤めているんですよ。」


ちょっと笑って話しかけました。


「えっ、じゃあ、取引先の人なんだ…。」


ちょうどそのとき、店員が注文をとりにやってきました。


「あ、私はブレンドコーヒーで。」


「僕はアメリカンで。ねぇ、ここ、ケーキもあるけど、食べない?」


「私はコーヒーだけでいいですよ。」

直美は帰ってからDVDを見ながら一人でゆっくりケーキを

食べたかったので断りました。


智史は何を思ったか上目遣いで、

「じゃあ、この中でどれが一番好き?」

直美に聞きました?


「そうですね。チーズケーキかな?」


「じゃあ、その次は?」


「ショコラケーキかな~。」答えながら直美は、

ここイチゴのショートケーキはないんだ。あれが一番好きなのにな。

などと思っていると智史は店員に


「チーズケーキとショコラケーキもお願いします。」

注文しました。


直美は、

あれっ、もしかしてこの人、甘党なのかな…

私も注文した方がよかったかな。店員さんも行っちゃったし、まぁ、いいか。

と思って黙っいたら、智史が話しかけてきました。


「ところで三浦さんは、何で講習受けたの?」


「あ、私はボランティアしてるんで、その関係で…。」


「そうなんだ。すごいね。僕は会社に言われて来ただけなんだけどね。」

直美は無理矢理だけどねと思いながら、

話しかけました。

「いえ、たまにですから。そういえば、そちらの会社は警備会社だから、必要なときもありますよね。」


「そうなんだよ。こういうの持ってた方がグレードが上がってくるから。」


「休みの日に大変ですね」


ちょうどそのとき、注文したコーヒーとケーキが運ばれてきました。


「三浦さん、食べて下さい」

と運ばれてきたケーキを直美の前に智史が差し出しました。


「えっ、一人で二つも食べれませんよ。」


「大丈夫だよ。僕が手伝うからから。」

と言いながらショコラケーキを食べはじめました。


直美は

この人、強引な人だなぁ…。営業してるだけあるなぁ。

と思いながら、チーズケーキを食べはじめました。


「ねぇ、聞いてもいいかな?三浦さんは何歳なの?」


「え、28歳ですけど…」

戸惑ったように直美が答えました。


「そうなんだ。僕はね、34歳なんだ。もうそろそろ、結婚したいなと思ってるんだけど…」

上目遣いに直美に話しかけました。


直美は

まぁ、そういうこと思う歳だよね

と思い、

「そういう歳ですからね。ところで山本さんは元気です?」

と聞きました。

山本さんはコロンブス担当の人です。


「ああ、元気だよ。

山本とは同期なんだよ。」


その日は取引先の人ということもあり、話しが弾んで直美は楽しい時間を過ごし

ました。

その日はお互いに携帯の番号を交換して別れました。


それから智史から何日かに一度の割合で電話がかかるようになり、直美もなんだかかけてもらうばかりでは悪いと思い、お互いに電話やメールをするようになり、潤いのない直美の生活が少し変わったようでした。

