表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
237/240

237話 林業

槍の柄の部分に使う木材を伐採する為に山に来た訳だが・・・。


「まずどうしたら良い?」

「魔法でパパッと伐ってけ。と、思ってたが」

「ん?違うのかよ」

「それだと根が残るからな」

「ふむ」

「根っこも全部、一旦はアイテムボックスに入れちまえ」

「あー、なるほど」


アイテムボックスの中に入れてしまえば伐採する手間も残った根の処理も諸々が一気に解決する。


「んじゃ・・・」

「待て待て待て」

「ん?」

「その木じゃない」

「だったらどれだよ・・・」

「お前、針葉樹と広葉樹の区別は付くか?」

「針葉樹と広葉樹・・・あれだろ?葉っぱが尖ってるのが針葉樹で丸いのが広葉樹」

「それはどっちだ?」

「これは・・・針葉樹っぽいな」

「正解だ」


まぁ、見たら分かる。


「槍の柄に向いてるのはどっちだ?」

「そんなの知らねぇよ・・・って思ったけど、針葉樹で違うって言われたんだから広葉樹か」

「理由は?」

「知らん・・・」

「針葉樹ってのは基本的に真っ直ぐ伸びる木だ」

「ふむ」

「それで、成長速度も早い」

「へぇ」

「逆に、広葉樹は太くてうねってたりする。そんで、成長速度が遅い」

「ふむ」

「成長速度が早いって事はどういう事だ?」

「え・・・?早く伐採出来る?」

「何の話だ?成長速度が早いって事は木の密度が低いって事だ」

「密度・・・」

「だから、針葉樹は軽い」

「へー」

「逆に広葉樹は重くて硬い事が多い」


それからもおっさんの講義は続いた。

どちらが良い悪いではなく、向き不向きがあり槍の柄に向く木材としては広葉樹の方が適しているそうだ。

そして、針葉樹よりも広葉樹の方が高価らしく。理由としては重くて輸送が大変で硬いので加工も大変だったりするのでどうしても価格が上がるそうだ。

但し、重く硬く丈夫なので木材としての寿命も長く。更には木目も綺麗な事から家具や楽器等にも重用されているそうだ。


「これは?」

「まぁ、良いんじゃねぇか?」


お許しが出たのでアイテムボックスに収納する。


「これも良さそうじゃないか?」

「流石に近いわ」


あまり近場で抜き過ぎると地盤が緩くなって土砂崩れの要因に成りかねないそうだ。

針葉樹よりも広葉樹の方が深く広く根を張る分、抜いた時の地盤の緩みも大きくなるので1本抜く度にそこそこ距離を空けなければならないので山の中をあっちに行っては1本抜いて。今度はこっちに行ってまた抜いてと・・・おっさんの指示で走り回らされている。


「よし、こんなもんか」

「お?もう良いのか?」

「まだやるか?」

「いや・・・」

「とりあえず1本ここに出せ」

「おう」

「横にだぞ?縦に出して倒すなよ?」

「お、おう・・・」


そんな事が出来るのか分からないが横向けに出る様に意識しながら取り出すとちゃんと横向けに出て来てくれた。


「これで良いか?」

「おう。んじゃ、これ持て」

「ん?(なた)?」

「枝打ちするぞ」


枝打ち。

その名の通り、枝を打ち落としていく作業だ。

基本的には成長中の木の枝を落として伐採した時に真っ直ぐの木材になる様にする為の作業だが伐った後でも枝打ちと言うらしい。


「これも落として良いのか?」

「細かい事は気にすんな。どんどん落としてけ」


おっさんが持参した鉈なので切れ味が悪い。

いや、普通か?んー、そこそこ良い方かもしれない。

でも、俺が鉈を打って研いだとしたらもっと切れ味が良いはずだから良くないように感じてしまう。


「この落とした枝は?」

「それもアイテムボックスに入れとけ」

「おっけ」

「小物作りには使えるし、そうじゃなくても(たきぎ)にはなる」


このまま捨てといたら朽ちて腐ってお終いだけど使い道があるなら全然余裕で持って帰る。


「次は皮を剥ぐぞ」

「鉈でか?」

「手でやる気か?」

「鉈でやる・・・」


皮を剥ぐとツルンとしていて水気を感じる。

分厚い表皮はガサガサで乾燥していて普通に木って感じだったが表皮を剥ぐと中はしっとりと濡れていて、もしも絞ったら水が滴り落ちそうな程に水分を含んでいた。

そして、何か生命を感じた。


「剥いだぞ」

「そしたらアイテムボックスに仕舞って良いぞ」

「これで後は乾燥させるだけか?」

「そのまんま乾燥させる気か?」

「違うのか・・・」

「用途に分けて切り分ける。乾燥はそっからだな」

「なるほど」

「んじゃ、帰るか」

「え?他のは良いのか?」


まだ1本しか枝打ちもしていないし皮も剥いでいない。


「んなもんは帰ってからいくらでも出来るだろ」

「た、確かに・・・」

「暗くなる前に帰んぞ」

「おう」



木々の隙間から空を見上げると太陽は天辺をとっくに通り過ぎ、もうしばらくすれば空が赤らむような時間だった。

急いで山を下り、馬車を走らせてオーパスポーカスへの帰路を急ぐ。


帰ったらまずは枝打ち用の鉈や(のこぎり)なんかを打っても良いかもしれない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