ルームメイトの狼護衛
「サナ!索敵と狙撃は頼んだわ!私は農家の人たちの近くで護衛するから」
「わかったよぉ~」
ミシアとサナは街の東側の城壁の外、リリー達が通った小麦畑に来ていた。季節は秋、収穫のタイミングである。だが秋に収穫のタイミングを迎えるのは何も人間だけではない。肉食の魔物も冬備えで肉を求めるのだ。彼らはこの時期に畑に行けば無防備な人間が居る事を知っている、故に護衛が必要なのだ。
フィアスウルフが3頭、樹海から姿を現す。彼らは獲物の位置を調べるための先鋒だろう。サナは迷わず3頭の首を射抜き仕留める。先鋒の狼は決して生きて帰してはいけない。奴らが情報を持ち帰るとその何倍もの狼が大挙してやってくるのだ。
「ミシア~多分先鋒の3匹仕留めたよ~」
「でかしたわ!そのまま警戒を続けて」
暫く何も現れないまま順調に収穫作業は進んでいた。2時間ほど経った頃だろうか今度は5匹の狼が飛び出して来る。恐らく射殺された仲間の仇を取りに来たのだ。サナは素早く弓を射るが2匹には命中したものの3匹に抜けられてしまう。
「ミシア!3匹そっち行った!」
「了解よ!」
ミシアの武器は一般的な片手直剣だ。彼女は片手剣なのに左手に盾は見当たらない。ミシアは自分から距離を詰めると襲い掛かってきたフィアスウルフの頭を切り払う。連携力がピカイチな魔物であるフィアスウルフは臆せず彼女の左右に展開し両側から隙を伺う。対するミシアは右のフィアスウルフを正面にみてもう一体に背中を向けてしまう。右のフィアスウルフと左のフィアスウルフは同時にミシアに仕掛ける。ミシアは左手の籠手の仕掛けを発動させてこれを迎え撃つ。右手の剣は正確に敵の脳天を突き貫き、展開してトンファーの形になった籠手をもう一方のフィアスウルフの口に押し込む。
「サンダーショック!」
籠手に仕込まれた魔術が発動し左側のフィアスウルフは口内に電流を流し込まれ息絶えた。
「お二人ともお若いのに素晴らしい腕前ですね。」
一部始終を見ていた農家の一人が話しかける。
「私も彼女もこれくらいの腕が無いと生きていけないのよ」
「冒険者を志す若者は多いですがやはり冒険者も大変なのですね」
「ミシア!マズい!10匹の群れがこっち来てる!!」
「サナ!匂い玉を投げなさい!時間を稼いで狙撃で頭数を減らして!」
匂い玉というのは狼系魔物の対策アイテムとして最もメジャーなものだ。激辛山草の乾燥粉末を仕込んだ爆弾で爆ぜると周囲の魔物はあまりの刺激臭にのたうち回るという代物だ。欠点として人間が近づいてもその刺激にやられてしまうのと少々高価なのだ。故に二人は一個しか用意していない。
サナは匂い玉にやられているフィアスウルフを何発か外しながらも射抜いていく。残り5匹になったところで匂い玉の効果切れだ。サナは拘束を抜け出したフィアスウルフを狙おうとするが大変な事に気付いてしまう。彼女の矢筒には矢が残り一本しかなかったのだ。
「ミシア!矢が切れる!」
「これが最後だと信じて魔法を使うのよ!サナ!」
サナは最後の矢をつがえ放つと小さくクアッドアローと言い放つ。途端、矢が緑に光り輝くと4本に分裂する。内3発がフィアスウルフに命中した。一匹は致命傷で残り二匹も足に当たったために機動力を削がれる。残った二匹とケガした2匹にミシアが突っ込み無事討伐出来たのだった。
「それにしても一日で20匹近くなんて前例のない多さだわ。私としては今日の作業を中断してこの事をギルドに報告した方が良いと思うのだけれども」
「私どもも賛成です。このまま作業をするのは危険すぎます。彼女の矢も切れてしまったようですし。ですが最後に家畜を移動する間の護衛だけお願いしてもよろしいでしょうか?」
「そうね夜の間に狼の餌食になっても困るもの」
「ミシア~もう無理ー、魔力カラッカラ~」
「貴方本っ当に魔力少ないわね。身体強化してる分を差し引いたらクワッドアロー一発が限界なんて」
「もう~しょうがないじゃん!そうゆう体質なんだし!」
彼女らは日が暮れる頃までに無事家畜を城壁近くまで移動させギルドに報告に戻ったのだった。
Q.何故矢を回収しないのですか?
A.身体強化して引くような豪弓は矢を一発でダメにしてしまうのです。
高評価・ブックマーク身に余る光栄ぇぇぇぇぇぇイ!!!
次話も是非ぃぃぃぃぃヨロシク!!




