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49話 だがそれがいい

翌日、宣言通りお昼頃におっさんの家に到着した。


「やっと来たか」

「おう、おっさん」

「ふふふ。良いのか?そんな態度で」

「ん?何がだ?」

「これを見てみろ」

「へ?」


と、おっさんの手にあったのはセイロ。


「何で?」

「作った」

「誰が?」

「俺が」

「どうやって?」

「どうやってって。普通に?」

「マジかよ。おっさんすげー」

「だろ?」


昔は農具なんかも自作する事が多かったそうだ。

買うと高いので自作して安く済ませる。そして、荒っぽく使うから直ぐに壊れるので自分で修理をする。

そんな事をしていたら手先も器用になったし大抵の物は作れるようになったそうだ。


「欲しかったから助かる」

「だろ?」

「うんうん」

「で?」

「で?とは?」

「そりゃ、対価だろ」

「いくら払えば良い?」

「んー・・・」

「もしかして・・・」

「たぶん、正解だ」

「酒で払えってか?」

「正解!」

「どんだけ欲しいんだよ・・・?」

「安いワイン1本でいいぞ」

「お?そんなんで良いのかよ」

「ちなみに」

「うん?」

「これがフタで、これに被せたら使えるだろ?」

「だな」

「これをこう重ねて、更にもう1段」

「おぉー」


木製のセイロ。しかも3段積みとか理想的過ぎる。


「1段につき1本」

「お?まぁ、3本なら全然」

「それが更にー」

「ん?」

「サイズ違いで大・中・小とある」


3段積みが3種で9本か。いや、それでも全然俺的にはアリだ。


「つか、1日で良くそんなに作れたな」

「こんくらい普通だろ」

「おっさんの普通は良く分からん」

「んで、9本だ。早く払え」

「おう、安ワイン9本な」

「うひょー」

「んで、オマケでブランデーも1本付けてやる」

「マジかっ!うっひょー」


そんな小躍りする程嬉しいのか。


「そんな嬉しいのかよ」

「嬉しいっ」

「こんくらい自分買って飲みゃ良いじゃん」

「人の金で飲む事に意義がある」

「んー・・・労働の対価なんだから・・・それ人の金って言うのか?」

「そう言われると・・・倍払うか?」

「そう言われると払いたくなくなる」

「なんでだよっ」

「もっと払うつもりだったんだけどな」

「だったら払えっ」

「だが断るっ!」

「おいっ」


男ならば人生で1度は言ってみたいセリフの1つだろう。

本家はもっと冷静に平坦な言い方をしているイメージだがテンションが上がって語気が強くなってしまった。


「まぁ、いいや。こんだけありゃ結構楽しめる」

「一気に全部飲むなよ?」

「・・・・・・」

「おい、フリじゃないぞ?一気に飲んだら死ぬぞ?」

「酒飲んで死ぬなら本望だ」

「取り上げんぞ」

「待て、大丈夫だ。ゆっくり飲む、たぶん、きっと」

「ダメだ信用ならん。一旦返せ」

「ヤダ」

「おっさんがヤダとか言うな」

「あれ?ちょい待ち」

「ん?」

「何か瓶に・・・」

「うん?」


と、意識を逸らさせてブランデー1本とワイン8本をアイテムボックスに収納した。


「ちょ、おまっ」

「分割払いに変更だ」

「だったら利息発生するぞっ」

「それなら別に良い。1日1本な?」

「後正だ・・・」


その後もかなりしつこかったが跳ね除けた。やっと諦めたと思ったら安ワイン1本を大事そうに抱きかかえて自室へと帰って行った。


「お邪魔してます」

「あ、いらっしゃいませ」

「連日作って貰ってますけど負担になってないですか?」

「このくらいなら大丈夫です」


と、本人は言ってくれてるけど普段の仕事の上でやってくれてるんだから負担になっていないはずがない。


「さっきおっさんからセイロ受け取ったんですけど。試しに使って貰ったりってお願い出来ませんか?」

「これ良いですよね。義父さんから貰ったんですけど便利です」

「あ、もう使ったんですね」

「はい。試作品があまり上手くいかなかったみたいで相談されたんですよ」

「へぇ~」

「そのお礼という事で頂きました」

「なるほど」

「その後も夜遅くまで作ってたみたいですよ」

「簡単に出来たみたいに言ってたけど頑張ってくれたんですね」

「はい」

「その分、お礼はしっかりしないとですね」

「はい。あ、でもお酒は・・・」

「あぁ、さっき分割で払う事にしました。1日1本づつ払います」

「それならっ。ありがとうございます」

「一気に渡すと不味いすよね?」

「ですね・・・」

「あったらあるだけ?」

「飲みます」

「やっぱりかー」



というか、1日に1本でも多いからな。

南国のビールみたいに水の代わりみたいな感じでガブガブ飲むようなもんじゃない。


と、思ったが・・・この世界は土壌が比較的悪い。

その所為もあって水質もあまり良くない。

だから、水の代わりにエールを飲む文化があるのは確かだ。


そう考えるとおっさんがエールを浴びる様に飲むのもある程度は仕方ないのかもしれない。

と、騙され掛けたが、フーバスタンクやこの街。カギノ伯爵領は普通に水質が良いから川の水や井戸水をそのまま飲んでも腹を下す事は無い。


だから、あのおっさんが飲んでるのはただ単に酒が好きだからってだけだった。


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