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72話 ショーター

オーパスポーカスへの帰り道の途中。

思い付いた事を試さずにはいられなかった。


馬を休ませている時に火を起こし実験の準備をする。

火の中に拳大の石を入れてしばらく待つ。

待っている間に馬に水を飲ませたり身体を洗ってやったりマッサージしてやったりと甲斐甲斐しく世話をする。


コイツとも気付けば長い付き合いだ。


セバスチャンさんに馬2頭と馬車を貰い。世話の大変さから1頭は手放してしまったが・・・。

運良くなのか運悪くなのか残ったのがコイツだ。


この数年間、ほぼ休み無く旅を続け。ずっと馬車を引かされ続けたと考えれば運悪く残ってしまったと考える方が無難か。

ちゃんと世話はしているつもりではあるが、ヘタる事も無く怪我も無く元気に馬車を引いてくれている。


その感謝の気持ちを込めて念入りにマッサージをしてやる。


「ブルルルル」

「お?気持ち良いか?」

「ブルル」

「そうか、気持ち良いか」

「ブルルルル」


マッサージを兼ねてブラシで毛を()いてやっていたが身体を(よじ)ってブラシの当たる場所を変えさせられた。


「そこじゃないってか・・・」

「ブルル」

「強さはこんなもんか?」

「ブルルルル」


そして、前足で地面をカッカッと叩いている。


「どっちだ?もっと強く?こう?」

「・・・・・・」

「どっちだよ・・・」


と、弱くすると。


「ブルルルル」


不満気に鳴いた。


「強いのが正解か」


強めにマッサージをしばらく続け、かなりの重労働で汗も止まらなくなってきたので世話を終了にする。

不満の鳴き声が聞こえてはいるが聞こえないフリをして火の方へと移動する。


放置していたので火は下火になっているが中に入れた石は熱々になっている。

火かき棒で石を取り出しアイテムボックスに収納する。

直ぐに取り出してみるが熱いままだ。


これはいけるかもしれない。


再び熱々になった石をアイテムボックスに戻し。次に確認するのは絶対に石が冷めるであろう時間が経ってからだ。

時間停止させてはいるが、それでも熱々のままなら成功だ。


そんな実験をしながらの帰路だったので意外と暇になる事も無く楽しく帰る事が出来た。


「おっさん」

「お?もう帰って来たのか」

「おう、ちょっと試したい事があってな」

「ほう」

「石を組んでこんくらいのサイズで窯って作れないか?」

「石窯か?」

「そう」

「まぁ、作れるな」

「頼めない?」

「報酬は?」

「こないだ飲ませて貰ったフーバスタンク産の新酒あったろ?」

「おう」

「あれ、10本でどうだ?」

「もう一声っ」

「12本」

「もうちょいっ」

「15本」

「あ、よいしょっ」

「12本」

「あ、もいっちょ」

「10本」

「ん?減ってねぇか?」

「大丈夫だ。10本な」

「あれ?最初何本って言ってた?」

「3本だな」

「そうか、なら受けてやる。しゃーないな」


そこからおっさんによる聞き取りがあり用途等を細かく説明させられた。


「どんくらい掛かる?」

「んー、急いだら半月くらいだな」

「結構掛かるんだな」

「組むの自体は直ぐ出来るが乾くの待たないとだからなぁ」


アイテムボックスを活用して時間経過速度を上げれば直ぐに乾くかもしれないが・・・まぁ、おっさんに丸投げして任せてしまおう。


「普通にやったら?」

一月(ひとつき)って所だな」

「じゃあ、頼まれてくれるか?」

「おう」

「お代は先払いしとくな」

「お?良いのか?」

「おう」


無言のまま満面の笑みでこちらに手を差し出してきた。


「ジョーさんに渡しとくな」

「くそう・・・どうせそんな事だろうと思ったよ・・・」


と、膝から崩れ落ちた。


「おっさん」

「うるせぇ!」

「ほら、先払いの1本だ」

「おぉ・・・神は居た・・・」


そんなにかよ・・・。


そして、残りの9本をジョーさんに渡しに行くと・・・。


「おかえりなさい」

「ただいまです」

「ちょうど、今日からなんで見に行かれますか?」

「今日から?何がですか?」

「今日から施工です」

「え?」

「あぁ、施工と言っても。まずは地面を掘って杭を打ったり地盤を固める所からなんで」

「え?いや、家ですか?」

「そうですよ?」


ジョーさんに連れられ見に行くと職人さん達が地均(じなら)しをしていた。


「お疲れ様です。こちらが施工主のウェインさんです」

「ウェインだ」

「はじめましてミトです」

「こちらのミトさんが建築主です」

「そうか。若いのに頑張ったな。良い家にしてやるからな」

「は、はい。よろしくお願いします」


ウェインさん他にも5人程が働いてくれている。


「えっと、ちょっと質問なんですけど」

「なんだ?」

「差し入れするなら何が良いとかありますか?」

「んなもん気にすんな。そんなもん無くてもしっかり働いてやっから」

「そこは心配してないです。でも、要らない物差し入れで貰っても微妙じゃないですか」

「だったら、たまにで良い。仕事終わりに若いやつだけで良いから飲みにでも連れて行ってやってくれ」

「分かりました」



うん、聞きたい事が聞けなかった。

飲み物が良いのか、食べ物が良いのか。甘い物か、塩っぱい物か。

ご祝儀とか現金の方が良いのか。


いや、そりゃ現金が1番か。


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