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【ガチャ】が運命る異世界生活  作者: マネキ・猫二郎
第一章『スタートライン』
5/5

幕間『天国の味噌スープ』

 ほんの少しだけ時間を戻す。


 病室のベッドで初めて目が覚めた時。シエルが左隣のベッドで、まだぐっすり眠っている時へ──

 


 〇

 


 「あっ」

 


 腹の虫が鳴く。思えば昨日の食事は、激苦ドリンクとシエルに分けてもらった味噌汁だけだ。

 

 

 「もうすぐ朝食の時間ですから少々お待ちくださいね」

 「あぁ、ありがとうございます」


 

 看護婦さんが、俺の背中に包帯を巻きながら言う。

 朝食は『食事ガチャ』で用意する事が出来る。しかしここは病院だから、栄養の考えられた病院食を戴こう。

 ベッドから食事、優しい心遣いまで、感謝してもしきれない。

 


 「あっ」

 


 今度はなんだろうと看護婦さんが俺の顔を見つめる。

 


 「あの、入院費なんですけど」

 「えぇ、どうしました?」

 「すぐに払えそうに無くて……どうすればいいでしょうか?」


 

 職なし金なし身寄りなし、と絶望的な状況だ。現時点、もちろん入院費は払えない。

 これからの対応について、聞いておく必要がある。

 

 

 「心配いりませんよ、無償です」



 俺の心配を余所に、看護婦さんは微笑んで言う。


 

 「え、本当ですか!?」

 「本当です」


 

 なんと慈悲深い世界だ。

 驚きもあるが、一先ずは安堵した。


 それから数分後。朝食の時間になり、お盆に乗った食事が各患者に運ばれる。

 献立は、短いバケットとコンソメスープ。飲み物はカフェオレだ。


 異世界の割に馴染みのあるメニューで、意外に思った。

 


 「いただきます」

 


 看護婦さんは配膳で、今は隣にいない。

 シエルは未だ左隣のベッドで寝ている。

 兵隊さんは右隣のベッドで、「んまいな」と呟きながらパンを齧っていた。


 久しぶりの食事に、嬉々として俺はパンに齧り付いた──。


 

 「ご馳走様でした」



 手を合わせ、感謝をする。

 お盆は看護婦さんが回収してくれた。

 腹が満たされ、幸福感に満ちる。

 


 「天国にミソシルはあるんだね……」



 シエルの変な寝言を聞き流しながら、俺は再び眠りについた。


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