そして、休みの日には二人で食事に行くようになりました。




そんな付き合いの続いたある日、智史から電話がありました。

「あの、明日は初めて逢った所で待ち合わせしませんか?」


直美は思いもしないことを言われて、動揺して

「えっ、あの、初めて逢った所って、どこでしたっけ?」

と答えました。


智史はため息をつきながら、続けました。

「覚えてないんですか?○○ビルですよ。明日の14時にそこではどうですか?」


直美は思い出したらしく、

「ああ、そういえばそうでしたね。じゃあ、明日の14時ですね。お休みなさい」

と言って、電話を切りました。

その切れる直前、智史が小さな声で

「直美ちゃん、好きですよ。お休みなさい。」

と言いましたが、直美には聞こえていませんでした。




そして待ち合わせの時間となりました。

二人は近くのコーヒーショップに入りました。

それは初めて二人で入ったコーヒーショップでした。

二人はなにげない会話で盛り上がりました。


そしてふと会話が途切れたとき、智史が上目遣いで直美に尋ねました。


「あの、三浦さんは彼氏いるんですか?」


「いや、そんな、彼氏なんて、何年もいませんよ。」

直美は何ヶ月も一緒に食事をした気安さから笑いながら答えます。


「それは何か、あるんですか?こんなにかわいいのに…」


そうなのです。直美は実はちゃんと化粧してきちんとしたらかわいいのです。

彼氏がいないのも家と会社の往復だからなのです。

それに気づかない直美は、


「いや、そんな、モテないだけですよ。」


と顔を赤らめながら答えます。


そのとき、直美は、いつだったか結婚した友人の恵子に言われたことを思い出しました。


「直美もさあ、家に閉じこもってばかりいないで、休みの日ぐらいどっか出かけたら?

そんなんじゃいつまでたっても彼氏も結婚も出来ないよ。」


「え~、そんなのめんどくさいよ。私、家にいる方が好きだからいいよ。」

いかにもめんどくさそうに直美が答えます。


「ちょっと、それで

も年頃の女の子?

彼氏が欲しいとか思わないわけ?」

呆れたように恵子が言います。


「いたらいいとは思うけどさぁ…」


「じゃあ、さ、いい方法があるよ。」


「えっ、なになに、どんな方法?」


恵子がちょっと考えるながら言います。

「直美次第なんだけどね…。それは、本通りを直美がだるそうに歩くだけでいいよ。簡単でしょ?」

本通りは若い人向きのショッピング街です。いつも若い人たちであふれています。中には、そこでナンパする人やビラ配りをする人がいます。


「嫌よ、そんなの。ナンパを待ってるみたいなこと…。」


「そんなこと言ってたらいつまでも彼氏出来ないよ。直美って、よく見るとかわいいから2往復ぐらいしたら誰か声かけてくるよ。」


「そんなんで声かけた人になんかされたらどうするのよ。私、そんなに軽くないし…」


「それもひとつの出会いじゃない?それなら、合コンとかでも行ってみたら?」


もしかして、私、恵子も言ってたけど、かわいい?いや、いやいや、まさか…


智史は直美に彼氏がいないことを聞いて嬉しそうに直美の手を握ってきました。


「じゃあ、三浦さんいや直美ちゃん、僕と付き合って下さい。いい?」

と顔を近づけて直美に聞いてきました。


直美はドキドキしてきて、

「えっ、でも、私でいいの?」

と戸惑ったように答えます。


「直美ちゃんがいいんだ。初めてあったときから好きだった…。」


と熱い視線を直美に向けて告白しました。


これは本気なの…、

いや、まさか私に、

直美は何ヶ月も食事をしてきた人で実はずっと気になってきた人でしたがいまいち信じられず、思わず、


「冗談じゃなくて、本気ですか…」

と直美は智史に尋ねました。


「冗談なんかじゃないよ。僕、真剣だよ。直美ちゃんと付き合いたいんだ。」

はっきりと直美に向かって言いました。


直美も智史といるとドキドキしてきて、なんだかとても気になる存在になっていたので、これは本気なんだと思うと私も決心しなきゃと、ついに直美もコクリとうなづきました。

「私でよければお願いします」

と恥ずかしそうに答えました。


すると智史は満面の笑顔で、

「よかった~!僕、断られたらどうしようかと思ったよ。幸せにするからね。」

と直美にまた熱い視線で伝えました。


直美はなんだかとても嬉しくなって、心の中で今日は人生最良の日だと思いました。

好きになってくれてありがとう、智史さん…。



いかがでしたでしょうか?

お気に入り登録して下さった方ごめんなさい。一部変えました。読んで下さった方ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] こんにちは、西宮です。 さくらさんの最初の作品読ませて頂きました。 この表現が合っているのかどうかわかりませんが、 和やかでやわらかい感じをストーリーですね。 直美さんのキャラも好きです…
[良い点] ほのぼのしていて、初めての作品なのに、読みやすく楽しめました。 [気になる点] 書き間違いだと思ったのが、最初のコーヒーショップでの、ブレンドとアメリカンを頼んだ後の「紅茶だけで……
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