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228話 初耳

翌朝、まだ薄暗い時間帯。ドアを荒々しく叩く音が響いた。


ガチャ───。


「はい・・・」

「おはようさん」

「え、親方?」


この家新旧鍛冶場を建ててくれた大工の親方がこんな朝から何の用だ・・・?


「勝手に始めて良いとは言われてんだが。流石に場所の希望くらいは聞いとこうと思ってな」

「勝手に?始める?場所?何の話ですか・・・?」

「また家建てんだろ?」

「誰の?」

「にーちゃんの」

「俺?」

「以外に居ないだろ」


なんで?誰が勝手にそんな事を?

おっさんか?ジョーさん?


「で、どこに建てりゃ良い?」

「いやいやいや、待って下さい」

「なんだよ」

「誰の依頼なんですか」

「アレだよ。フーバスタンクの領主様」

「へ?ナエジ?」


なんでナエジが?


「なんだっけか。メイドかなんかを住まわせるとかなんとかって」

「あー、あの2人のか・・・だったらもうちょっとだけ待って貰えませんか?」

「さっさと始めたいんだがな・・・」

「もうちょっとで来ると思うんで」


あの2人の家なら俺じゃなく2人が決めるべきだ。

流石に職人さん達をただただ待たせる訳にもいかないのでテーブルを出して、そこに手で食べられる軽食。おにぎりやサンドイッチを並べ、お茶や水といった飲み物も並べた。


「すいません、これでも食べて少し待ってて下さい」


そう言い残しシェリルさんの借りている家へと駆け出した。

ただ、後ろからこれがあるからここの仕事は良いんだよなーといった声が聞こえてきたので待たせる事で不満が出ていない事に多少は安心した。


コンコン───。


「はい」

「朝、早くにすみません」

「ミト様。どうかなさいましたか?」

「何か、家を建てるとかどうとかで・・・」

「あぁ、分かりました。直ぐに向かいます」


それだけで通じるのか。

流石に察しが良いな・・・じゃなくて、これは普通に知ってたって事か。


「先に戻るんでなるべく早くお願いします」

「畏まりました」


踵を返して急いで家へと帰る。

ただし、全力で走ると回りに被害が出るスピードになってしまうのでかなりセーブして急いで走った。


「すいません。もうちょいで住む予定の人が来るんで」

「おう、全然構わん」


テーブルの上の食べ物は全て綺麗に平らげられている。


「補充しておくのでどんどん食べて下さいね」

「この現場は腹が空く暇が無いのが最高だな」

「だから今やってた仕事は若いのに押し付けて来たぞ」

「はっはっは。俺もだ」

「夜は夜で飲みに連れてってくれるしな」

「だなぁ」


妙に平均年齢が高いと思ったらそういう事だったのか。

そして、そう言われたら絶対に飲みに連れてかないとじゃん。


「おい、お前ら。腹いっぱいになるまでは食うなよ?動けなくなるぞ」


その後、親方からこんな制止が入るペースで皆が皆もの凄い勢いで食べていった。


「お待たせ致しました」

「あ、シェリルさんいきなりすみません」

「いえ、こちらの事をミト様に対応させてしまい申し訳ございませんでした」

「えっと、どこに建てたいかシェリルさんの希望を伝えて下さい」

「畏まりました」


そこからはシェリルさんと親方達で話し合いが進み俺は完全に蚊帳の外になったので鍛冶場へと向かった。

昨日打ったロングソードだが。1本目よりも2本目、3本目よりも4本目の方が目に見えて出来が良い。

もしかしたら別の剣を打つよりも同じ物を打った方が成長効率が良いのかもしれない。

面白味は無いが成長を考えると同じ物を打った方が自分の為になる。そして、集中出来ていないと思っていたが昨日は時間感覚がおかしくなる程に集中していた訳だからきっと楽しめてはいたはずだ。


という訳で今日も昨日に引き続きロングソードを打っていく。

ただし、今日は親方達も居るし定期的に差し入れの軽食が切れていないかチェックしに行かないといけないので完全に集中し切る事は出来無い。


そう意識しながら鍛冶を始めたが気付いた時にはお昼時で慌てて差し入れを持って行ったが既にマーシーさんからの差し入れがテーブルを埋め尽くしていた。


「あ、すみません。マーシーさんありがとうございます」

「いえいえ、今度はシェリルさんとリンさんのお家らしいですね」

「みたいですね。俺も今朝聞いてびっくりしました」

「どんなお家になるんでしょうね?」

「どうなんでしょうね・・・」

「2人だから平屋でこじんまりと。横に倉庫も併設する」


と、親方が会話に混ざってきた。


「そんな事も知らねぇのか?」

「何も知らないです」

「名義はにーちゃんのだけどな」

「それも初耳ですよ」

「何でそんな何も知らないでこんな事になってんだ?」

「それは俺の方が聞きたいですよ・・・」



親方によるとナエジからそこそこ潤沢な予算が出ているが建設速度を重視するとの事で平屋らしい。

そして、なんで倉庫?と、思ったが・・・どうやら、俺が打った剣をそこに保管するようだ。

という事は、倉庫のついでに家を建てる感じなのか?もしかして。


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