225話 違和感
ナエジと専売契約を結び。卸値に関しては毎回査定を受けるという契約も別口で結んだ。
「とりあえず、これ返す」
「おう」
無駄に燃えている剣を返されアイテムボックスに収納したが、この剣は本当に意味が分からない。
触れば熱いし燃える物を近づければ燃える。
でも、これで斬ったからといって何になるのか?答えは剣で斬った傷が出来る。
別に火に依る追加効果は無く、使い道があるとすれば燃え尽きない松明といった感じだ。
「今のみたいのを作れる様になる予定は?」
「どうだろ?今のとかは素材に依存するんじゃないかな?」
「素材があれば作れるって事?」
「かも?」
「今から契約書作るの面倒だから口約束で良いけど」
「うん?」
「素材があっても勝手にそんな武器は打たないようにね」
「許可取ってから?」
「うん」
「分かった」
っても、そんな素材がそんな簡単に手に入るはずが無いからな。
「まっ、そんなトコかな」
「ふぅ、これで契約完了か?」
「後、これは口約束って言うか。出来ればのお願いなんだけど」
「うん?」
「ロングソードが欲しい」
「分かった。打っとく」
「ううん。1本じゃなくて出来るだけ数が欲しいの」
「やっぱロングソードが人気なのか?」
「まぁ、そんなトコ」
「なるべくロングソード優先で打つようにはしとく」
「お願いねー」
と、ナエジは立ち上がった。
「ん?どうした?」
「あんまり時間無いんだよね」
「あ、そうなのか」
「また時間見つけて来るから」
「おう」
「おう、じゃなくてさ・・・」
「うん?」
「ミトさんからも会いに来てよ」
「お前はあっちこっち飛び回っててあんまりフーバスタンクに居ないんじゃないのかよ」
「それはそうだけどさー」
「行けたら行く」
「それ絶対来ないヤツじゃん」
「いや、マジでなるべく顔出すようにする」
「絶対だよ?」
「おう」
そうしてナエジは馬車に乗り込み去っていった。
「それでは食事の準備でも致しますか?」
「!?」
「??」
「なんで・・・?え?一緒に行かなくて良いんですか?」
何故かシェリルさんもリンさんもここに居る。
「はい。ご不便なされてるだろうとナエジ様から2人でお世話を命じられました」
「え、いや、でも、え?」
「住み込みではなく通いにはなりますが」
「え?あ、あぁ、はい。え?通いってフーバスタンクからですか?」
「いえ、戸建ての家を借りました」
「あ、あー、はい・・・」
「家事から鍛冶のお手伝いでも何なりと。出来る範囲ではございますがご用命下さい」
「はい・・・」
1度大きく息を吐く。勢い良く吐き出したが成分の8割は溜息だ。
「いつこっちに来たんですか?」
「今日です」
今日来て、わざわざあんな手紙まで書いて、手紙を届けさせて、家まで借りて。そこまであれこれ動いておきながら事前連絡は一切無し。
「だったら引っ越しの準備もまだ済んでないですよね?」
「そうですね」
「だったら、まずは引っ越しを済ませて。生活の準備を整えて下さい」
「ありがとうございます」
「男手が必要なら手伝いますし、人手が居るなら当てはあるので声も掛けれます」
「大丈夫です」
「そうですか?」
「はい。今日と明日1日頂けましたら」
「そんな急がなくて大丈夫ですよ?」
「問題ございません」
荷物も少ないのかな?家具付物件だったり?
「それでは、リン。任せましたよ」
「はいっ」
「!?」
「至らぬ点も多いかと思いますがご容赦お願いします」
「は、はい」
リンさんは引っ越し作業に行かないらしい。
「それでは失礼致します」
「はい」
と、シェリルさんは綺麗な深いお辞儀をしてから家を出ていった。
「えっと、それではお掃除させて頂いてもよろしいでしょうか?」
「あー、うん。じゃあ、お願いしよっかな」
「はいっ」
「俺は作業部屋の方に居るから」
「かしこまりましたっ」
ふぅ~・・・。
フーバスタンクの屋敷でなら問題は無い。
でも、こっちの家に人が居るという状況に違和感があってソワソワしてしまう。
エーリッヒとかおっさんであっても違和感があるのに、それがシェリルさんにリンさんとなると本当に落ち着かない。
なので、正直・・・旧鍛冶場に来たのは逃避だ。
鍛冶をしても良かったが炉の温度も下がってるし、人が居るといつ呼ばれるか分からないしで作業場の方に来た。
そんな理由で溜まった剣を研ぎ始めたが母屋の方が気になって集中出来無い。
まぁ、そこまで研ぎは好きじゃないから大して集中は出来無いんだけど・・・。
何故、ナエジはシェリルさんとリンさんをここに置いていったのか。
もしかして、どちらかと俺をくっつけようと画策してる?いや、それはジョーさんの思考に影響され過ぎているな。
そんな答えの出ない事を考えていると気付けば結構な本数をそこそこ良い感じに研げていた。




