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佳奈:Day4

『書籍名』表記です。二重カッコ、忙しい...

 朝日に起こされる。


 今、何時だろう。


 寝ぼけ眼のままスマホを開く。


 ん?


 あれ?


 は?


 え?


 ええええええええええええええええええええええええええええええ!?


 ちょっとまって。

 なんで火曜日なの?

 そして、右手が熱を持ったような痛みを訴え始めた。

 見ると、無数のかさぶた。

 ポケットには血痕のついたカッターナイフ。


 ななな何が起きた!?


 一応妙子に電話をかけなおす。


「プルルルル...」


【もしもし?こちら佐藤妙子です。用件は何でしょうか】


「もしもし。えーっと、昨日出れなくてごめん...なんか、今記憶ないんだけど」


【え?佳奈ちゃん?なんか今すごい話題になってるよ?山口を殴り倒したんだって?】


「はひ」


 え?

 なんで?


「スミマセン、ヨクワカリマセン。モウイチド、ベツノイイカタデハナシカケテミテクダサイ」


【だめだ...佳奈ちゃんが混乱してAle*aが出てきてる...】


「どういうこと?初耳なんだけど!?」


【もしかして佳奈ちゃん、記憶無いの?】


「うん」


【これはもしかすると多重人格かも】


「え?どうしよう...」


【この前も記憶が無い、みたいなことなかった?】


「うーん、えーっと...あ!ある!」


【いつ?】


 この前の土曜日だ。

 自殺できなかった。


「この前の土曜日。えーっとね、勉強してたら急に意識が途切れて、気が付いたら次の日だった!」


【ふーん、突然の多重人格の発現...なかなか興味深いわね】


【まあ、それはさておき、今日からどうするの?かなりまずいことになってるよ?

うちはB組だから助けてあげられないけど。】


「とりあえず、学校に行く。そこから考える」


【...佳奈ちゃんらしいけど、伊藤とかに気を付けてね】


「うん。ありがと」


【ん。じゃあまた後で!】


「じゃあ、ばいばい」


【ッ―――...】


 はあ、どういうこと?まじで。

 もちろん、あの大柄な山口を殴り倒すなんてマネなど、ガリガリの私には到底不可能だ。


 本当にそれ、私だったのかな?

 もしかして私、本当に多重人格だったりして。


 まあ、とりあえず学校だ。


 カロリ―メイトを食べ、出発する。


 そして20分くらい。


 私は恐怖の場所、学校に到着した。


 私はD()()教室へ入っていった。


 なぜか恐怖の目で見られる。

 そのとたん。

 腕をつかまれて後ろに引っ張られる。


 やばい。


 振り向くと、そこにいたのは、妙子だった。


「佳奈ちゃん...あなたA組でしょ?」


「えーっと、今日、エイプリルフールじゃないよね...」


「あなたが問題起こしたからでしょ?」


「そっか...私の()()()()()ねえ...」


「とにかく、僥倖だと思って」


「あ...うん!」


 私はA組に入っていった。

 なぜか異常に怖がられている。


 そして(新)担任の松本先生が言った。


「鈴木さん、あなたはここね」


 ある席を指さした。


「あっ はい」


 机が新しくなっている。

 感動。


 隣は...美玖ちゃんだ!


「おはよう!」


 美玖が返す。


「おはやう」


「歴史的仮名遣いにしなくていいよ...もう」


 相変わらず意味の分からないやりとり。


 そうしていると、声を掛けられる。


「おはよう!佳奈ちゃん!A組に編入されたの?え?嬉しい!」


 この美声。

 悪意を1μgたりとも感じさせない声。


「静香ちゃん?」


「うん!声だけでよくわかったね」


 私は振り向いた。

 やばい。まぶしい。後光がさしている。

 周りの男子どもがチラチラとみている。


静香「昨日、大変だったんだって?」


私「なんかいろいろあってさ。暴れちゃったみたいだけど、なんか、記憶ないの。嘘みたいに思えるでしょ?ホントなの」


美玖「多重人格の疑いがあるね」


 信じてくれるとは。

 やはり持つべきものは友だ。


 美玖は、カント著『純粋理性批判』を読んでいる。

 意味が分からない。しかもドイツ語だし。


 授業が始まった。

 1時間目は理科。

 教師の癖が強い。


「このー!はい。水素イオンがー!はい。水酸化物イオンとー!はい。結びつくんですね?そうすることによってえー!はい。(カキカキ...)」


 2時間目は数学。

 こいつは演習ばかりやらせる。

 かってに問題集買ったほうが得だが、私はそれができないため、結構感謝している。


 3時間目は国語。

 橘先生だ。

 手に包帯を巻いている。

 そして、こっちをめっちゃにらみつけてくる。

 居心地の悪いまま、授業が終わる。


 4時間目はA組担任、松本先生の社会。

 松本先生のテストは非常に難しく、難関私立高校入試で出てくるような問題が大量に出てくる。

 松本先生本人も、とても怖そうな見た目だが、実はめっちゃ優しいのである。


 昼。

 私は食べるものがない。

 なので適当に雑談をして過ごすことが多い。


美玖「今日橘先生の目線、怖くなかった?某ホラー映画の人形みたいだったw」


静香「手に包帯巻いてたし。大丈夫かな」


私「それ、私かも」


静香「え?」


私「昨日の記憶喪失の時、どういうわけか、橘先生の腕を折って、さらにカッターを手の甲にぶっ刺したみたいなんだよね」


美玖「明らかな体格差を覆す技術...その多重人格...仮にXとしよう...はもともと別の人間だった可能性が微粒子レベルで存在する」


静香「それって、つまるところ、Xに"乗り移られた"ってこと?SF?」


私「そんなわけないじゃーんwww」


 しかしそれを聞いた瞬間、私はゾクッとした。

 背筋が凍ったかと思った。


 私は、ある縄を見せた。

 そこには、"¡No mueras!"の文字。


美玖「これ、完全にスペイン語の命令文だわ」


私「言いにくいんだけど、私、自殺しようとしてたの」


静香「何やってるの?馬鹿なの?...もう...」


美玖「つまり、自殺しようとしたとき。それが一回目の"憑依"ってわけなのね」


私「あと、スペインの、グロ動画サイトとアントニオ...ロメオ..?..に関するニュース記事が開かれてたの」


美玖「このサイト...パスワードが分からないとウイルスが送り込まれる仕組みだわ」


静香「つまり、目が覚めたら、闇が深いサイトが開かれてたってこと?正解のパスワードを入力して。」


美玖「Xの可能性が高いのは、裏社会に関連する人間...とりわけアントニオに関連するスペイン人、または本人...」


私「なるほど、裏社会の極道みたいなやつらが憑依してるなら、私が暴れたのも納得がいく...のかな?」


静香「難しい...」


私「静香が難しいとか言ってる...なんか新鮮」


 その時、美玖が爆弾発言をかました。


「じゃあ、手紙でも書いてみればいいんじゃない?そのおかげでクソ女どもと別れられたんだし」


「はひ?」




 その夜。


 私の推測では、寝たときに意識が入れ替わる。


 推敲しながら手紙を書く。

 そしてそれを鞄にひっかけておいた。


 そして私は布団に入る。

 明日、いや、明後日のために。

ちなみに、「某ホラー映画」は「Child Play」です。

次回以降、二人の正体の探り合いが始まります。デュエルスタンバイ!!

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